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コーズリレーテッドマーケティングは富の再配分で効果はないのか

コーズリレーテッドマーケティング

コーズマーケティング/コーズリレーテッドマーケティング

コーズマーケティング(コーズリレーテッドマーケティング)。日本では、文字通りのコーズ(社会課題、大義名分)との関連性のあるマーケティングではなく、「寄付付き商品・サービスの販売」を指すこと(定義される)が多いです。

国内で大きな災害が起きる度に盛り上がるのは良いことなのですが、僕はふと思ったわけです。

果たしてコーズマーケティングは、本当に社会に貢献しているのか、と。中途半端な期間・企画で毎度実施するのは事業活動としていかがなものか、と。

というわけで本記事では、僕のコーズマーケティングについて独り言をまとめます。

社会貢献という「富の再配分」

「富の再配分」が悪いわけではありません。アメリカのフィランソロピーのように、ノブレス・オブリュージュのように稼いだ人が社会に還元する方法は素晴らしい仕組みだと思います。

しかしそれらは文字通り「富の再配分」なので、新しい価値を生み出しません。ざっくりいえば、1万円寄付したら、1万円だけの経済効果が生まれるというだけです。CSV論で有名なハーバードのマイケルポーター教授も“富の再配分”が大嫌いですよね。富の再配分の最たる組織であるNGOや政府の一部を痛烈に批判もしてますし。

本来は、企業としてレバレッジ(テコの原理)を使って、経済的・社会的なインパクトを創出する必要があります。1億円を使って1億円分のインパクトを作るのは汎用性・公平性を求める政治の役割です。企業が同じことしてもしょうがありません。てか、意味がないよね。だったらその1億円をそのまま寄付しちゃえよ、と。

営利企業は、安い原価で商品・サービスの高い売価によって利益を生み出します。仕組み作りが重要だというのはご理解いただけると思います。だからこそ、出口のところだけの「売上の一部を寄付します」では、富の再配分で、価値創出に至らないということです。

東日本大震災(2011)とか熊本・大分地震(2016)でも、日本での事例としては震災支援はたくさんありますしコーズマーケティングが流行ってますけど、やっぱり単発の企画は成果が小さいんですよねぇ。失敗例・成功例というカテゴライズも難しいので個別には紹介しませんが…。

では、国際的なガイドラインではどのように対応せよとしているのか。実は、そのまんまではないですが、指針がちゃんとあるんです。コーズマーケティングを口にする人でも、まず知らないとは思いますが…。

ISO26000:消費者課題

ISO26000の中核主題の1つである「消費者課題」。この消費者課題には配慮すべき課題ということで「持続可能な消費」という項目があります。その中で、関連する項目ということで以下のような事柄が指摘されています。

・効果的な教育を推進し、自らの製品およびサービスの選択が自らの福祉および環境に与える影響に理解する能力を消費者に与える
・製品およびサービスが健康および環境に与えるマイナスの影響を除去、または最小限に抑える
・再利用したり、修理したり、再生利用することができるように製品および包装を設計する
・持続可能な発展に貢献できる供給業者を優先する
・製品寿命の長い高品質の製品を手頃な価格で提供する
・製品またはサービスの生産および配送に関連する環境要因および社会要因について、資源効率に関する情報を適宜含め、科学的に信頼でき、一貫性があり、真実であり、正確であり、比較可能であり、および検証可能である情報を消費者に提供する
・消費者に製品およびサービスに関する情報を提供する、情報とは、性能、健康におよぼす影響、原産国、エネルギー効率、原材料、動物福祉に関する情報、ならびに製品および・包装の安全な使用、保守、保管および処分に関するものである
・信頼できかつ効果的で、中立的に検証されたラベリング体系、およびその他の検証体系を活用し、製品およびサービスがもつ環境的にプラスの側面、エネルギー効率、その他の社会的、環境的に有益な特性を伝える

(一部記述は理解しやすくするために、原文より文言を修正してあります)

環境を中心としたコーズマーケティング的な取組みをISO26000では推奨しています。これは僕の解釈ですが、コーズマーケティングだから、売上の一部を寄付とするアウトカム(成果)の話ではなく、環境・社会への配慮をした事業プロセスの中で製品・サービスの質を高めなさいよ、と言っているように見えます。

むしろ、環境配慮もされていない適当な商品の売上の一部を寄付したところで、社会への負荷の総量が減るわけではありませんよね。このあたりは、コーズマーケティングというより、商売の基本という解釈のほうが良いでしょう。この「持続可能な消費」の条件を満たした上で、寄付付き商品にするのは、とても意義のあることだとおもいます。

富を再配分するだけではなく、そもそもの価値を高めていきましょうよ。

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まとめ

一部コーズマーケティングではない解説もありましたが、結論何が言いたいかというと、富を再配分するだけではなく、そもそもの「商品・サービス」の価値を高めていきましょうよ、ということです。

日本では、CSRやCSVが「アウトカム」(成果・結果)で語られることが多いのですが、世界では「プロセス」内での配慮やマーケティングが重要視されています。

寄付という結果が生まれたからいいや、ではなく、商品・サービスの製造から販売までのプロセスの中で環境・社会への配慮があるという前提が必要なわけです。

例えば環境負荷の高いミネラルウォーターをコーズマーケティング商品として販売し、寄付金をまとめて国内外の森を守るとか、本来はナンセンスなはずですよね。そもそもの製造・輸送・販売のプロセスで環境負荷減らさないと、販売時にコーズ訴求だけしてもアカンで、ってことで。

コーズマーケティング自体が悪いわけではありませんが、まず上辺だけのテクニカルな部分から入るのは、危険ですよ、というお話でした。現場からの愚痴は以上です。



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執筆者:安藤 光展[→プロフィール詳細]