CSR活動の投資コストにどこまでリターンを求める?

CSRコスト

CSR活動の投資コストとは?

CSRはコストだとよく言われてきました。しかしコストには「サンクコスト」と「投資」と両方の意味合いがあります。

「社会的」という概念がそもそも長期の視点を持つものであり、短期利益を求める人は社会的である必要はありません。それが利他的とか利己的とか精神世界の話でまとめるべきではないのかもしれません。

現実的に必要なものは残るし不必要は残らない。それだけ。CSRや利益追求が誰にとっての何なのか。本記事では、「CSRと投資」という視点でまとめます。

CSRと投資の関係性

ソーシャル・インパクト・ボンド

「ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)」。市長はそれを「官民が連携して行う新しい投資モデル」として、若年層の就業支援に活用すると発表した。
SIBとは、様々な社会課題に対して行政と投資家、実行主体としてのNPOや民間団体が連携して取り組み、そこから得られる報酬を資金提供者に還元して、持続可能で効率的な課題解決事業を実現する手法のことだ。
「社会的インパクト投資」が問う公と私の新しい関係

ソーシャル・インパクト・ボンドの事例ですが、新しい取組みとして非常に注目されています。(当社比)

ただ、課題も多い印象があります。投資サイドのリスクが大きいことです。現時点でリターンを期待しての投資としてはリスクが大きいので、この流れを日本財団さんが固めてからが、本当のステージになるのかもしれません。

上場企業の社会的役割

スコット・キャロン氏は企業価値向上表彰で高い評価を受けたユナイテッドアローズなど3社について、「求められるのはエクセレンス(卓越したもの)への願望だ」と述べた。
また、事業活動を通じて利益を出すだけでなく、社会の一員として貢献することも企業の重要な役割であると力説。この点もユナイテッドアローズと丸紅、オムロンの3社に共通する特徴だと語った。
「ニッポンの企業力」上場会社表彰2015

日本でもこういうことがこういう場で語られるようになったんですね。

「スチュワードシップ・コード」や「コーポレートガバナンス・コード」でCSRの重要性を再認識する経営層が増えたとはいえ、現場的な動きは上場会社でも半分程度しかしてませんが、どんどん広がっていくのでしょうか。CSR支援をさせていただいている人間としては、マーケットが広がることは大歓迎ですが…実際はどうなんでしょうね。

「企業報告ラボ」プログレス・レポート

経済産業省は、企業と投資家が、企業価値の向上に向けた対話や開示のあり方を検討、調査、提案する場として、「企業報告ラボ」を設立し、活動を行ってまいりました。この度、企業報告ラボにおける2014年9月から2015年10月までの活動内容と主な成果をプログレス・レポートとして取りまとめました。
「企業報告ラボ」プログレス・レポート2014-2015

経産省のレポートです。IRや経営企画系の方はすでに読んでいるかと思いますが、上場企業のCSR担当者の方も一度を目を通しておくべきレポートです。ちょっと前までCSRの専売特許だった「企業価値向上」ですが、統合報告の流れもありすっかりIRや投資サイドのワードになっちゃいましたね。

経産省は、超・統合報告推進派ですし、今このビックウェーブに乗るしかない!

日本企業のESG情報開示状況

日本企業のESG情報開示状況を海外企業(仏・英・米・中)と比較すると、(1)欧州企業ほど幅広い開示は行われていない、(2)Eに関する開示と比べて、SとGに関する開示は限定的である、などの傾向が確認できた。
定量的なESG情報を求める投資家に訴求するためには、CSR関連レポートを「いいこと」「いいもの」を紹介するパンフレット型のものでなく、自社の事業にとって重要なCSR課題に関するデータを盛り込んだデータ重視型のものとすることが有用ではないか。
ESG情報開示における日本企業の評価 グローバル時価総額上位500社の調査から見た傾向と課題

大和総研のレポートですが、情報網羅性もありながらマテリアリティも加味した情報開示が求められているようです。グローバルでは、投資家向けもESG情報開示もマテリアリティの波が強くなり始めているのかな。まぁ、あたりさわりのない“浅い”情報では投資判断できないし、当然なのかもね。

まとめ

最近、CSR部門がやっと純粋な「コストセンター」からの脱却ができそうな気がしてきました。

もちろん、上場会社でなくてもCSRの各項目は社会的ニーズなのでやらないわけにはいきません。

2016年はどれだけの上場企業が新規でCSR報告書(統合報告書)を発行するのでしょうか。期待してお待ち申し上げます。

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csr

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