サプライチェーンマネジメント・CSR調達事例から学ぶ、リスクと機会

CSR調達

サプライチェーンとCSR調達事例

サプライチェーンには“魔物が棲んでいる”かもしれません。

サプライチェーンマネジメントはCSRのトレンドの一つでもあります。サプライチェーンマネジメントは非常に性悪説的な考え方ですが、リスクが多く潜む以上「問題は起きるもの」と仮定し、それに対処していく必要があります。

本記事では、サプライチェーンマネジメントやCSR調達の事例を確認しながら、企業が今後どのように対応すべきかをまとめます。

ちなみに、CSRの国際規格「ISO26000」では、サプライチェーンとは「組織に対して製品またはサービスを提供する一連の活動または関係者」と定義し、バリューチェーンとは「製品またはサービスの形式で価値を提供するかまたは受け取る、一連の活動または関係者の全体」と定義されています。

マイケルポーター氏が提唱した「バリューチェーン」というワードは、基本的にサプライチェーンとほぼ同義語であると解釈してよいと思います。ISO26000の中でもほぼ同義であることが多いよねって書いてあるし。

サプライチェーンマネジメント・CSR調達事例

サプライチェーンのリスク

サプライチェーンの進化は、逆に言えば、問題がある商品もただちに瀰漫(びまん)してしまうことを意味する。瑕疵(かし)や問題を内包する商品であっても、すぐに広がってしまうため、それが取り返しのつかないレベルに発展する。とくに倫理的な問題を内包する場合は炎上という形になって現れる。
この10大炎上事件をあなたはどう見る?ナイキやアディダス、ZARAにGAPは被害者か、それとも罪人か

まさにサプライチェーン(CSR調達)におけるリスクそのものですね。サプライヤー(取引先)の問題は販売元からしてみれば「俺たちのせいじゃない、俺たちは被害者だ」となるのですが、消費者からしてみたら売っている企業しか知らないし、その企業の責任が問われるわけです。

企業としては意図していない形で問題が顕在化することもあり、すべての監査プロセスで100%チェックできるとは思えませんが、「問題は起きるもの」という原則をふまえ、商品・サービスに倫理的な問題があると指摘された時にどのように対応するのかを考えておく必要があります。

もちろん、CSR調達の調査過程で問題が取り除かれるのが理想であり、それこそがCSR調達の意義・意味なのであります。そしてこれらの問題が起きた時に、記者会見やプレスリリースなどで「私たちは被害者です」なんていったらどうなるか…。その事例は以下の記事まとめているのでご参考まで。

不祥事で注目のレピュテーションリスクマネジメント

富士フイルムグループの調達情報

富士フイルムグループは、2009年に制定した調達方針の下、CSR調達に取り組んできました。しかし、サプライチェーンにおける人権尊重や公正な取引など、近年、グローバルでのCSRへの取り組み要請が高まっていることを考慮し、2015年3月、調達方針を改定しました。
富士フイルムグループ「調達方針」改定のお知らせ

僕が見ていないだけな気もしますが、調達方針改訂をニュースリリース(公開)することは、ほとんどない気がします。その中で、CSR先進企業と言われる、富士フイルムグループが改訂した、と。

ニュースリリースとして出すということは、それなりに自信があるのでしょう。サプライチェーンマネジメントは、実務的な部分も重要ですけど、対外的に実行しますと宣言する(コミットメントする)のも重要です。

富士ゼロックスのCSR調達事例

―CSR調達に厳しい条件を設定すると調達コストが高くなる懸念はありませんか。
いいえ。事業採算性はむしろ良くなると考えています。例えば、安い給料で従業員を働かせている企業は、従業員がすぐに辞めてしまいます。しかし、当社が取引している企業は離職率が非常に低いです。慣れた従業員が仕事をしていれば品質が安定しますし、教育のためのコストもかかりません。当社がCSR調達をきちんとやることによって、調達先のステータスが上がり、他のメーカーからの仕事も増えます。CSR調達を厳しくすることで、かえってありがたがられています。
富士ゼロックス代表取締役社長・山本 忠人氏「CSR調達の徹底が競争力を高める」

ここですよね。CSR調達やサプライチェーンマネジメントはリスク管理が基本的な考え方になりますが、適切なサプライヤーを選ぶことで、価値創出が期待できます。リスク管理をすることは、競争優位にもつながる。まさに、「リスク&オポチュニティ」の双方の体現となるわけです。

まとめ

冒頭でも申し上げた通り、企業経営におきるリスクの多くがサプライチェーン上にあることは間違いありません。

自社以外という、基本的にコントロールできない社外の事業領域に対してどのようにリスクヘッジをしていくのか。そして、それらの活動をどうやって経営効果として事業利益に反映させていくのか。

いずれにしても、ただ取引先などに倫理項目実施の強制をさせるだけではなく、CSR調達を行なうことは双方に対してメリットがあることを強調し、パートナーとして長期的に両者の価値向上を目指すという姿勢が大切です。

どの企業のCSR調達を“する側”でもあり“される側”でもあると思いますが、非常に重要なポイントとなるので、チェックシート作成や社内浸透を含めてモレなく確認しましょう。

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