CSR意識調査

企業のCSRと社会貢献に関する意識調査

定期的にまとめている、CSR・社会貢献に関する意識調査。今回は5つのレポートを紹介します。

この手の統計調査・意識調査は母数が少ないものも多く、日本全体の方向性なのか微妙なものもあります。ただ、間違いなく一つの調査データですので、プレゼンテーションや提案に使えるものばかりとも言えます。

5つの調査データという膨大な情報量です。CSR担当者だけではなく、NPO関係者にも有用な調査データとなりますので、必ずブックマークもしくはメモをして下さい。

CSRと社会貢献に関する意識調査

シニア層

シニア層の評価を十分に獲得できていない、企業の社会貢献活動…企業の社会貢献への取り組みについて「評価する」は36.2%。一方で、コーズ・マーケティングの有効層は4割存在。ただし、企業の社会貢献活動に関する情報入手経路は、「テレビCM・新聞広告」が47.4%等、従来型マスメディアが有効。
シニア層から見た、企業の社会貢献活動に関する意識調査

シニア層への企業評価としては社会貢献は有効ではないらしい。全体の6割は企業の社会貢献び関して懐疑的な見方をしています。また、シニア層にはインターネットでの情報が圧倒的に届きにくいという点もあり、コーポレートサイトでのCSRにおける情報開示をしても、その情報は届きにくいと。

でも多くの企業のCSR報告書はウェブからPDFをダウンロードする、もしくは問合せて郵送してもらう、という形のため、企業の社会貢献イメージが偏っている方が多いのかもしれませんね。顧客にシニア層が多いビジネスをしている企業には、情報開示は新聞広告一択ということなのでしょうか。

一般生活者

企業の果たす役割や責任として、「安全・安心で優れた商品・サービス・技術を適切な価格で提供する」ことが最も重要
・企業の商品・サービス・技術は高評価。企業倫理の確立・順守や情報公開への評価も前回調査よりアップ
・企業に対する信頼度が4年ぶりに上昇。情報開示の姿勢、不測の事態への対応などを評価
・企業評価の際の情報源としては、「新聞」に次いで「企業以外(マスコミや情報提供会社、生活者など)のインターネットサイト」
・企業評価に際して最も信用度が高い情報は「メディアからの発信」
・企業不祥事の最大の防止策は「経営者が自ら先頭に立って倫理観を醸成し、法令を順守する」「従業員の倫理観や考え方を変えるように社内教育を徹底する」
・将来性を感じるのは「技術力・研究開発力がある」「優れた商品・サービスを提供している」「人材育成に力を入れている」企業
企業に対する生活者の信頼度が4年ぶりに上昇-「第18回 生活者の“企業観”に関する調査」の結果について

情報開示が進むと企業の信頼度が上がる。これは「透明性」や「情報の非対称性緩和」は情報開示によって進むというセオリー通りのデータですね。

僕としては、『企業評価の際の情報源としては、「新聞」に次いで「企業以外(マスコミや情報提供会社、生活者など)のインターネットサイト」』、『企業評価に際して最も信用度が高い情報は「メディアからの発信」』の2点が興味深い結果となりましたね。

つまり、“信頼性を訴求する”には第三者メディアでの情報発信が重要だと。そりゃ、プレスリリースでの情報開示は自社の言いたい事しか言わないもんね。第三者視点が入る価値は、CSR報告書の第三者意見や第三者保証の仕組みと同じですね。

市民意識

ボランティア活動に関心がある(62.3%)
・過去3年間にボランティア活動をしたことがある(26.8%)
・ボランティア参加者の参加理由は、「社会の役に立ちたいと思ったから」(51.5%)
・「活動を通じて自己啓発や自らの成長につながると考えるため」(33.3%)
・「自分や家族が関係している活動への支援」(22.9%)
・時間の不足がボランティア活動への参加の妨げとなっている
・国や地方自治体に対しては、ボランティアを受け入れる団体・NPO等に関する情報提供や情報発信の充実を求める声が最も高い
市民の社会貢献に関する実態調査(2015)

内閣府の調査データです。一般生活者の「ボランティアについて」、「寄付について」、「NPO法人について」と3項目をいくつかの視点で調査しており、それぞれ興味深い結果となっています。

上記の引用は「ボランティア」の項目の要点です。CSR活動でもNPO活動でも、一定数の人が「情報が不足している」とする回答は他の調査でも良く見かけます。

そもそも企業のコーポレートサイトやNPOの団体サイトで、積極的な情報開示をしてもそこに辿り着く人が少ないという課題はあります。業界団体なのか中間支援組織なのかわかりませんが、ある程度一般生活者に向けた発信力のある方をうまく巻き込まないと、エンゲージメントまでつながらないということかもしれません。

NPOに関する実態

平成25年度の民間非営利団体の収入は、全団体合計では37兆385億円で前年度比1.1%減となった。
平成25年度の民間非営利団体の経費は、全団体合計では35兆3,850億円で前年度比0.9%減となった。
民間非営利団体実態調査(2015)

非営利団体って40兆円に届きそうなマーケットなんですね。もう少し小さい規模感をイメージしていました。1兆円前後の市場規模って、「宝くじ」、「ゴルフ」、「靴」などがあるのですが、その40倍と考えると…すごい社会的なインパクトですよね。

他にも、内閣府はNPO団体の実態調査もしていますので、ご興味がある方は以下のレポートをどうぞ。

特定非営利活動法人に関する実態調査(2015)

まとめ

社会全体の調査データなので、厳密にいうとCSR・社会貢献という領域以外のものもありますが、CSR担当者も色々学びがあると思いピックアップしてみました。

ぜひ、以下の意識調査まとめ記事もお時間がある時にチェックしてみて下さい。

日本人はどんどん利他的になっている? 「日本人の国民性調査2014」
CSR・社会貢献領域の世論・意識調査4選
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