障害者雇用はCSRなのか

障害者雇用は人事戦略なのか、CSR(フィランソロピー)なのか。

以前『障がい者雇用における、企業と障がい者の壁とCSRとは何か』という記事も書きましたが、今回は東洋経済の「障害者雇用ランキング」を改めて振り返りながらまとめてみます。

厚生労働省では、「障害者の雇用状況に関する企業名公表」というアクションもしており、障害者の雇用状況が特に悪く、改善が見られない企業名を毎年度公表しています。現状は2年連続で「公表ゼロ件」だそうです。もしかして今年は…ヒェ〜!

特例子会社や対応部門で働く人は色々知っていると思うのですが、意外にCSR担当者は障害者雇用関連のことは知らなかったりします。今一度、現状の数字等を確認しておきましょう。こうやってCSRの特定領域が義務化・法制化されていくのかもしれませんね。

障害者雇用と事例データ

障害者雇用率制度|厚生労働省

上記は、厚生労働省がまとめている資料ページです。障害者雇用率制度の概要から、特例子会社一覧、障害者雇用納付金制度の概要までの資料があります。

さらに現状でいうと、民間企業の雇用状況実雇用率1.76%。法定雇用率達成企業割合42.7%。法定雇用率には届かないものの、雇用者数は10年連続で過去最高を更新し、数、率ともに過去最高の伸び幅。障害者雇用は着実に進展。(平成25年6月現在)とのこと。平成16年以降、確実に雇用数は増えています。

もっと詳しい資料やデータが欲しい方は『障害者雇用対策|厚生労働省』をご参照下さい。障害者雇用事例に関しては『好事例集|厚生労働省』をどうぞ。

障害者雇用率ランキング

2013年:「障害者雇用率ランキング」トップ100 トップは2年連続でヒューリック、108人のツムラが4位
2014年:「障害者雇用率ランキング」トップ100 16.1%のエフピコがダントツ、ワタミも人員大幅増

これね、詳細は元データを確認いただきたいのですが、特に2014年のエフピコのストーリーが非常に興味深いっす。

単純作業(これも大事な業務ですが)に障害者配置するだけではなく、ビジネス・プロセスの中に、NPOとか最新技術とか働きやすさの改善とかとか。これはみんなでエフピコさんにお金払ってでも、工場見学行くべきかもね。

ウチでは絶対採用できない!という大手企業もあるとは思いますけど、それこそ、社内ビジネスコンテストなどで、現場のスタッフの声を吸い上げる工夫も必要だと思いますよ。もしかしたら、結構採用できたりするかもしれません。

就労継続支援A型事業所全国協議会

障害者の就労を支援する企業や社会福祉法人、NPO法人が集まる全国組織が2月、発足する。少なくとも300程度が参加する見通しで、経営手法や障害に合わせた働き方などについて情報交換するのが目的だ。こうした全国組織は初めてで、今後国や経済団体への要望や要求も集約する考えだ。
厚生労働省によると、A型事業所は2014年6月時点で全国に2238施設あり、利用者数は計約4万人に上る。最近は社会福祉法人などに加え、民間企業も増加。障害者の雇用を義務付けた法定雇用率には算入されないものの、国が助成金を出して普及を後押しする。
障害者の就労支援を手助け 300の企業・NPOなどが全国組織

企業だけではなく、NPO等も巻き込んだ組織作りが現在進行形で進んでいるという話題です。エフピコみたいに、自分たちだけではなく、色々なステークホルダーを巻き込むというのは、今後のトレンドになるかもしれませんね。

まとめ

障害者雇用は、方法論として随分浸透してきた感じはありますね。

ただ問題というか、ちょっと厳しい言い方ですが、障害者雇用が法制化(義務化)されていなかったら、雇う企業は激減するでしょうね。それくらい、障害者雇用が人事戦略とかけ離れているのが多くの企業における現状でしょう。

今後、僕が期待するのは、CSRだからとか、ダイバーシティだから、法律だからではなく、こういったタスクは色々なバックボーンの人がチームメンバーのほうがいい!というような枠組みを企業が作ることです。

もし明日、あなたの働く部署・チーム・プロジェクトに障害者の方が配属になったら、あなたはどう行動しますか?または、あなたが障害者になってしまった時、どういう制度を企業側に求めますか?