フェアトレード定義

フェアトレードの定義とは

フェアトレード。あなたは、日常会話でこの単語を使ったことはありますか?

先日、とある勉強会でフェアトレードの話題が出て、すごく違和感を持ったので、僕なりにまとめてみたいと思います。

よく言われることですが、エシカルやフェアトレードは本来の企業倫理からすれば“して当然”の商慣習です。三方良し的な、ね。しかし、現代の大量生産・大量消費の資本主義社会では“して当然”のこともままならない、と。

ふむ。

では、フェアトレードを掲げ商品を売っている企業はどのように定義しているのでしょうか。僕はフェアトレード学者ではないので、事例を交えながらまとめます。

ただし、BtoCのみです。ざっとウェブで探す限り、日本のBtoB企業ではフェアトレードとかエシカルというワードはほとんど見ることができませんでした。

フェアトレードの定義

良品計画(無印良品)

フェアトレードは、生産者や労働者に対し、より良い貿易条件を提供し、彼らの権利を守る貿易のことです。つまり、作る人も買う人も平等で幸せになれる商品です。無印良品は生産者の皆さんが作った素材を魅力ある商品として企画開発、販売することで、フェアトレード商品をお客様に選んでいただき、買い続けていただくために努力してまいります。
無印良品 フェアトレード商品

生産者を守るルール。無印のフェアトレードじゃない商品のほとんどは生産者に配慮してない商品ってこと?ちなみに、僕は20年来の無印ファンです。どうでもいいけど。

スターバックス

フェアトレードとは、開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指ざす「貿易のしくみ」を いいます。
フェアトレードラベルジャパン|フェアトレードの定義

リンクや内容がフェアトレードラベルだったの引用しました。リンクを貼っているということは、スターバックスの中ではこういう定義ということなのでしょう。全体では「倫理的な調達」という言葉でフェアトレードを表現しているようです。日本でいうCSR調達ですね。

ボディショップ

コミュニティ・フェアトレードは支援を必要としている小さなコミュニティと、持続性のある取引関係を築き、長期的なサポートを続けるための取り組みから生まれました。社会的、経済的に恵まれない生産者から、直接原料やアクセサリーを公正な価格で購入することで、そこに住む人たちは、雇用、医療、教育を充実させ、彼らの持つ文化や伝統を守りながら生活しています。
コミュニティ・フェアトレード

私たちには、人権への熱いこだわりがあり、それに導かれながら世界各地の生産者と取引する方法を確立してきました。「人権擁護」「環境保護」の観点から、私たちは生産者・取引先と密接な関係を築き、環境に配慮した生産と倫理的な取引の実践が私たちと生産者の事業の核となるように連携して取り組んでいます。
エシカルトレード

フェアトレードというワードは出てこない?みたい。で該当するのはこの二つのワードのようです。

イオン

フェアトレードは、途上国などの立場の弱い生産者に、寄付ではなく、商品を適正な価格で継続して買い取ることで、生産者が自立できるように支援する貿易の仕組みです。
フェアトレード

イオンの定義は結構オーソドックスな感じ。イオンのグループのミニストップ、ザ・ボディショップ(イオンフォレスト)、イオンイーハート、などでもフェアトレードの商品を展開しているようです。ブランドで若干定義が異なるということみたいですね。

Ben & Jerry’s

フェアトレードとは原材料の生産者が適正な代金を受け取るということです。 そして、ベン&ジェリーズはとてもたいせつなことだと思っています。
フェアトレード

ベンジェリーズもオーソドックスな感じ。Bコープだからもっと激しい定義なのかと思ってた。

コープ

フェアトレードとは発展途上国の農産物や製品などを、単に市場価格で買い付けるのではなく、農家の生活が成り立つように考慮した「フェア(公正)な価格」で継続的に輸入・消費する取り組みです。
フェアトレード

この「継続的に」というワードを定義として、入れている企業と入れていない企業がいるというのは興味深い傾向ですね。

ピープル・ツリー

人びとが資本・ハイテクノロジーが支配する大量生産のシステムにのみこまれることなく、国際貿易に参加し、自立を図ることにつながるのです。
ピープル・ツリーのフェアトレード

みんな大好き、エシカル・ロハス・フェアトレードのチャンピョン、ピープルツリーの定義です。現代社会へのアンチテーゼ、反骨精神が定義が読み取れます。いいね。

フェアトレードの課題と経済論理

フェアトレードの対象はどうやら「途上国限定」なパターンが多いようです。つまり、日本とアメリカでの貿易なら“生産者に配慮した公正な取引”でも、フェアトレードとは言わないのかもしれません。

ただ、フェアトレードは本来「商売で当然すべきこと」であり、フェアトレードをしたからといって、ソーシャルビジネスになる、とは思えません。「フェアトレード始めました!」みたいのも本来はおかしいですよね。じゃあ、今まで犯罪スレスレの商取引してきたいんか、みたいな。

途上国とのやり取りの時だけ、フェアトレードとなりますが、本来はサプライチェーンマネジメントの中でのことですので、日本企業と日本企業の取引にもフェアトレードの考え方が重要です。このあたりが、私が疑問を持つ所です。

企業は常に外部のサプライチェーンに関して叩かれる可能性があります。日本企業同士だからといって公正な取引をしなくていい、なんて理由になりません。まっとうな商道徳をもっている経営者であればなおさらです。

だから、フェアトレード万歳みたいな人と出会うと何か違和感あるんですよね、僕。確かに、事業に経済合理性のみを求めれば、フェアじゃない取引をして自社の利益創出をはかるというのはあります。

でもどこか論理が破綻しているというか、「では、フェアではないトレードの定義は?」と聞いてもしょうがないしね。多分答えられないからさ。このあたりの違和感をどう解釈すればいいのか、未だに迷います。

フェアトレードをわかっていない?

特に名指しはしませんが、エシカル・ファッションなんかに興味を持つ人たちで、フェアトレードが一部で使われるエシカルのように、かなりバズワードになってきているイメージがあります。

企業のガチなフェアトレードは、サプライチェーン・マネジメントとかCSR調達・グリーン調達などの領域に入るわけですが、ちょっとキラキラ女性に「フェアトレードが専門とおっしゃいますが、日本のサプライチェーン・マネジメントの課題ってなんだと思いますか?」なんて質問した日には、「すみなせん、サプライチェーン・マネジメントって何ですか?」という回答が返ってくるのです…あんた、アホか。

ファッション(流行)で、そういう言葉を使うなということでもないし、個人の啓発がメインだからいいけど、エビデンスとロジックがないフェアトレード論を世界の正義であるみたいに語られると、何とも言えない気持ちになるのは僕だけではないはず。

エシカル・環境問題・フェアトレード、と畳み掛けるようにプレゼンされたら、もうファッション決定です。差別ではなく、こういうちょっとエシカル学んじゃいました系な若い女性は本当に多い。最近はそういう集まりに行かないから会わなくなったけどね。

これはCSRも同じで、広告系、会計系、経営系の多くの人がCSR(特にCSV)を語るのはいいですが、流石にその情報古いやろ!とか、いやそれは日本文化圏ではCSR(CSV)だけど、グローバルな見解でいえば、それはCSRとは言わないよ?みたいな。グリーンウォッシュと同じですわ。

僕はそう思います。反論がある人もいて当然だとは思いますが、そんなに間違っていないと思いますよ。

もちろん、ガチでエシカルを研究している人たちもいます。提言や書籍にまとめたりしている人たちもいます。ファッション業界でガチなフェアトレードをしている人たちもいます。それだけは彼ら・彼女らの名誉のために言っておきます。

まとめ

フェアトレード。本来やって当然のことが改めて定義される現代社会は、何かが歪んでいる証拠なのかもしれません。

そもそもフェアトレードじゃないトレード(取引)って、グレーゾーンというか違法に近いんじゃない?というのが僕の持論です。

フェアトレードの先に、どんなアウトカム(成果)を期待し、どのような未来にインパクトを提供できるのか。

自己矛盾とパラドクスまみれになりがちなワードですが、本当の意味でBtoB/BtoC問わず、フェアな取引が普通になる社会になるのを期待しています。もちろん、僕もそれなりに貢献すべく動いて行きます。

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