CSR関連書籍も出版不況?

今回は、CSRの話なのですが、CSRや社会貢献まわりの書籍の話を。

「CSRや社会貢献関連の書籍は売れない」。こんな話を出版社・編集者や、関連書籍を出している著者のほぼ全員がこんなフレーズを口にします。

そして、僕も同じように感じるのです。

販売部数(実数)を知ることができないのですが、Amazonや楽天Booksなどのランキングを見ても、新刊がランキング・トップに入っている所を見た事がありません。

また、書店でもCSR関連の書籍は本当に少ない。置いてある書店もあるのですが、ほとんど見た事がありません。社会起業家やNPO代表の書籍や、ワークスタイルに関するソーシャル系の書籍のほうが多いですね。とにかくCSR関連書籍は本屋で見かけないのです。

あなたも、ぜひ行きつけの書店に立ち寄って探してみて下さい。多分CSR直球の本は皆無なはずです。売れていない本は、すぐ下げられるので、実際に書店でもロングセラーになることはないのでしょう。経営関連のコーナーが充実している大手書店ならまだ可能性があるのですが…。

▶出版企画案:「拝啓、ブラック企業にお勤めの社畜マネージャー様へ」

売れない書籍シリーズの罠

最近、複数の出版社の方とやりとりをさせていただいているのですが、「ブラック企業」とか「社畜」とかの話題の本って、あんまり売れてないんですって。

2013年に流行語にノミネートされていたし、ボチボチ売れているのかなとおもいきや、そうでもないと。

CSRやブラック企業の話題は僕の専門領域のド直球なのですが、もう少しカジュアルなネタだったり、表現なりを工夫する必要がありそうです。出版社も話題だし、と思い出版してみるものの、実はあんまりウケない…。

よくよく考えてみれば、わからんでもないなと最近思います。

CSRとかブラック企業の話は、著者側は社会的意義のあるものだし、より多くの人に伝えたいと思うのでしょうが、読者には実際ニーズがない、と。

CSRの場合は、そもそも興味がある人が少ない、ニッチな領域というのがあります。想定読者が少なければ、なかなか突っ込んでは行きにくいですよね。

ブラック企業の場合は、読者が読んでも、自分の事を風刺されてるとか、結局僕では会社を変えられるわけではないし、読書したアウトカム(成果)が出しにくい、と思うのかもしれません。

そうなると、もっとライフハックよりな話題にまとめる必要があるのでしょう。

出版不況とは何か

人材系の話題に詳しい、常見陽平さんが、僕も寄稿するアゴラで出版に関するオピニオンを書かれていて、非常に色々思うところがあったので共有します。

「出版不況」なる言葉が生まれて、かなりの時間が経つが、それが慢性化している状態というのは「不況」とは言えない。不況というのは、景気の循環などが存在することを示している言葉である。認めたくない事実だが、出版の、少なくとも一部のカテゴリはもはや、「不況」ではなく、「衰退産業」となっていないだろうか。(中略)
世の中の著者や編集者は、どうだろうか。おなじみの仲間でゆるい話をして本を売りつけて終わる。ぬるいイベントが多くないだろうか。イベントだけではない。そもそもの本が滾っていなければ意味がない。これは自戒を込めて、言うことにしよう。ただでさえ、出版業界は無理ゲー、クソゲー化しているのにも関わらず、そこで勝負する気概というのが、あるのだろうか。
出版業界で食うというロックな生き方①「売れてないな」と思った本がベストテンに入る時代

もはや、本が売れないはデフォルト設定。その状況の中でいかに上にいけるかを考え、実行しなければなりませんね。

新しいメディアというのは、いつも期待を集める。だけど、それが本当に救世主なのかどうかは考えた方がいい。例えば電子書籍だ。電子書籍もよくも悪くも現実を直視するべきだろう。よっぽど売れている人以外は、別に電子書籍は著者を食べさせてくれない。売れている本の電子版が売れるという現実。そして、売れたところで、数はそんなに期待できない。そういえば先日、「常見さんの本は、ウチの新書レーベルのKindle本で売上1位です!」と言われて、「お、これでなんとか来月も食べられるかも」と思ったが、何冊売れたのかと言えば、1ヶ月で40冊だったそうで。これが現実だ。
出版業界で食うというロックな生き方②先に「食えない」を経験した音楽業界から学べ

僕も電子書籍は2冊出しておりまして、『この数字で世界経済のことが10倍わかる–経済のモノサシと社会のモノサシ』(技術評論社)、「SHIFTーエコとGOODを価値にする」(Kindle)という本なのですが、現状の細かい数字は把握できていないのですが、かなり少ないらしい…。実売部数は一ヶ月で数十冊です。

常見さんレベルのこの数字ですので、僕の本なんてね…。

これは人により、意見が分かれると思うのだが、私は大手・中堅くらいのクラスを中心とした出版社から商業出版で出す本と、個人がAmazonで出版社や編集者をつけずに出す電子書籍、言うまでもなく個人のブログなどは別物、別格だと思っている。いや、同じだったら困る。なぜならそこは、出版社が、プロの編集者がついているのだから。
出版業界で食う(3)出版社、編集者には存在価値がある、と信じたい

僕が出版にこだわる大きな理由の一つはコレ。個人ブログも書いているし、いくつものビジネス系メディアに寄稿しているとはいっても、逐次、編集をしてくれる人はいない。アップする前に僕自身で読み直すくらい。

やはり、編集の人がいて、一つの情報アーカイブを作るという作業こそが、読者への価値を高めてくれるのです。僕だけでは、自分の背中は見えないのだから。

出版を希望する人は、相変わらず多い

以前の僕もそうだったのですが、規模に関係なく、独立して事業活動を行っている人の誰もが「いつかは単著を出版したい」みたいに思っているでしょう。

やはり、書籍という現物における情報のアーカイブのインパクトは大きいです。特に年配の方の「安藤先生、若いのに本も出してるんですねぇ。すごいですねぇ。」的なお言葉は後々にビジネスに対して大きな影響を与えます。

しかし、これだけ出版不況と呼ばれ、書籍を出しにくくなっている(売れないので出版社も厳選する?)なかでの単著出版はとても大きな意味を持ちます。

で、僕の場合。1冊目の単著を出版社からのオファー(知人の紹介)で書き、2013年12月に出版となったわけです。で、2冊目をそろそろ書こうと思っても、今の所、オファーはありません。2冊以上出版している著者の先輩方に色々聞きましたが、著名人かよほど売れないと、2冊目のお声がけはないとのこと。

ある出版プロデューサーは、「1冊目を書いて、3年以内にもう1冊書く人は稀」としています。実際には、半分くらいの著者は1冊出して終わり、となる可能性が高いらしい。

理由は色々あると思うのですが、1冊出してその大変さにもう書きたくないと思ったり、いくつかの出版社や1冊目を出した出版社に企画書を送っても、通らなかったとかとか。

0冊から1冊目の壁もとても高いですが、1冊目から2冊目の壁もとても高いと今感じています。

ただ、僕は諦めません。今回の出版企画書「「拝啓、ブラック企業にお勤めの社畜マネージャー様へ」」を公開させたし、いくつかの出版社の編集者の方に提案させていただきました。

今、準備中なのですが、ブログに「出版企画一覧」みたいなコーナーを作り、常時関係者の方にアプローチしていきます。公開して企画をパクられたら、所詮その程度の誰でも書ける内容だったということもありますので、どんどん公開していきます。

1冊目の壁、2冊目の壁。僕はビジネス書作家・ライター専業ではないので、別に書籍を出さなくても生きていけるのですが、伝えたい事はたくさんあるし、ビジネスにも使えるツールとしてもあるし、今後もチャレンジしていきます。