社会貢献は想いを先送りできるのか?

みなさんは「ギフト経済」という言葉を聞いたことはありますか?

ギフト経済とは、お互いが優しさを贈り合うことで成り立つ経済のこと。その根底には、見返りの求めない親切がめぐりめぐって自分に戻ってくる「ペイフォワード」 という考え方があります。

最近、個人的な「見返りを求めないCSR(社会貢献)活動はダメなのか?」という疑問の問いの答えを探しておりました。もちろん、CSR活動は成果を定量化すべき、という前提はあります。じゃあ、効果測定のしにくい企業寄付(年間数千億円)はムダかというと、そうでもないと思うのです。

そんな考えをまとめた記事「可視化・定量化できないCSRは、本当に意味がないのか?」ですが、おかげさまで多くの人にお読みいただけたようです。

企業が社会貢献(慈善活動)ってギフト経済やペイフォワードのロジックなのかなと。CSRは数値化されなければダメだ。それはそうです。でも、単純な善意から起こす行動だってあると思うのです。では、企業のCSR活動とはそもそも何なのでしょうか。

僕の中のCSR的思考実験

良いCSRとは何か。

あなたはこの質問に対して、なんと答えますか?CSR活動の担当者や、CSR活動の支援をするビジネスをしているあなたなら、すぐに答えられるでしょう。絶対の答えがあるわけでもなく、あなたが正解と思うことを答えればいいだけですから。

ちなみに、僕は、この問いに対して即断即決では答えられませんでした。そして、知識や経験がある方ほど、この単純な問いに対して深く考える傾向があるようにも感じています。

一つの答えは「CSRを定義し、定めた目標に向かって進んでいる」ことが、良いCSRなのかもしれない、ということです。

立場によって、CSRの何を重要視するかは異なります。女性であれば、ダイバーシティやワークライフバランスをCSRの要と考えるかもしれませんし、広告系の人はコミュニケーションを重要視するかもしれません。株主的な視点からCSRを見る人もいます。

こうなると、「何が良いCSRか」という問いはそもそも成り立たないのかもしれません。誰が正しいわけでもない、何が正しいわけでもない。

そうなると、答えとしては、「自分たちが良いと思うCSRの指標を理解している事」が重要で、「その目標に向かってPDCAをまわせる仕組みが整っている事」が必要になるでしょう。

ぜひ、「良いCSRとは何か」という問いを、あなたとその同僚とで話し合ってみて下さい。新しい気付きが得られるかもしれませんよ。

CSR論だと、H.R.ボーエン氏の社会的責任論、ミルトン・フリードマン氏のCSR否定論、A.B.キャロル氏の「CSRピラミッド」論などがありますが、ちょっと前の話ではあるので、そのまま現代経営に活かすというのは難しいでしょうし。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

最後に、最近の僕のオピニオン記事を紹介させていただきます。あなたのCSRを考えるのヒントになれば幸いです。

CSRが社内浸透しない最大の原因“行動のジレンマ”とは何か
“社会を変える”とは、誰かを否定することから始まる
現場経験者が語る、企業が社会貢献をすべき理由
可視化・定量化できないCSRは、本当に意味がないのか?