山崎パンのCSR?

先日の大雪で、株(信頼感)も株(株価)も上げた山崎パンの事例紹介を。

メディア的には素晴らしかった事例ですね。届け先にパンを届けられないとわかった時、近くで立ち往生をしていた人たちにパンを配って、ソーシャルメディアで拡散されたという話です。

でも、本来は、届け先の店舗があり、そこに届けられなかったのは事実。物流としては失格でも、株も株もあげた事例となりました。様々なステークホルダーへの配慮があった山崎パン広報の対応も完璧。

現場と本社の役割を完璧にこなした今回の事例は、企業のCSRコミュニケーションの完全体のような事例かと思います。CSRが株価に影響したり、関係したりって実際にあるんですね。

山崎パンのCSR

山崎パンのトラックが積荷のパンを配れた理由

要は、自社の商品を自社で運ぶ山崎パンだからできたと。他社は配送は別業者なので、勝手にパンは配れなかったでしょうね、と。大雪のため高速道路で多くの車が立ち往生した時に、緊急的なものとはいえ、一応本社確認済みの対応なようです。

何時間も食べ物がない中、パンを貰えた人にとっては神対応に見えたのでしょうね。

ヤマザキ雪のパン祭りで株をあげた山崎製パンが本当の株まであがって東証の食料品セクター値上がり率トップ

文字通り、株(信頼)も株(株価)も上げました。今回の「美談」は新聞やテレビ、オンライン記事などでも報道され、その広告効果は2億円以上との記事もある。株価も上がり、時価総額は130億円ほど増えた計算とのこと。すげー。

インターネットには、非常時に人助けができる人材を抱えている山崎製パンの社風に言及するものもあり、同社の知名度や企業イメージもまた、急上昇しているとみられる。(略)これに対して、山崎製パンは「とくに会社として指示したものでも、非常時の対応として(商品の配布について)の規定があるわけではありません。運転手が機転を利かしたのでしょう」と話している。ただ、「当社としては商品が届かず、ご迷惑をおかけしているお取引先のこともあります。この件についてコメントすることはありません」(略)山崎製パンでは、前日製造した商品は翌日には届ける体制を敷いているが、「山梨県全域はまだ大雪の影響が残っており、商品が届いていない地域があります」という。
「取材記事は発表前に確認させてください」という広報担当者が「時代遅れ」では全くない理由

つまりですね、無料で配るという対応はすばらしかった。でも、本来は売り物。それを予定通り届けられなかったのはくやしいと。無料配布だけを取り上げられましたが、本来あるべき姿を達成できなかったので、何とも言えないとのこと。このステークホルダーへの配慮の広さは素晴らしい。

メディアでは事象の一部だけ取り上げられることがありますが、今回は本社も奢ることはなかった。自分たちのすべきことは、色々わかっていたということでしょう。うーん、神対応!!

しかし、配られたパンに目を向けると、添加物をたっぷり使用しているとして、多方面から安全性に数多くの疑問を投げかけられている山崎製パンの製品である。もちろん、法律で使用を禁止されている薬物が入っているわけでもなければ、残留農薬等が基準値を超えているわけでもない。すべては厚生労働省の定める“安全”の範囲内に収まっている。
神対応の山崎パン、安全面で多い疑問?大量添加物、常温なのに長い賞味期限…

まぁ、こういうこともあるでしょう。法的に悪い事をしているわけではありませんし、他のメーカーのものもそこまで変わるとは思えません。

今回の対応は素晴らしかった。まずは、それで。僕は株してませんので、山崎さんの株の売買はしませんが。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

CSRコミュニケーションの事例としてめっちゃ参考になるポイントは一つ。「現場も会社も配慮が行き届いていた」ということです。

ともすると、CSRコミュニケーションは批判の対象になったります。それは企業の姿勢と現場の方向性に違いがある、という場合が少なからずあります。社名は控えますが、企業トップの発言と現場の感覚に大きな隔たりがある上場企業なんていくつもありますからね。

あなたの会社は、緊急時に現場と本社の意見を即座に刷り合わすことができますか?

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