祝・流行語大賞!
今週、年の瀬の風物詩「ユーキャン・流行語大賞」が発表されました。
今年は、年間大賞に史上最多となる「今でしょ!」、「じぇじぇじぇ」、「倍返し」、「お・も・て・な・し 」の4つが選ばれたそうです。いやいや、せめて2つとかにしておけばいいのに。来年以降、1つにしにくくなると思うのですけど。
ブラック企業問題を解決するタイミングはまさに「今でしょ!」なんですが、「じぇじぇじぇ」!対応面倒です!という企業経営陣を尻目に、従業員はいつか「倍返し」してやる!と奮闘しつつ、「お・も・て・な・し」が重要な日本人気質から、結局議論にもならず、来年以降も流行が続きそうな感じがします。
OECDのデータから見る、日本のブラック企業については、『各種調査から考察する、ブラック労働者な香りがする「11%の人々」』をどうぞ。
ブラック企業の現状
拙著『この数字で世界経済のことが10倍わかる–経済のモノサシと社会のモノサシ』でも書いたのですが、日本の労働生産性はOECD主要先進国7カ国中で18年連続最下位となっています。
長時間労働・低賃金の傾向は今に始まったことではないということでしょうかね。でも、労働生産性を上げる前にサービスレベルを確保するのは日本人らしいところではありますが。ただ、残業も含めて、がんばっても自分にメリットがない状況を何年も続けるのは困難ですね。
また、総務省によれば、週間就業時間60時間以上の人は、全体の11%(約478万人)以上になるそうで。週60時間以上ということは、週5日勤務の1日12時間労働以上となります。現実的に考えれば、朝9時に出社し、退社するのは夜9時以降がほぼ毎日で、場合によっては最終電車(午前0時前後)の直前まで勤務しているという実態だと推測されます。
オランダは、週のうち29時間が労働時間で、平均所得は約470万円ってOECDのデータがあります。確か日本は全体で年収は400万円ちょっとですよね。しかも60時間働いて年収が400万円って人結構いると思うのですが。「日本って…」思ってしまいますよね。
ブラック企業のグラデーション現象
若手社員らに対し、残業代を支払わなかったり不当な退職勧奨をしたりする「ブラック企業」が問題視されるなか、厚生労働省の審査を受けて、非ブラック企業との「お墨付き」をもらい、学生らにアピールする企業が増えている。今年10月末時点で宣言したのは4375社。各労働局のホームページで閲覧できる。
「非ブラック」宣言続々 企業が就活生にアピール
ただ、ブラック企業かどうかは、自分がそう思うかどうか、という主観性が強い事柄でもあることは事実です。ブラック企業は相対的な傾向が強く、絶対的なものではないのです。
長時間労働で仕事のプレッシャーも強いことで有名な、戦略コンサルタントなどはブラックとなぜ呼ばれないか?これは上記の労働時間や労働の苛酷さが“絶対的”な指標ではないからと言えるでしょう。
ブラック企業たるゆえんは、その範囲の広さが大きく影響しているからです。労働条件など特定のルールを変えれば、解決するというものでもないのです。これをいうと、某ブロガーの方に怒られそうですが、「ブラックと思うかどうかは、人それぞれ」なのです。
例えば。アパレル企業の店舗スタッフはいわゆるブラック(長時間労働、低賃金)であっても、本社スタッフやマネージャー陣はブラックではない可能性も高いのです。
つまり、昨今のブラック企業論で語られないのが、企業単位ではなく、部署などで起こる“濃いブラック”と“薄いブラック”という現実で起こっているのグラデーションなのです。
参照
▶ブラック企業問題は人権問題? 課題解決のためのラギー・フレームワーク「ビジネスと人権に関する指導原則」
ブラック企業と採用の話
若者に過酷な労働を強いる「ブラック企業」対策で、厚生労働省は来年度からハローワークを通じて大学生や大学院生を採用する企業に対し、離職率の公表を求めることを決めた。2015年春の大卒、大学院卒らに向けた求人票から、過去3年間の採用者数と離職者数の記入欄を設ける。記入は強制ではないが、「空欄のままだと公表できないほど離職率が高いのではと見られる」(厚労省幹部)として、抑止効果が期待できるという。
「ブラック企業」対策へ離職率公表…新年度から
CSR推進企業でも、いわゆるブラック企業と名指しされる企業はいくつかあります。それは、上記のような定義で「離職率」や「過酷な労働」という指標のみが使われているからです。
過酷な長時間残業や賃金の未払いなど労働環境に問題がある企業について、厚労省は、無料の電話相談や立ち入り調査を行うなど対策を進めています。来年度からは新たに、ハローワークを通じて大学生や大学院生を採用する企業に対し、求人票に過去3年間の採用者と離職者の数を記入する欄を設けることを決めました。
ブラック企業対策で 離職率の公表求める 厚労省
まとめ
いかがでしたでしょうか。
そもそも、なぜブラック企業が生まれるのかという命題に向かわない限り、対処療法のみでは解決できない課題と感じるのは私だけではないと思います。
ビジネスパーソンにとって、とても身近な話題であるブラック企業問題。
流行語にもなりましたし、これから社会全体で広く議論されることを期待します。そして、労働環境の改善が進み、ハッピーになる人が増えれば幸いです。
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(祝・流行語大賞! 「ブラック企業」が採用困難になる時代へ|Yahoo!ニュースを修正加筆し、転載)