ソーシャル・インパクト・ボンド
ソーシャル・インパクト・ボンド(Social Impact Bond、社会的インパクト債権)。
イギリス発のソーシャルセクターへ向けた新たな資金調達の仕組みで一旦投資家からNPOなどの活動資金を調達した後、NPOなどによる社会問題の解決の成果に応じて政府が投資家に配当を支払うモデルのことです。
僕は詳細がまだ掴めていないのですが、ソーシャルインパクト・リサーチの熊沢さんがかなり研究されていらっしゃったので、今度講義を聞きにいこうと思いますがその前に、大枠の確認を。
ソーシャルインパクトボンド(SIB)とは
ソーシャルインパクトボンド(SIB)とは社会的問題を解決していくための活動に対して投資する政府と民間との契約。政府は成果に対して支払いを行い、当初は民間からの資金を使って活動する。成果をあげることで削減される費用から投資家へのリターンを支払うため、公共セクターとしては税負担を増やさずに革新的な公共サービスを提供できる。
(ソーシャルインパクトボンドカンファレンスに参加しました)
ふむ。要はソーシャルセクターへの寄付ではなく、リターンを加味した投資ってことなんでしょうかね。もちろん、何でもこのSIBが適用できるわけでもないようです。
「数値化」できない社会現象は評価できないので、投資として成り立ちませんよね。成果を測定できてこそ、投資の対象になりうると。細かい部分を見れば、金融商品であり、債券や株式に近い特性もある。
で、アメリカではゴールドマンサックスなどもSIBに取り組んでいるようですが、他の投資と比べて“大きく儲ける”ことはできなさそうな感じです。
現在、ソーシャルインパクトボンド(SIB)は英国を超えて、米国オバマ政権においても1億ドルの予算化がされています。また、韓国においてもSIB発行が準備されています。SIBはソーシャルセクターや公共セクター向けの新たな資金調達手段として世界的な広がりをみせています。G8においても、英国がSIBの導入を先進国共通の政策課題として打ち出すことになっています。しかし残念ながら日本においてはSIBの認知度が低く、全く議論がなされていません。
(ソーシャルインパクトボンド カンファレンス)
おーおー、世界は結構動いているんですね、なるほど。オバマ氏は元々ソーシャルセクターとの接点というか、貢献は強いですしね。日本(個人・法人問わず)も投資対象として見る人が増えるといいですね。
でも金融素人から見ると、NPOとしては、クラウドファンディングで大砲を打つか、寄付系ウェブサービスで小銭収集をするかのほうが、楽な気がするんですけどね。どうなのでしょうか。
企業や政府からしたら、助成してリターンはほとんどない状態より、投資としてリターンがあったほうが良いでしょうけど。
ソーシャル・インパクト・ボンドの課題
事業実施主体にとっては、目にみえる結果が求められる一方、長期にわたる運転資金を事前に確保できるというメリットがある。マイクロファイナンスやクラウドファンディングと同様、社会貢献型金融に位置づけられる。ボンドという名前がついているが、民間から資金を集める形態は債券だけでなく、出資、融資、寄付の形態をとることもある。
(ソーシャル・インパクト・ボンドの課題)
もちろん、始まったばかりのもので課題は山積み。公共ファイナンスの新たな手法として期待されるますが、リスク軽減を図る仕組み、事業実施主体の信頼性確保、事業成果の評価手法の確立、投資の税務上の取扱いなど課題は多いみたいです。
SIBの課題としては、「リスク、実施主体の信頼性、評価」の三つが考えられる。まず、SIBを投資商品としてみた場合、事業が成功しなければ償還ゼロではリスクが大きすぎる。ピーターバラの場合、投資家は、最悪の場合には「寄付」を覚悟できる慈善団体だった。また、ゴールドマン・サックスがニューヨーク市で組成したSIBでは、ブルームバーグ市長の個人基金「ブルームバーグ・フィランソロピー」から720万ドルの保証がされ、最大損失は240万ドルに限定されている。
(ソーシャル・インパクト・ボンドの課題)
逆に言えば、このあたりの課題を解決する手法が見つけられれば、かなり有望なスキームとも言えるのかもしれませんね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「儲かるCSR」の一翼を担うであろうSIBなので、今後も継続的に情報を集めていきたいと思います。金融系は詳しくないので、勉強必須な僕ですが…。
詳しい方がいらっしゃいましたら、逆に教えていただきたいです!! コメント欄ないけど。
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