CSRレポート

前々回は「企業ブログのまとめ」、
前回は「CSR関連のTwitterアカウントまとめ」、
今回は「CSRレポート動向調査」について。

まとめシリーズが続いていますが、
特に意図はありません。
気付いたら連続していただけです(笑)

とまぁ、前置きはそれぐらいで、
僕がまとめた、2011年版CSRレポート動向調査の概要をお伝えします。
詳細につきましては改めてどこかのWebで公開します。

調査内容

2011年3月〜11月に発行された、2011年版のCSRレポート・CSR報告書を無作為に100社選び調査(総サンプル数200社)。調査対象は日本語版のみ。調査は2011年11月下旬。調査項目は、「ページ数」「名称・タイトル」「形式」「デザイン」「マーケティング視点」「コミュニケーション」「編集方針」の7項目。

すごい偏っている、調査項目です。
専門家の先生方には、本質ではないとか言われそう。
一般的な切り口の動向調査は他社がまとめているので、
そちらをご参照ください。

今回の切り口は、
CSRレポートの“コミュニケーション”という視点です。
他のCSRレポート動向を調査している所にはない視点。
でも、実制作にはとても大切なことだと考えています。

調査結果概要

2010年版CSRレポートの傾向から大きな変化はなく、形式の多極化、ウェブでの情報開示などが少しずつ進んでいる。また企業のCSR部が運営するブログなども今年は活発になっており、ウェブとCSRレポートの連動・連携が進み、媒体の使い分けが顕著に。しかし、まだまだマーケティング戦略が欠けており、トータルデザインに整合性がない例も目立った。「わかりやすい」CSRレポートにするには、今一度、内容、ウェブも含めたCSR関連情報発信のコミュニケーション・デザインが必要である。

CSRレポートの「ウェブ化」。100社のCSRレポートを読んで、
これを今回一番感じました。
多くのCSRレポートは、詳細情報はウェブで確認して下さいとしていたのです。

統合版(会社案内、IR、アニュアルレポートなどを合わせた総合版)が
もっとあるのかと思っていたのですが、100社中6社のみ。

冊子形態のCSRレポートの役割が大きく変化しているようです。
紙のCSRレポートがなくなることはないでしょうけど、
ダイジェスト版のみ、という方向に動いていきそうですね。

コミュニケーション

コミュニケーションを積極的にしようと試みているのは22社。

コミュニケーション・ツールという定義をしている割には、コミュニケーションをしようとしていないCSRレポートが多くて、正直驚いた。CSRレポートを使ったコミュニケーションとして「アンケート」があり、PDF版の最後にFAXなどで返信できるようになっているが、PDF版を印刷しFAXをしなければならないのはひどく手間である。せめて、PDF版をダウンロードできるWebページから感想メールが送れるなど、ユーザビリティの改善はしてほしい。このあたりは、CSRレポートといえど、Webで双方向になるコミュニケーション導線を作ってほしいと感じた。コミュニケーションにいくつも壁があると、ほんとに何かを感じてくれた読者の反応が見えなくなってしまう。アンケート自体は、フィードバックとして今後に役立つ方法なので、双方向のコミュニケーションを意識した改善が必要だ。
2011年版からは、CSRレポートに「ウェブサイトでのアンケートのご協力もお願いします」といった表記をする企業も増えている。機会損失が起きない様、アンケートの導線を作る必要はある。紙の情報管理の煩雑さも含め、ウェブアンケートが今後増えていくものと推測される。また、「ステークホルダーとのコミュニケーションツール」と明記しているにも関わらず、読者側からのコンタクト方法が明記されていないレポートも多い。問合せ先を書けば、コミュニケーション成り立つというわけではない。ご意見をウェブで、とか、ウェブのアンケートをお願いします、ということならまずはコミュニケーションが行えるフィールドまで誘導していると言える。それでも読者のインセンティブ・デザインができているかというと疑問ではある。もちろん、「報告のみが目的です」と明記しているCSRレポートもあるので、目的・KPIの設定次第でコミュニケーション構築をすべき、ということはある。

コミュニケーション動向について

まぁ、そういうことです。

ウェブは特定層ではなく、どちらかと言えば全方向のアプローチですので、
社員も含めて、誰に何を発信するかを考えることは非常に重要になってきます。
読者をセグメントして、読者に見合った内容を掲載する必要もありそうです。

1社しかなかったですが、CSRサイトへのウェブサイト誘導ではなく、
Twitter/facebookの専門アドレスを掲載し、
ソーシャルメディアでのコミュニケーションへの誘導を計るレポートもありました。
こういった取組みは来年には増えると推測されます。

人様のCSRレポートを勝手に批評するという、
趣味の悪い調査をした結果の推測ですが、
CSRレポートの「ウェブ化」は更に進むと思います。

その他主要項目【追記2011.12.03】

【ページ数】
平均46.03ページ。

【形式】
CSRレポートの“ダイジェスト化、ウェブ化”が進む。

【デザイン】
表紙以外がオリジナル・デザインのレポートは13社のみ。

【マーケティング視点】
想定読者が明記されているCSRレポートは30社。

【名称・タイトル】
「CSR報告書」が1位(27社)。「CSRレポート」が2位(22社)。

【編集方針】
編集方針が書かれていないのは10社。

【BOPビジネス、ソーシャルビジネスへの言及】
BOPビジネスやソーシャルビジネスの記述があったCSRレポートは、2社のみ。
ヨーロッパやアメリカのCSRレポートとは違い、日本のCSRレポートには、
BOPビジネスやソーシャルビジネスの記述が圧倒的に少ない。

【NPO法人】
株式会社であるが、NPO法人を関連会社に持つ企業が2社。
もともと、企業の社会貢献活動としてしていたが、本格的に活動するにあたり、
プロジェクトを法人化したという流れがあるらしい。
社内発のNPOを積極支援するというのも一つのCSR活動の仕組みではある。

【第三者意見】
最多登場回数は、IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]代表の川北秀人氏。
川北さんさすがっす。

参照:2013年のトレンドは何だ!?最新CSR報告書・CSRレポート動向まとめ