サステナビリティ経営の進め方
久しぶりの読書メモを。今回は、丹下英明・長崎大樹「サステナビリティ経営の進め方」です。編著者の丹下英明先生は、我らが法政大学の先生でしたので、発売前にネットで予約購入をしました。私と所属が違うので直接の面識はありませんが、ぜひどこかでお話をお聞き出ればと思います。副題に「地域で生き残る中小企業のための」とあるとおり、中小企業のケーススタディを中心とした視点でサステナビリティ経営をいかに進めるべきか、をまとめています。
さて、本書の大きなテーマが「CSV(共有価値の創造)」です。CSVはみんな大好きなマイケルポーターらの事業を通じた社会的インパクトを生み出す考え方です。書籍全体は、中小企業を支援する立場から語られていて、類型化されたフレームワークなど、これから始めるフェーズの方に参考になると思います。
個人的には「中小企業はリソースが足りないからサステナビリティ推進活動ができない」という本書でも言及される論調ですが、これは明らかに間違っていると言えます。これは大企業でも同じだからです。時価総額が1兆円を超えるような企業でも専任スタッフが少数でまわしている例もあります。上場企業は開示規制対応もあって担当者の多くは疲弊しています。予算も限度があり組織規模に対する比率でいえば、中小企業以下のリソースで対応している大企業も少なくありません。
それはさておき、本書では中小企業の現実的なサステナビリティ経営がまとめられており、これからサステナビリティ推進を本格的に始める企業(中堅中小企業)の方、またはサステナビリティ経営支援に興味がある中小企業診断士の方などの参考になると思いました。
概要
タイトル:サステナビリティ経営の進め方-地域で生き残る中小企業のための
著者:丹下英明、長崎大樹(編著)岡川直、小林郁也、小松美央、新家彰(著)
ECサイト:https://www.amazon.co.jp/dp/4496057824/
出版社:同友館
発売日:2025/10/7発売
内容
サステナビリティ経営の本質はCSV(共通価値の創造)であり、すなわち「社会貢献をしながら利益を生み出す」ことであるという視点を強調し、具体的なメリット、また中小企業ならではの進め方を提示します。さらに、中小企業経営者や中小企業診断士としての支援する側・される側の両方の視点を交え、かつ中小企業ならではの地域とのかかわりの視点を取り入れ、製造業、建設業、アパレル業、老舗企業など、さまざまな業種や取組み方におけるサステナビリティ経営の事例を紹介します。
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