統合報告書アワード

統合報告書アワード2023-2024

2024年2月時点で、2023年発行分の国内統合報告書のアワード表彰を行なっているのは3機関あり、先日、表彰が出揃ったので本記事でまとめます。これらは例年では年末〜2月末ごろで発表されている統合報告書に関する表彰です。統合報告書を評価する視点も色々ありますが、この3機関の評価を毎年チェックするだけでその時代に求められているエッセンスを学ぶことができると思います。では早速どうぞ!

第3回日経統合報告書アワード

■グランプリ
 野村総合研究所
 コンコルディア・フィナンシャルグループ
 東京応化工業

■E賞
 デンソー

■S賞
 村田製作所
 レゾナック・ホールディングス

■G賞
 日本ペイントホールディングス
 日立製作所

出所:NRIなど3社グランプリ-日本経済新聞(2024/2/23)

GPIFの国内株式運用機関が選ぶ「優れた統合報告書」

■GPIF の運用機関が選ぶ「優れた統合報告書」 (複数機関選定)
 積水ハウス
 アサヒグループホールディングス
 キリンホールディングス
 双日
 味の素
 レゾナック・ホールディングス
 三井化学
 野村総合研究所
 アステラス製薬
 AGC
 三菱マテリアル
 荏原製作所
 日立製作所
 オムロン
 ソニーグループ
 デンソー
 村田製作所
 コンコルディア・フィナンシャルグループ
 伊藤忠商事
 三菱商事
 三菱UFJフィナンシャル・グループ
 大和証券グループ本社
 東京海上ホールディングス
 ANAホールディングス
 九州電力

出所:GPIF(2024)『GPIFの国内株式運用機関が選ぶ「優れた統合報告書」と「改善度の高い統合報告書」』(2024/2/21)

統合リポート・アウォード2023

■Gold Award(優秀企業賞)
 伊藤忠商事
 デンソー
 東京海上ホールディングス
 三井化学

■Silver Award(優良企業賞)
 ナブテスコ
 日本精工

■Bronze Award(準優良企業賞)
 MS&ADインシュアランスグループホールディングス
 東京応化工業

■Special Award(審査員特別賞)
 日立製作所

出所:【速報】WICIジャパン 統合リポート・アウォード2023の審査結果と表彰式(2023/11/24)

参考

IR優良企業賞2023

IR優良企業賞は、IR視点でESG開示評価を行なっているので、IRを含めたサステナビリティ情報開示の参考事例になるかと思います。

■IR優良企業大賞
 日立製作所

■IR優良企業賞
 アシックス
 荏原製作所
 中外製薬
 野村総合研究所
 日立建機
 三菱UFJフィナンシャル・グループ
 村田製作所

出所:日本IR協議会(2023)「IR優良企業賞2023」

発行社数

企業価値レポーティング・ラボの調査によれば、2023年の統合報告書発行社数は「1,017社」で大台を超えたそうです。このうち上場企業は943社とのことで、全国内上場企業の3割程度が発行する任意開示レポートとなりました。海外では反ESGの動きもあるのですが、統合報告書は企業価値に関するレポートなので必ずしも反ESGの流れの影響を受けず、発行社数は今後も増え続けることでしょう。

出所:企業価値レポーティング・ラボ(2024)「日本の持続的成長を支える統合報告の動向2023」

まとめ

3機関すべてに選定されたのは、日立製作所・デンソーの2社でした。関係者のみなさまおめでとうございます。日立製作所は前年よりページ数を半減させたそうですが、それでも高い評価得られるという事例ができたのは、今後の運用のヒントになるとは思います。情報の量で質を担保していた統合報告書の時代は終わったのか。それとも単なる例外なのか。2024年発表分の統合報告書も楽しみです。

もちろん、こんな“賞レース”なんか関係ないぜ(アワードにエントリーしない)という企業もあります。1,000社を越えるすべての統合報告書から表彰しているわけでもありません。ただ、一つの結果として、いわゆる有識者や学識経験者とされる専門家や、実際の読者となる投資家サイドの人たちが評価しているというのは、一つの大きな結論かと思います。

統合報告書発行企業のみなさまはこれらのアワード表彰からベンチマーク企業を見つけ、良い部分は真似し、悪い部分は反面教師として、統合報告書制作に取り組んでください。コンサルティング会社や統合報告書制作支援会社のみなさまもベンチマークしていただき、来年こそはここに支援先企業の名前が掲載されるように、本気でお客様の価値創造ストーリーを見える化させていきましょう。

統合報告書の発行社数が2割を超えて、いわゆるキャズムの壁を超え普及期に入ったわけですが、今後はより質が問われることになるでしょうし、投資家サイドの評価もより厳しくなっていくでしょう。今後、より求められる「わかりやすい統合報告書」を目指し日々精進するしかないですね。私も(未公開のほうが圧倒的に多いですが)統合報告書の第三者評価を毎年いくつもさせていただいてますが、今回の企業事例を研究して、限りなく正解に近いアドバイスを徹底して行なっていきます。

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