東洋経済CSRランキング

CSR企業ランキング2023

本日2月5日発売となった雑誌『週刊東洋経済 2024年2/10号』で、東洋経済新報社の最新版CSR企業ランキングが発表されたので共有します。

「CSR企業ランキング」とは、東洋経済新報社が2007年から行っている、1,600社以上の「CSR企業調査」のデータを元に財務・非財務の両面を評価した、国内最大規模のCSR/ESG/SDGs/サステナビリティ総合評価企業ランキングです。

この東洋経済の調査データは、主に研究者や一部のESG評価機関/データプロバイダなどで活用されているようです。もちろん、私もこれらのデータを元に色々と企業研究をしています。最近では関連書籍が多くの大学に置かれていることも増えているようで、学生の企業分析などでも活用されているみたいですね。雑誌では詳しいランキングが載ってますので詳細を確認したい方はそちらでどうぞ。

※東洋経済オンラインの有料会員の方は最新拡大版!「CSR企業ランキング」トップ800社でランキング詳細が見れます。

CSR企業ランキング2024・トップ30

1.三井物産(前回順位:6位)
2.JT(10)
3.日本電信電話(2)
4.NTTデータグループ(9)
5.NTTドコモ(4)
6.富士フイルムHD(1)
6.NEC(14)
8.KDDI(8)
9.積水ハウス(5)
10.大和ハウス工業(15)
11.キヤノン(11)
12.サントリーHD(20)
13.デンソー(12)
14.セイコーエプソン(18)
15.花王(7)
15.ダイキン工業(13)
17.富士通(23)
18.中外製薬(3)
19.伊藤忠商事(26)
20.信越化学工業(27)
21.村田製作所(17)
22.アイシン(30)
23.住友商事(42)
24.コマツ(16)
25.東レ(22)
26.旭化成(25)
27.東京エレクトロン(29)
28.豊田通商(45)
29.クボタ(21)
29.第一三共(37)

参考:CSR企業ランキング2023・トップ30

1.富士フイルムHD(前回順位:5位)
2.日本電信電話(1)
3.中外製薬(6)
4.NTTドコモ(2)
5.積水ハウス(12)
6.三井物産(4)
7.花王(10)
8.KDDI(3)
9.NTTデータ(62)
10.JT(7)
11.キヤノン(39)
12.デンソー(19)
13.ダイキン工業(14)
14.NEC(15)
15.大和ハウス工業(26)
16.コマツ(18)
17.村田製作所(23)
18.セイコーエプソン(32)
19.NTT東日本(13)
20.サントリーHD(8)
21.クボタ(25)
22.東レ(16)
23.セブン&アイHD(11)
23.富士通(23)
25.旭化成(20)
26.伊藤忠商事(22)
27.信越科学工業(29)
28.アサヒグループHD(28)
29.東京エレクトロン(38)
30.アイシン(17)

参考:過去CSR企業ランキング詳細

東洋経済CSR企業ランキング2023
東洋経済CSR企業ランキング2022
東洋経済CSR企業ランキング2021
東洋経済CSR企業ランキング2020
東洋経済CSR企業ランキング2019
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東洋経済CSR企業ランキング2017
東洋経済CSR企業ランキング2016
東洋経済CSR企業ランキング2015
東洋経済CSR企業ランキング2014
東洋経済CSR企業ランキング2013
東洋経済CSR企業ランキング2012
東洋経済CSR企業ランキング2011
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所感

大激戦の今年の1位は三井物産でした。2位はJT、3位は日本電信電話。今年のトップ30では、昨年のトップ30圏外からの入れ替えは3社でしたので、最上位クラス自体の入れ替えはあまりなく、トップ30社の中での“入れ替え戦”みたいな結果となりました。

大幅にランクアップしたトップ100企業は「ソフトバンク(118位→67位)」「日東電工(198位→76位)」「東急不動産HD(182位→82位)」「丸紅(132位→84位)」などです。トップ100は点数差があまりないので少し上がっただけでも一気に順位が上がることがあります。1点に笑う者は1点に泣く、ですよ。

逆に、大幅にランクダウンした企業は「ホンダ(57位→199位)」「ソニーグループ(51位→208位)」「マツダ(48位→213位)」「コニカミノルタ(95位→216位)」「LINEヤフー(49位→225位)」「双日(91位→283位)」などでした。公開情報を見る限り活動自体は網羅的に行われているようなので、開示ミスなどがあったのかもしれません。もしくは、今まではアンケート回答していたけど、今回調査から回答なしという企業は、調査サイドで公開情報から評価している可能性があるのでそのせいかもしれません。

ここでは私からテクニカルな話はしませんが、東洋経済新報社側で「東洋経済CSR評価項目一覧・ポイント」などで、どの項目はどんな点数でどんな回答が求められているかなどを公開していますので、回答企業の担当者の方は絶対チェックしましょう。これらの公開情報だけでもそれなりに点数挙げられると思います。(もちろん推進活動をしている前提ですが)

あと最近の雑感を少々。上場企業へのサステナビリティ情報開示の圧力が高まっていることもあり、対応としてより投資家がチェックするESG調査に集中対応をする傾向があり、国内の大手ESG調査(東洋経済と日経)を避けるようになってきている企業が増えています。日本企業だと、MSCI,FTSE,CDP,DJSI,SustainalyticsなどのESG評価対応が人気のようです。そのためか、東洋経済CSR調査の回答をやめる企業がここ1〜2年で増えてきている印象です。回答リソースに限界がある以上、国内のESG調査よりグローバルなESG評価に対応する企業が増えているのは当然なのかもしれません。15年近く調査動向を追っている人間としては寂しく感じますが、これも時代の流れなのでしょうか。

東洋経済CSR調査の項目は、サステナビリティ推進における活動のKPIや活動項目を網羅的にまとめているのが特徴なので、これから本格的に推進活動をするという企業にはよい指標でした。ですが、サステナビリティ推進活動を行う企業が増えた結果、さらに上の指標に取り組むために、一巡して調査回答が見送られることになっているのかもしれません。あと企業担当者の方から聞くと、グローバルな回答項目と東洋経済CSR調査の項目が異なっているので回答がしにくいという指摘もあります。なかなか難しい問題ですね。

東洋経済CSR企業ランキングは、日経SDGs経営格付(日経SDGs経営調査)と合わせて、規模としては国内ESG評価の2トップとなっています。完全にグローバルに向いている企業担当者でも、そこまで意識していないといいながら回答していることは多いですが、今後どれだけ離脱組が増えるかも注目のポイントでしょう。私は引き続きウォッチしていきます。

まとめ

今年もなかなか興味深い順位となっていましたが、前述したように、今後の調査アンケート回答企業数は気になることろです。全体の数としては、回答企業数もしくは公開情報調査企業数が増えて微増にはなると思いますが、今後の展開は注目です。というわけで、回答する企業も回答しない企業も回答項目は参考になると思うので毎年チェックしてみてください。

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