「日経SDGs経営調査」とは
先週、国内サステナビリティ企業評価2トップのひとつ「日経SDGs経営調査」が発表されましたのでシェアします。
>>温暖化ガス排出ゼロ、267社が宣言 本社SDGs経営調査
SDGs経営調査は「SDGs戦略・経済価値」「社会価値」「環境価値」「ガバナンス」の計4つの分野に関する質問で構成された、企業向けアンケート調査などから20の評価指標を作成。2021年5月、全国の上場企業および従業員100人以上の有力非上場企業を対象に実施され、有効回答は846社でした。毎年100社くらい回答数が増えていますかね。評価指標となる4分野と評価指標は以下の通りです
■SDGs戦略・経済価値
方針、報告とコミュニケーション、推進体制・社内浸透、ビジネスでの貢献、業績の5指標
■社会価値
人権の尊重、消費者課題への対応、社会課題への対応、労働時間・休暇、ダイバーシティー、従業員エンゲージメントの6指標
■環境価値
方針、温暖化ガス・脱炭素、消費電力、廃棄物、水資源、気候変動・資源・生物多様性の6指標
■ガバナンス
ガバナンス方針と実効性、取締役会、株主対応・株式保有の3指標
というわけで早速格付けを紹介します!
日経SDGs経営調査・格付け
「第3回日経SDGs経営大賞」はアサヒグループホールディングスでした。部門賞に当たるSDGs戦略・経済価値賞にはユニ・チャーム、社会価値賞にはソフトバンク、環境価値賞にはセイコーエプソンが選ばれました。
■偏差値70以上
アサヒグループホールディングス、キリンホールディングス、コニカミノルタ、セイコーエプソン、積水ハウス、ソフトバンク、三菱UFJフィナンシャル・グループ、リコー
■偏差値65以上70未満
アシックス、味の素、アズビル、アンリツ、イオン、出光興産、伊藤忠商事、エーザイ、NEC、MS&ADインシュアランスグループホールディングス、オムロン、花王、KDDI、コマツ、サントリーホールディングス、資生堂、島津製作所、清水建設、J・フロントリテイリング、セブン&アイ・ホールディングス、SOMPOホールディングス、第一三共、第一生命ホール、ダイキン工業、大日本印刷、大和ハウス工業、帝人、東京海上ホールディングス、TOTO、凸版印刷、豊田合成、日清食品ホールディングス、日本たばこ産業、野村不動産ホールディングス、日立製作所、富士通、富士フイルムホールディングス、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ、明治ホールディングス、ユニ・チャーム、LIXIL
過去総合上位企業
SDGs経営調査2020
■偏差値70以上
キリンHD、コニカミノルタ、リコー
■偏差値65以上70未満
アサヒグループHD、アズビル、アンリツ、イオン、エーザイ、NEC、MS&ADインシュアランスグループHD、オムロン、花王、KDDI、サントリーHD、塩野義製薬、資生堂、島津製作所、清水建設、J・フロントリテイリング、セイコーエプソン、積水ハウス、セブン&アイHD、ソフトバンク、SOMPO HD、第一三共、大日本印刷、大和ハウス工業、東京海上HD、トヨタ自動車、豊田合成、日清食品HD、日本たばこ産業、ファンケル、富士通、富士フイルムHD、丸井グループ、三井住友フィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、ヤマハ
出典:日経「第2回SDGs経営調査」
SDGs経営調査2019
■偏差値70以上
キリンHD、コニカミノルタ、リコー
■偏差値65以上70未満
アサヒグループHD、アンリツ、イオン、エーザイ、MS&ADインシュアランスグループHD、小野薬品工業、オムロン、花王、コマツ、サントリーHD、資生堂、清水建設、セイコーエプソン、積水ハウス、セブン&アイHD、ソニー、SOMPO HD、第一三共、ダイキン工業、大日本印刷、大和ハウス工業、東京海上HD、東芝、TOTO、日本たばこ産業、パナソニック、富士フィルムHD、ブリヂストン、丸井グループ、三菱ケミカルHD、ユニ・チャーム
出典:日経「第1回SDGs経営調査」
雑感
年次調査で今年が3回目となるSDGs経営調査。私はいくつかコミュニティに入っているのですが、上位企業の方も含めて、以前にも増してリアクションが大きくなったように思います。日経新聞で大々的に発表されているので、上場企業の経営層の方から、現場に“檄が飛ぶ”こともあったのかもしれません。
現場担当者の皆さんのリアクションは「どうやって分析し改善するか」でしょうか。方法論はいろいろありますが、知名度が上がるたびに、東洋経済新報社のCSR企業評価と同じく、とにかくランキングを上げろ!と言われるものの、格付け形式でどこまで評価されているかわからず、悩んでいる企業も多いようです。
偏差値方式の格付けだと、企業サイドはどのように対策すればいいのでしょうか。日経SDGs調査は有料サポートが公式であるものの、予算確保が難しい企業もあるでしょうし、このあたりは賛否ありそうですが、さすが日経は商売が上手いなと感じました。(情報開示:私は日経グループ各社と取引実績がありますがステマではありません)
で、第1回、第2回、よりも偏差値70の企業が増えましたね。相対的に上位がさらに伸びたということでしょうか。特に4カテゴリですべて「S++」という、唯一の企業であるアサヒグループホールディングスの動向に、驚き改めてベンチマークした上位企業は多いでしょう。来年は上位企業同士のハイレベルな戦いもありそうです。
ちなみに、昨年の格付けで上位にきた企業は、ほぼ順当に今年も上位に入りました。調査票形式の調査なので、回答テクニックも現実的には問われるところですが、3回目となってだいぶ上位企業にはノウハウもまとまってきたのではないでしょうか。来年以降で上位に食い込みたい企業は、相応の努力をしないと難しくなってきた、のかもしれません。
個人的には、一般誌でニュースになるような不祥事を起こしている企業が(営業停止レベルの不祥事の企業とか)あるので、今後はそのあたりを日経がどう考えるかは注目です。ガバナンスの項目もあるので、さすがに考慮されそうですが…されないか。
まとめ
2年連続で「キリンHD、コニカミノルタ、リコー」という3社だけが偏差値70だったので、まさか今年もこの3社だったら評価制度としておかしくないか…と思いましたがさすがにそうはなりませんでしたね。とはいえ、キリンHD、コニカミノルタ、リコーの3社強すぎない?3年連続やん。いや実力はあるので間違いないことは確かですが。
日経の本調査と、東洋経済のCSR企業調査は、母数も国内最大級ですし、調査票回答に苦労する方も多いとは思いますが、影響力も大きいのできちんと回答していきましょう。むしろ、FTSE・MSCIに食い込めない中小中堅上場企業こそ、積極的に対応すべきと思います。
結局は、地道にサステナビリティ推進をしていくことが高得点につながるのは総合評価の常ですな。
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