日本企業のESGランキング

先日発売された「CSR企業白書2021」(東洋経済新報社)から、財務面以外のCSR/ESG総合評価「ESG企業ランキング」をシェアさせていただきます。

「ESG企業ランキング」とは、人材活用(H)を中心にESGを見ていく「ESG + H」の枠組みで評価した格付けで、3年平均のROEが5%以上の企業を対象にランキングを作成されています。総合版のCSR企業格付けは、総得点の半分が財務評価となっていますが、こちらは評価ウェイトがESGスコアのみとなっている純粋なCSR/ESG評価です。個人的にはCSR/ESG視点の先進企業となると、かなり実態に近い格付けになっていると思っています。参考にしてみてください。詳細については冊子をお買い求めいただき確認してください。

情報開示:今回「CSR企業白書2021」に寄稿させていただいてます

総合ESG企業ランキング:2021年

1、SOMPOホールディングス
2、オムロン
3、j. フロント リテイリング
4、富士フイルムホールディングス
5、KDDI
6、東京海上ホールディングス
7、丸井グループ
8、TOTO
9、トヨタ自動車
10、日本電信電話
10、大和証券グループ本社
12、第一生命ホールディングス
13、ファンケル
14、JT
15、MS&ADインシュアランスグループホールディングス
16、セイコーエプソン
17、キリンホールディングス
18、キユーピー
19、花王
20、大和ハウス工業
21、NTTドコモ
22、SCREENホールディングス
23、帝人
24、NEC
25、アイシン
26、富士フイルム ビジネスイノベーション
27、アズビル
28、ユニ・チャーム
29、セブン&アイ・ホールディングス
30、オリンパス
出典:「CSR企業白書2021」(東洋経済新報社、2021年4月)

総合ESG企業ランキング:2020年

参考までに、昨年の総合トップ30社も紹介します。重複する企業も多いですが、見比べてみると面白いです。

1、SOMPOホールディングス
2、丸井グループ
3、オムロン
4、KDDI
5、NTTドコモ
6、富士フイルムホールディングス
7、東京海上ホールディングス
8、日本電信電話
9、セイコーエプソン
10、花王
11、大和証券グループ本社
12、富士ゼロックス
13、セブン&アイ・ホールディングス
14、帝人
14、MS&ADインシュアランスグループホールディングス
16、JT
17、ユニ・チャーム
18、キリンホールディングス
19、TOTO
20、キユーピー
21、ファンケル
22、第一生命ホールディングス
23、トヨタ自動車
24、コマツ
25、アサヒグループホールディングス
26、フジクラ
26、大和ハウス工業
28、ANAホールディングス
29、旭化成
29、Zホールディングス
出典:「CSR企業白書2020」(東洋経済新報社、2020年4月)

中堅ESG企業ランキング:2021年

参考までに、大手企業だけではなく、最新の中堅企業(売上3,000億円以下)のランキングもあるのでこちらも紹介します。総合評価のポイントだと組織規模が大きいほうが有利な面はあるものの、こちらは中堅だけなのでバランス良く格付けがわかります。大手企業が抜けるとトップ30もかなり変わります。

1、丸井グループ
2、ファンケル
3、アズビル
4、日本ユニシス
5、日新電機
6、シスメックス
7、愛知製鋼
8、タムラ製作所
9、NECネッツエスアイ
10、アンリツ
11、オカムラ
12、IDEC
13、日本化薬
14、小野薬品工業
15、ナブテスコ
16、ジーテクト
17、日産化学
18、オリエントコーポレーション
19、富士ソフト
20、アドバンテスト
21、参天製薬
22、保土谷化学工業
23、アイカ工業
24、明電舎
25、三機工業
26、デクセリアルズ
27、ADEKA
28、タムロン
29、カシオ計算機
30、J-オイルミルズ
出典:「CSR企業白書2021」(東洋経済新報社、2021年4月)

所感

東洋経済新報社のESG企業ランキングは財務評価は対象外のため、ESGというか、CSR/サステナビリティ全般のガチンコ総合企業評価の格付けとなっています。そのため、最も有名な「CSR企業評価」で、財務評価で総合上位に入っている企業も、このESGランキングでは上位に入れない、というところもそれなりにあります。

ESG企業ランキングの面白いところは、財務要素が評価外なので、本業の好調さが反映されにくいところと考えています。つまり、ラッキーパンチがないというか、完全にやっているESG推進の分だけ評価されるというか。そういう意味では、中堅企業なのに大手を含めた総合でもトップ10入りする丸井グループは、前評判通りの順位といえるでしょう。これは簡単にできる話ではないので、本当に素晴らしいと思います。

あとは、中堅企業でいうと、それこそ以前から地道に、かつ積極的に取り組みを行う企業から、この3年くらいで一気に上位に食い込んできた企業まであります。30位のJ-オイルミルズで総合ポイントが345点なので、簡単には到達できないものの、3年もあれば同レベルまで到達できる企業は多いと思いますよ。あとは、本気でやるかどうか、でしょうか。

まとめ

コロナの影響もあり、次回(2022年版)ランキングは、特定業種が上位に入らない可能性もあります。これは、該当企業が悪いというわけではないのですが、なりふり構わず動いている企業は、2023年版(2022年7月ごろの調査)あたりが本当の評価になりそうです。

それでも、財務面は厳しくとも、このESG企業ランキングは、やっていることが評価されやすいので、上位に残れる可能性はあります。皆さんにしていただきたいことは、上記の上位30社は、ベンチマークとして、全企業が研究すべきです。各種レポートやウェブサイトをみて、どのような活動や開示を行なっているか、必ずチェックしてみてください。回答支援の業務も行なっているので、課題を感じている担当者の方はご連絡ください。

ちなみに日本経済新聞社のものと勘違いされる方もいますが、日経は「ESGブランド調査」ですのでお間違えなく。

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