CSRトレンドは?
世界でどうなのか知りませんが日本人はトレンド大好きですよね。
というわけで、本記事のテーマは、当ブログでは数年おきにまとめているCSR主要ワード調査です。今回は「CSR、ESG、SDGs、サステナビリティ」を調べました。国内動向や海外での使用状況も確認しました。
調査ツールはお馴染み「Googleトレンド」です。Googleでの検索の数を即座にチェックできる代物です。検索動向を通じて世間の興味関心を定量化できます。はたして「CSR、ESG、SDGs、サステナビリティ」でどのワードが一番検索されているのか。早速ご紹介します。
調査結果
日本の結果
まずは「CSR」「ESG」「サステナビリティ」です。CSRは5年間安定したトレンドで、ESGとサステナビリティは2017年からでてきた感じです。
次は「SDGs」を含めて比較しました。SDGsがダントツすぎてグラフの形が変わってしまいました…。
ちなみに大きくマイナスに動いているのは、ゴールデンウィーク・夏休み・年末年始です。これは当ブログもそうですが、ビジネスライクなワードは長期休みに検索数が激減するのです。つまり、この4ワードの検索は、一般生活者というより、明らかに企業よりの検索ニーズがある、と読めそうです。
しかしSDGsの伸び率がすごいです。ターニングポイントは「2018年9月1日」です。「2018年4月」ごろからCSRとSDGsの検索数が拮抗し始めて、9月でトップが入れ替わります。ここから主要ワード「CSR」を抜いてダントツトップに。
「2020年1月19日〜25日」の割合でみると「CSR/ESG/SDGs/サステナビリティ:21/13/94/6」です。SDGsはCSRの約4.5倍の検索数だったと。SDGsめちゃくちゃ盛り上がってますね!
「SDGs」は、グローバルでは大して盛り上がっていない。しかし日本では他の関連語をはるかに超えて盛り上がっている。(どうりでSDGs推進をうたう企業がこれだけあるわけだ)
2020年1月現在では、グローバルでは「CSR」と「sustainability」がほぼ同率です。SDGsはESGとほぼ同率です。世界的に見ても、日本での「SDGs」の盛り上がりは異常ですね。いや、興味がある人が増えて社会的インパクトも増えればいいのですが、実際はそうでもないしなかなか難しいところです。実は日本て世界で最もSDGsウォッシュな国だったりして。
「ESG」はヨーロッパが強いですね。とはいえ、国ごとに差があるので興味がある人はご自身でチェックしてみてください。
ちなみに「CSR」は同名のゲームタイトルもあるため、企業の社会的責任を示さない動向も一部入っています。そうなると、世界で最も使われている企業の社会的責任に近いワードは「sustainability(サステナビリティ)」ということになります。当ブログも「CSRのその先へ」から「サステナビリティのその先へ」へ変更しましたが、このグローバルでの認知も実はあったりします。
さて、みんな大好きアメリカは、まったく「SDGs」が盛り上がっていません。CSRも健闘していますが、断然「sustainability」のようです。イギリスとかヨーロッパの国をいくつかみても「SDGs」は本当興味なし。日本にいると「SDGs」が盛り上がっているいるように見えますが、グローバルでは…(知ってたけど)なかなか難しいですね。
SDGsの盛り上がり
以前から「欧州でも米国でもアジアでも、日本ほどSDGsは盛り上がっていない」という話を色々な詳しい方からお聞きしていて、個人的にもそうだろうなと感じていたので、体感どおりです。政府の熱心な後押しだけではないですが、オーソリティ(権威性)に弱い日本らしい傾向なのでしょうか。
CSRウェブコンテンツのカテゴリ名の調査(全上場企業と非上場大手)もしたのですが、日本では、特に中小規模の企業で、CSRを飛び越えてSDGsですからね。
日本でも、2015年以前からCSRを積極的に進めている企業は「いまさらSDGs」な側面もありますよね。SDGs対応は結果論であると。そりゃCSR元年の2000年代前半から活動を行なっていた企業からすれば、SDGsであろうがなかろうが、やるべきことを淡々をするのみ、みたいなところもあるわけです。2015年以降にCSR活動を始めた企業のほうがSDGsを喧伝しているだけだと。これはそういう一面はありますね。
まとめ
今回は、検索ワードから国内の興味関心を可視化してみました。特に専門家の方からすれば、かなり体感に近いデータになっていると思います。
「SDGsはグローバルな共有言語です!」ってみんな言っていますが、現状そうではないということですね。ファクトフルネスみたいで面白いです。理論上正しいことイコール社会潮流ではないので。SDGsは国連関係者と日本が盛り上がっているだけじゃん!ということなのでしょうか。
もちろん、企業としては、トレンドであろうがなかろうが、社会やステークホルダーの期待や要請に応えなければならないです。責任あるビジネスを行い企業価値を高められるなら、私はCSRでもSDGsでもどちらでもいいと思っています。
というわけで、本記事の結論は「Googleトレンドは面白い」です。本記事では細かい部分は書いていないのでぜひ使ってみてください。
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