日本企業のLGBT対応
先日、とあるセミナー・アンケートで「どんなCSRセミナーを聞きたいか」と聞いた所、「企業のLGBT対応について」という回答がチラホラとありました。
ここ数年でCSR界隈でもよく話題に挙がるようになった気がしますが、僕もよくわかってません。
というわけで、本記事ではLGBTに対し企業がすべきアクションに関してのオピニオンをまとめます。
人権尊重とLGBT
企業は、このようなLGBTの人々の人権尊重に関する動きに、どのように対応していくことが求められているでしょうか。重要なのは、「差別をしない」という点です。2010年に発行したISO26000(社会的責任に関する国際規格)でも、違法な差別の根拠として「個人的関係」という表現を用いてLGBTの人権を意識しています。
企業にも求められるLGBTへの対応
また記事では『日本でも、企業行動指針や人権方針、ダイバーシティ方針において、差別禁止や多様性尊重の文脈でLGBTを明記する企業も出てきはじめています。また、研修や勉強会を実施する企業も増えているとみられます。』とされており、まずは研修で意識向上というのがファーストアクションなのでしょうか。
「方針を決めただけで実際は形骸化している」というのがCSR関係では多いので、そうならないよう継続的な取組みが行なわれる仕組み作りが必要なのでしょう。
LGBT対応をビジネスにつなげる
「米国の優秀なエスタブリッシュメント層にはゲイのネットワークもあり、企業がその幅広い人脈を活用しようという動きも出ています。ダイバーシティとは、性別、人種を超えたマイノリティーを支援することによって、企業の社会的な地位を向上させるだけでなく、最終的にはビジネスに結び付けることが究極の目的といえるのです」
企業とLGBT 迅速対応が新たなビジネスチャンス生む可能性も
もちろん、企業は営利目的の組織なので、すべての活動が最終的に利益貢献させる必要があります。ただ、ちょっと打算的というか“儲かるからLGBT対応しようぜ”って、やや違和感があります…。
マイノリティのLGBT
これまで語られてきたダイバーシティーは性別や国籍、年齢など、目に見えるレベルのものだった。だが、LGBTであるかどうかは、見た目ではわからない。人の内面を尊重する「目に見えないダイバーシティー」であるLGBTは、究極のダイバーシティーだ。
仕事仲間、家族、友人、取引先、消費者――。LGBTは、あなたの隣にいる。それを理解すれば、「自分には関係ない」という対応はあり得ないはずだ。
あなたの仕事仲間にもLGBTは必ずいる 「見えないマイノリティー」が見え始める
アクサ生命保険、アスモ少額短期保険、携帯電話大手3社の事例が紹介されています。マイノリティって、数の論理でいうところの少数派なだけで、実際はそこら中に存在するんですよね。決して存在自体がマイノリティなわけではないと思います。
人権問題
そもそも、CSR界隈では、日本企業の人権対応が稚拙すぎる、という話はよく上がっていました。では原因は何か。これは結構単純で「何をしたらいいか分からないから」だと感じています。
実は、僕は違和感があるんです。市場規模と経済とかはじき出して「LGBTってこんなにいるんだから対応しなきゃ!」みたいなノリに、です。多くても少なくても、対応すべきことはキチンと対処すべきだし、儲かるから仕方なくやる、では本質的な理解が受け入れが進むとは思えないからです。
だから企業の「LGBT対策」とかすごく気持ち悪いんです。“対策”という、自分たちとは違う人たちに対する戦略性が…。もちろん、反対意見・批判もあるでしょう。僕はそれでもいいと思っています。問題なのは「無関心層」でしょう。社内外のそういった無関心層にどのようにアプローチをすべきか、という点が課題のように感じています。
その他の参考記事
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まとめ
僕はいわゆるストレートであり、LGBT当事者としての感覚は実際わかりません。ただ友人でLGBT当事者がいるし、別に人それぞれでいいじゃん。なんだっていいよ、と思っています。
ただ、企業の対応となれば、ブランド毀損につながる重大な人権課題。水面下で色々な企業が対応しようと動き出しているのは知っていますし、この件をきっかけに、障害者や外国人雇用から女性活躍推進などの話題にも波及していくでしょう。
専門家ではないのであまり適当なことは言えませんが、やはりCSR部門と人事部門の担当者が協力し、ガイドライン作成や研修などをするのがまずはスタートなんでしょうね。直近の実務的な話でいえば、「同性婚でも“結婚祝い金”を出すのか」など家族補助の福利厚生面や、「LGBTの方のトイレ・ロッカーはどう指定するのか」という部分でしょうか。
何にせよ、すぐに決まらない制度の部分もあると思いますので、議論は早急に始めたほうがいいでしょうね。