ESG企業評価

成果を求められるCSR/ESG報告

言わしてもらいますが、CSR担当者やCSR報告書制作会社で“思考停止”している所多いです。

なんか、喧嘩売ってるように思われたら申し訳ないですが、本当にそうなんです。適切なCSR/ESG経営と報告で、企業価値向上につながる可能性は高いけど、多くの場合そこまでステークホルダー・エンゲージメントできておらず、思うような評価をもらえない企業も多いです。残念ながら。

というわけで本記事では、CSR/ESG報告の読み方についてまとめたいと思います。

ESG情報開示の重要性

「こんなに関心が高いとは」。今年3月、味の素で投資家向け広報(IR)活動を統括する川端幸治は同社の会社説明会の反響に驚いた。参加者が通常の説明会の2倍だったからだ。テーマは「ESG」。環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)に関する問題への取り組みだ。「今後は多面的な情報を市場に発信していく必要がある」。川端は気を引き締めた。環境保護や貧困撲滅といった取り組みを企業統治と同列に考え「ESG情報」として投資判断に生かす。そんな考えが広がっている。経済がグローバル化し、企業も地球規模の問題に向き合う必要があるからだ。

ESG情報開示の重要性にIR側が気付いた、という日経新聞の記事です。こういう風に、IR側のESGやCSRの理解が進むと、会社全体の情報開示戦略の質向上が見込めますよね。さすが、味の素さん。

「お手本はゼネラル・エレクトリック(GE)」。ピジョン社長の山下茂は5月、こう宣言した。最高経営責任者(CEO)が事業だけでなく「理想のリーダー像」といった理念まで語るGEの年次報告書は、欧米で評価が高い。外国人株主比率が約50%のピジョンもGE流を有効と考えた。同社の15年版年次報告書が「トップ・メッセージ」に割いた分量は10ページと、14年版の4ページから大幅に増えた。

僕はCSR関連報告書の「トップメッセージ」をすごく重要視しています。なぜなら、会社の本気度が見えるから。トップがCSRにコミットメントしていない企業のCSRは、CSR評価が低い傾向は正直あります。(当社比)

ちなみに、2012年ですが、東京証券取引所も実はESGをトピックとしたインデックス(オススメ?)企業を、『経営の持続的な成長が見込まれる指標「ESG」』で公開しています。こちらもご参考までにどうぞ。

引用元:経営指標、ROEがベストですか?(目覚める資本) 社会貢献重視の「ESG投資」、世界で2500兆円

ESGの評価軸はどこにある?

ESGへの取り組みに積極的な企業を見分けるには、企業のホームページを閲覧し、「統合レポート」、「CSRレポート」、「アニュアルレポート」などで該当箇所を読み込むこと。そのレポートを数年分確認し、そこに書かれていた内容が、どのように行動に移されているのか、また、その行動が持続的なものになっているかを見極めるのがポイントです。
さらに、数年分のレポートを比較し、組織図における該当部署の変遷や、業績不振の時に予算や組織が大幅に削減されている様子はないかなどを見ると当該企業の本気度が伝わってきます
40男の長期投資先見極めに役立つ「ESG」指標とは?

コモンズ投信の伊井さんが一般メディアに向けて伝えたESGの見方です。

これ、実は興味深い点を指摘していたのでピックアップしたのですが、「数年分の該当レポートを読む」、「組織図における該当部署の変遷」、「業績不振の時に予算や組織が大幅に削減されている様子はないか」を見るとしているのです。全然言っていることは正しいのかなと。

通常の統合レポートなんかは数年間分をわざわざ見なくてもいいように5〜10年の財務データを掲載したりします。でも、本当に企業のESGデータ見たかったら、面倒だけど過去2〜3年分を見ると成長具合がわかっていいんですよね。レポートの出来具合でも予算のかけ方や本気度がわかったりします(苦笑)

あと、僕は組織図は100%チェックするけど、「該当部署の変遷」は気にした事がなかった。今度からチェックしよう。「業績不振の時に予算や組織が大幅に削減されている様子はないか」は、どうやってチェックしたいいのか…。でも経営者の本気度を知るには良い視点だと思うんですよねぇ。

投資サイドのマインドセット

ポイントは、「ガバナンスのなかにESGやステークホルダーが盛り込まれたからといって、投資家のマインドが社会志向に変わったわけではない」。投資家の関心はあくまで経済的価値であり、投資決定の上で環境・社会要因の影響が大きくなっているので、その側面だけを知りたいのである。言い換えれば、経済的価値に関わらない情報には興味がない。たくさん開示されても、それは「ノイズ」でしかない。

創コンサルティングの海野さんの話です。投資側のすべてのマインドがわかるわけではありませんが、そうだよなぁ、と。株式投資で損してもいいから社会貢献したい、なんて人聞いないもん。そもそもリターンを求めない投資は投資ではないよね?

つまり、ターゲットの関心に応じた内容を選別して、その関心に適切な方法で開示や報告をすることなのだ。そしてそれをパッチワーク的に個々のデータで掲載するのではなく、ターゲット層に話しかけるように「ストーリー」で説明することだ。
今や財務情報も非財務情報も1冊ですべての関心に応えられるものはないし、それを求められているわけでもない。複数の対象にそれぞれのコミュニケーションをとなると手間がかかるように思えるが、担当する側も伝達先の顔がイメージできる方が、やりがいがあるだろう。

僕も、実は海野さんと同じ意見で、CSR報告を統合報告書にまとめる動き(CSR報告は廃止)はあるけど、ステークホルダー・エンゲージメントの観点からしたら、喜ばしいことではありません。昨今の統合報告書制作の流れで、思考停止している企業担当者や制作会社がいるのはここが問題なのです。

投資家と、従業員・取引先・地域社会・NPO・一般生活者などのステークホルダーが同じ情報を求めるわけないですよね。つまり、「投資家を意識して報告書を作ること」で他の多くのステークホルダーをないがしろにしてしまう可能性があるという話です。そんなCSR/ESG報告を読んで、誰の何の評価があがるんだよ。どんだけ思考停止してるんだよ、もう。

引用元:生活者向けCSR開示 vs 投資家向けESGストーリー

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まとめ

ESG経営の話と、ESG情報をどのように評価するのか、ステークホルダーの評価基準、などについて、考え方の事例を含めてまとめました。

世界的なESG報告の流れに逆らうことはできないし、その必要もないけれど、トレンドに流されて思考停止になるのはいただけないです。

僕は常日頃から言っている通り、「徹底的な読者視点」が報告書に必要だと思っています。CSR/ESG情報を届けたいステークホルダーは「どこにいる誰で、どんなメディアを利用していて、企業に何を期待しているのか」を明確にすることから報告書制作が始まるのです。

実は、統合報告書普及のウラで、ステークホルダー別の簡易レポートやウェブコンテンツが流行るんじゃないかなと妄想している、今日この頃です。いや、多分当たるで、この予想。

本日もまとまりがない感じですが、以上です。