CSRバリューチェーン

バリューチェーンとサプライチェーン

CSRにおける、バリューチェーンとサプライチェーンの定義の差を説明できますか?

CSRの国際規格 ISO26000 では、サプライチェーンとは「組織に対して製品またはサービスを提供する一連の活動または関係者」と定義され、バリューチェーンとは「製品またはサービスの形式で価値を提供するかまたは受け取る、一連の活動または関係者の全体」と定義されています。またISO26000では、ほぼ同義語ですやん、とも言っています。

というわけで本記事では、「バリューチェーンとサプライチェーンの差」と「サプライチェーンのポイント」について再確認をしていきます。

CSVとバリューチェーン

バリューチェーンは、CSVでもおなじみのマイケルポーター氏が提唱した概念で、価値連鎖の枠には顧客が入ったりしますが、基本的にサプライチェーンとほぼ同義語であると解釈してよいと思います。

CSR界隈では、CSV同様、マーケティング的な人や思想が入るとバリューチェーンというワードが使われますが、トータルでは「サプライチェーン」というワードのほうがよく使われる印象があります。

これまたCSVと同様なのですが、「CSRとCSV」、「バリューチェーンとサプライチェーン」のように、報告書等で並記する場合は明確に定義をし読者混乱させない配慮が必要になるでしょう。

一般の方にはただでさえ、CSR調達やサプライチェーンマネジメントの概念や実務を理解するのが大変なのに、近いワードがいくつも出てきたら、本来知ってもらいたいことが伝わらない可能性が大きくなってしまいます。

CSR報告書のアドバイザー業務をしていると、「バリューチェーンとサプライチェーンの差」について質問されることもありますが、基本スタンスは、「なんでもいいから統一して使おう」ということです。迷ったら必ず「読者目線」です。

サプライチェーン・マネジメントのポイント

サプライチェーン・マネジメントは、リスク対応の側面もあるし、オポチュニティ対応の側面もあります。

その中で気をつけるべきは、社内認識(経営層評価)だと思います。意思決定をする人たちがどう考えているのか。CSR部対応なのか、調達部対応なのか。

CSR活動は結局、意思決定できる人間が理解しないと話は進みません。関係性が薄い部署の方がどんなに理解しても、企業としては話が進まないわけで、サプライチェーン・マネジメントって結局、マネジメント層が変わらなきゃ変わらないのかなと。

また、サプライチェーンにおいて考慮するべき項目は、だいたい業種によって課題が決まってきます。例えば、食糧原料調達のサプライチェーンは気候変動の影響が大きいけど、モノ(工場生産)調達は、気候変動より労働問題のほうが影響力が大きい、とか。

製造業ではコンフリクトミネラル(紛争鉱物)の対応が必須だけど、非製造業、例えばIT系企業や人材派遣会社にとってコンフリクトミネラル問題は基本関係ない。もちろん、サプライチェーンの「加担」まで概念を広げれば考慮すべき場面も出てくるとは思いますが、まずは一次サプライヤーの積極的関与が先でしょう。

企業内部からの自発的なサプライチェーン対応って、意外に浸透しないのかも。社外からのプレッシャー(NGOの抗議など)のほうが、企業は本気で動く。社内浸透には「ステークホルダー・アクティビスト」が実は重要なのかも?

まとめ

サプライチェーンマネジメントの定義やら、実態やらを簡単に紹介してきましたが、ぜひ以下の関連記事もご参考に。CSR活動において、特に製造業の企業は非常に重要な概念となりますので、理解の抜け漏れがないようお気をつけください。

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