コーズマーケティング事例

今回は、コーズマーケティング(寄付付き商品の販売)の事例を二つほどご紹介します。

震災直後ほどコーズマーケティングが話題にならなくなった昨今ですが、まだまだチャレンジする企業はいます。

今回ご紹介する2つの事例は「善意に頼りすぎない」コーズマーケティングです。

普通、この手のマーケティングやPRでは社会貢献を全面に出すのですが、商品開発や仕組みを工夫することによって、ビジネスとして継続性のある事業活動ができうるのでは、と。

もちろん、日本で多く行なわれているチャリティ色の強い、期間限定のコーズマーケティング(チャリティプログラム)が悪いわけではありません。

ですが、オリジナリティもないし、その企業が行なう必然性もないマーケティングは事業活動に大きなインパクトをもたらすとは思えません。そのあたりをまとめてみましょう。

資生堂

資生堂は、岩手県大船渡市・陸前高田市の産業と観光の活性化に向けた復興支援活動の一環として、新たに大船渡市を代表する花、「三面椿」の香気成分を配合した商品「リラクシングナイトミスト」を、資生堂Webサイト「ワタシプラス」にて10月1日(水)より数量限定で発売します。同商品は、性別・年代問わず、リラックス感あふれるさわやかな香りが特長で、就寝前にボディーだけでなく、空間や寝具にも使用できます。売上の一部は、団体を通じて被災地の復興支援に活かされる予定です。
資生堂、復興支援活動を通じて生まれた 岩手県大船渡市の「三面椿」の香気成分を配合した機能性フレグランスを発売

売上の一部は、団体を通じて被災地の復興支援に活かされる予定とのこと。ストレートな寄付付き商品ですね。コーズマーケティング典型例です。

しかし、ただ寄付をするだけではなく、東北の地場の素材を使っていると。この商品は数量限定なので、マーケティングのインパクトは小さいかもしれませんが、こういった商品群全体で、ソーシャルな方向性を持つことは、とても素晴らしいと思います。

ただ、マーケティング・PR・開発のコストを考えれば、通常のマーケティングをして、通常の販売をして、その売上から寄付したほうが、インパクトが大きいと思うのですが…。

それは下衆ってもんですが、コーズマーケティングが通常のマーケティングを超えることがないとも言われる日本では、現実的な話な気もします。難しいっす。

資生堂はCSRに力をいれているCSR推進企業の一つですので、これからも東北を絡めたビジネス展開を期待できますね。

資生堂|CSR

waja(ワジャ)

ファッション通販サイトを運営するwaja(ワジャ)が、寄付と節税を両立できる「ファッションチャリティープロジェクト(FCP)」を7月に始めた。不要になったファッションアイテムを寄付し、寄付された商品の販売額の最大50%の寄付金控除を受けられる。小安光司会長兼最高経営責任者(CEO)は、「善意だけに頼らない仕組みで継続的な寄付を促したい」と普及に意欲を示す。
【挑む】waja・小安光司会長兼最高経営責任者

コーズマケーティング的でもあり、どちらかというと、ソーシャルビジネスに近いのかもしれません。手数料もしっかり取ってますし。むしろこれくらいビジネスライクにやった方が継続もできそうですし、トータルのインパクトが大きくできるかもしれませんね。

このね、「善意だけに頼らない仕組み」ってコーズマーケティングにおいてすごく重要だと思うんです。社会貢献とか興味なくても消費者にメリットあるから買っちゃうみたいな。善意とか特定の感情や行動に依存しすぎると、効果も限定されてしまいますよね。

日本では、単発(数週間〜数ヶ月)くらいのキャンペーンとして行うものも多いようでして、マーケティングとしては効果が出にくいとも言われています。もちろん、長期でやれば結果につながるというわけでもないのですが…。

つまりね、通常のマーケティングをしたほうが、コーズマーケティングをするよりトータルのパフォーマンスが大きいと。なんとなくするくらいなら、準備も大変ですし、単発ならやる必要ないと僕は思うんですけど。

そもそも「コーズ(大義)」がある企業はコーズマーケティングであろうが、なかろうが年中やっているんですけどね。

表面的なキャンペーンで騙される消費者も今は少ないでしょうし、社会的なインパクトを考えるのであれば、日本ではよりソーシャルビジネス的な視点を取り入れるべきなのかもしれません。

他にも色々とコーズマーケティングに関する記事を書いています。こちらも合わせどうぞ。

海外のCSR・コーズマーケティング事例集本「グッドワークス!」(フィリップ・コトラー)
AppleのCSRは、おしとやかでコーズマーケティングな75億円だった?
・コーズマーケティング成功事例は価格ギャップをなくすこと?
コーズマーケティング・CSRマーケティングを強化するために知っておくべき記事18選[2013年版]
コーズマーケティング事例の限界を超えられるか? ボルヴィック「1L for 10L」
コーズマーケティングの“不都合な真実”?企業とNPOの共通の悩み3つ

まとめ

いかがでしたでしょうか。

僕自身は、従来型のコーズマーケティングは、今後衰退する一方だと思っています。実際、導入する企業も減っていますし。震災直後みたいな、「善意だけに頼った仕組み」のものは、結局長続きしませんでしたよね。

結局、会社のトップや社風にソーシャルなマインドがない企業がやっても、たいしてインパクト出せないわけです。うわべだけって怖いです。形だけ取り繕うから「偽善」っていわれるんですよ。マジで。

そうではなくて、今後の“通常”のマーケティングにもつながるような仕組みや、会社全体の雰囲気作りとかが重要なのかもしれません。

コーズマーケティングについては、今後も動向を追っていきます。ってことで、このブログをブックマークおよびフォローしてねん。