CSR調達の9事例と、CSRとしての人権問題対応について

CSR人権

CSRとしての人権問題対応

グローバル・イシューとして日本でも話題になることが増えてきた、企業の事業活動における「人権」と「調達」の話。

まぁ、人権はナイーブな所です。なぜって、範囲も広いし、労働問題は根深いし。ブラック企業問題のような話って全世界的な課題であり、グローバル・イシューですからね。なぜ、問題は明確なのに解決できないのか、よくわからないくらいです。

というわけで、今回は日本が弱いとされる、CSRにおける人権と調達の話をまとめてみます。デューディリジェンスとかコンプライアンスにも大きく関わる領域もあります。

僕も勉強中な部分もあるので、ツッコミ所が多かったらごめんなさい。心の中でそっと、ツッコミをして下さい。

CSRとしての人権問題

■問題を認めない
サプライチェーンの奥深くで現代版奴隷制度が存在する可能性があるという証拠が次々出てきていても、自社のサプライチェーンで起きているとは認めようとせず、ジャーナリストがセンセーショナルに報じていることが問題だ、と捉えてしまう。

■人権問題に取り組めば、問題があることを自ら認めるようなものだから
「墓穴を掘る」、「寝た子を起こす」ような経験は誰にでもあり、企業が人権侵害に関わるリスクを最小化しようとする戦略に関わるのなら、問題がすでにあるに違いない。

■現行のイニシアティブが問題だ、という意見
人権侵害のリスクがあると確認された地域に関係している企業であっても、自分の会社には行動規範とサプライヤー監査があるから人権リスクは低いと考えてしまう。

■行動するにも無力感がある
人権問題は企業が管理するには大き過ぎる、と思っている企業もあるようだ。そうした企業はサプライチェーンに人権リスクがあることは認識している。

■問題の責任転嫁
企業はサプライチェーンの深部の問題は自社の影響の範囲外であり、その責任はもてない、と考えている。彼らは法規制の改善と罰則の必要性を説き、人権侵害が発生している地域の政府が十分な対策を取っていないと批判する。

■人権問題に取り組むと、攻撃的なNGOの目を引いてしまうのでは
企業が人権問題を認めて、人権保護戦略を立てるとNGOの目を引き、アタックの標的にされる、と感じている。しかし、最近のNGOは洗練されてきており、人権課題にも民間企業と一緒に取り組みたいと考えていることを企業は認識すべきである。
(企業はなぜ人権問題に取り組みにくいと思うのか より抜粋して引用)

サプライチェーンにおいて企業による人権侵害が多発していれば、いずれその状況を察知しているNGOなどから怒りの矛先が向くでしょう。Apple社の製品製造をする中国の企業などはこうでしたね。Appleは相当叩かれて、サプライヤーに対する報告書を出すようになりましたし。

また、サプライチェーンの人権問題は、人権侵害のリスクが比較的少ないとされる、大手の第一サプライヤー(元請け)を対象にしている場合が多く、現実に問題となっているのはいわゆる「下請け・孫請け」など、もしくはそれ以降の企業。まぁ、発注企業が関与しきれないというのもわからんでもない。

でも実際には、サプライチェーンの問題を認めようとしない企業がNGOなどの反感を買うわけですし、対応できませんは言い訳に過ぎません。昔のナイキの不買運動みたいになったら困るじゃないですか。

■参照
CSR調達もCSRにおけるサプライチェーン管理もできる「CSRチェックシート」
CSR調達をしないと叩かれる? サプライチェーンを意識したCSR調達事例5選

人権問題事例

じゃあ、具体的にはどうなの?ということですが、

「米ナイキ(1997年):工場での児童労働問題」
「英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル(1990年代):先住民への人権侵害」
「アシックス、ミズノ(2004):アジアの向上での労働問題」
「米アップル(2010):中国での労働問題」
「日立製作所(2011):移民労働者の処遇問題」
「住友金属鉱山(2011):フィリピンの水資源問題」
「王子製紙(2012年):中国の水資源問題」

などが有名です。

■参照:世界の供給網で高まる人権リスク商社がCSR調達で立ち向かう

環境負荷による住民への負荷転換も、人権侵害となるそうな。こうやってみると、アジアは「世界の工場」と言われるだけあって、労働問題が多発しているんでしょうね。

では、企業は問題が明るみになるまで、何も動いてないかというとそうでもないようです。例えば、以下の事例とか。

宮崎あおいを起用したテレビCMで知られるアパレルメーカーのクロスカンパニーが、2014年9月26日、創業地の岡山市内に新ブランドの1号店をオープンした。ブランド名は「KOE(コエ)」。欧米進出を見据えた同社初の世界戦略ブランドで、「フェアサプライチェーン」の構築に取り組む。
フェアサプライチェーンとは生産現場の人権や労働環境に配慮し、環境負荷の低減に配慮したものづくりを行って商品を提供する仕組みのこと。貧困国での児童労働や繁忙期の長時間労働、搾取、3大公害など国際的な社会問題に向き合い、低価格のファストファッションとは一線を画すブランドを目指すという。
これまでアパレル業界では、社会貢献活動の一環として地球環境や労働問題に取り組むことはあっても、100%フェアサプライを掲げた企業はない。
“ポストユニクロ”の野望とは? ファストファッションの次は「フェアファッション」!?

クロスカンパニーさん、とてもよい戦略だと思います。というか、今までは「フェア」な取引してなかったの?なんていじわる言いたくなりますが、今後の展開に注目ですよね。

あと最近ニュースになっていましたが、ファーストリテイリングがアワードを受賞していましたね。

ファーストリテイリング2014年度「リテーラー・オブ・ザ・イヤー」(世界最優秀小売企業賞)を受賞

商品の高い品質、顧客に対するきめ細かいサービス、CSR活動などが高く評価された、とのこと。世界的な企業評価だと、もうどの業種もCSRの項目が入るんですね。

ユニクロでは、労働問題(ブラック企業問題)なんかが日本では指摘があるようですが、海外サプライチェーンの人権対策はもちろん、国内の従業員や取引先とも“フェア”な関係を築くことを願っています。

まとめ

サプライチェーンの話や人権の話は、かなり広範囲なものですので、すぐにアクションはできないかもしれませんが、無視すると、上記事例のように、色々な方向から叩かれるので、大企業や上場企業はマジでお気をつけ下さいな。

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