企業の人権リスクへの対応とは
「新興国ビジネスと人権リスク–国連原則と事例から考える企業の社会的責任(CSR)」(海野みづえ、現代人文社)の読書メモです。
結論から言いますと、改めCSRにおける人権領域の重要性を感じました。
こう言われちゃうとね、本当に人権に対してCSRアクションをしていない企業って、自分のヤバさに気付かないとマズいよね、って改めて思います。人権尊重、労働分野の人権など、ひと言で人権といってもその対応範囲は多岐にわたります。
人権リスクを乗り越えた先には、エンゲージメントによるステークホルダーとの密接な信頼獲得があります。人権リスク対応は「守りのCSR」でもあるし「攻めのCSR」でもあります。また事例を詳細に解説していますので、初期フェーズの企業の方が読んでも勉強になります。
国連「ビジネスと人権に関する指導原則」などの人権ガイドラインの紹介から、方針を決める際のポイントなどの説明もあります。
一番勉強になったのは「人権マネジメントを推進する体制を作る」という項目。人権マネジメントにはCSR担当者だけでは対応できるはずもなく、他の社内部門がどうやって関わっていくかを解説しています。他にも人権リスクの具体例が多く勉強になりました。
企業活動のほぼすべては何かしらの形で人が介入するので、やはり社内外問わず、何かしらの配慮が必要になるんですよね。特に、CSRの人権に対する活動が弱いと言われる日本企業のCSR担当者は、この本をマジで読んだ方がいいです。
CSR担当者はもちろん、CSR調達(サプライチェーンマネジメント)に関わる方々は特にチェックしたほうがいいと思った本でした。
新興国ビジネスと人権リスク
日本に本社拠点を置く企業は、他のグローバルな競合他社と同じように世の中で膨らむ期待に直面しています。各社はますます、方針と実際に行なう人権への尊重の責任に見合うためのプロセスをもつという「知り、示す( Know and show )」(あるいは理解し実証する)ことが必要になっているのです。(書籍6P、より)