女性活用に関する10のデータ

去年あたりから急激に注目度が上がっている「女性活用」。CSRは人材領域もカバーしますが、大きな話題は「女性」と「ブラック企業(労務問題)」ですね。

以前、「義務化されつつあるCSR報告(非財務情報開示)の最新トレンドは「女性」!?」、「社長が理解すべき、女性活用“負の側面”の3つのポイント」、「女性の活躍が企業のCSRの争点となる3つの理由」という記事を書きましたが、今回は企業のCSR部、人事部など、組織構築に関わる人たちに特に読んでもらいたい、「女性活用」の最新動向をまとめます。

10つのデータ(参照記事)を引用しております。ぜひ、ブックマークしておいていただき、お時間あるときに各記事を参照いただけると、より深く、データを学べると思います。

女性への意識と実態

これまでのどの世代の女性よりも高学歴で、就労人口も多いという点で重要である。
これまでのどの世代の女性よりも自信に満ちあふれ、昇進の機会を重視している。
ダイバーシティ推進において確かな実績のある企業を求めている。
ワーク・ライフ(仕事と生活)をめぐる組織文化にかつてない変化をもたらす原動力として期待されている。
定期的なフィードバックを求めており、テクノロジーに精通しながらも、重要な評価内容については直接の対話を望んでいる。
国際的な経験を強く望んでいる。企業・業界のイメージや評判を重視している。
次世代のダイバーシティ‐未来の女性リーダーの育成

上記の調査はミレニアル世代(1980年から1995年の間に生まれた新しい世代の人材)が対象で、また、日本人だけが調査対象ではないようなので、突っ込んだ内容も散見されます。

企業は慈善事業でビジネスをしているわけではありません。ですので、なんでもかんでも女性の福利厚生や支援をしていたら、コストがかさみ過ぎ業績悪化、そして最終的にリストラとなる可能性もあり、サスティナブルな仕組みとはいえません。

そもそも、「女性に優しい会社」、「女性が多い会社」、「女性が働きやすい会社」はすべて異なります。女性に優しい(制度が整っているetc)会社でも、働きやすい(現場での制度運用が良く、女性従業員満足度が高いetc)会社とは限りません。

また、女性が多い会社でも、取締役に抜擢される女性は人数自体が少ないし(男性でも超狭き門)、「女性が活躍する」会社となるとねぇ…。

採用や昇進にはいくつかのカベがあるといわれていますが、男女の違いはその一部でしかありません。年齢の違いや国籍など、まだ見えない壁が残っている企業は多いといわれています。本当の意味でこれらのカベが取り払われるのはまだ先のことでしょう。
ただ、すべての分野で採用や賃金について強制的に対等にしてしまうと、逆に男性の失業者が大幅に増加したり、場合によっては逆差別といった混乱が発生する可能性もあります。こうした状況の改善には、ある程度の時間をかける必要があるのかもしれません。
金融機関で女性役員が続々就任、女性の登用が増えている理由とは?

まぁ、男・女以外にも人間は色々区分される項目があるわけでして、性差だけ配慮すればいいってもんじゃないでしょ?って話のようです。また、女性優遇により、男性への圧力・差別にもつながることもある、ということです。

女性が働く現状データ

国税庁が発表した「国民給与の実態調査」によれば、2012年における会社員の平均年収は408万円――。しかしこれは、男女を合わせて算出したもの。実は、男女別に計算すると男性502万円、女性268万円という、実に大きな格差が存在する。女性の社会進出が進む中、現実として存在する男女の給与格差を5つのグラフで紐解いてみよう。なお、データは数が年々増えている、非正規雇用も含めたものを使用した。平均給与は正規が468万円、非正規が168万円と格差があるが、こちらについてはまた別の機会に譲りたい。
女性の年収、低すぎ? 日本はこの30年、男女の格差が埋まっていない【データ】

女性の役職者を増やす。これは日本全体の流れとして盛り上がってきている感じがります。だけど、いつも議論されないのが「女性の非正規雇用者」について。非正規雇用の従業員が会社に与えるインパクトを考えると、女性役職者を増やすという命題に先に取りかかるということなのでしょうか。

女性社員自身が女性の活躍を認めるよりも、男性社員が女性社員の活躍を認める方が厳しいと言うことができる。評価者の多くは、男性社員である現状を考えると、よほど目立った成果を出さないと評価されにくいことが表れている。また、会社が男女で同じ評価基準を提示しているにもかかわらず、多くの職場では業務アサインの面で公平とは言い難いケースも散見されているのも現状である。
育児介護休業法や改正男女雇用均等法などにより、ハード面(制度面)では大きな変革をみせた女性活躍推進ではあるが、「女性社員は男性社員の何倍も頑張らないと認められにくい」と言われていた「男女雇用機会均等法」が施行された30年前のあの頃とソフト面(運用面)では、大きく前進しているとは言い難い状況である。
ワークスタイル変革シリーズ~これからの女性活躍推進の在り方について

女性の働き方についての調査。ご興味あれば、ご参照下さい。

全国256万社のうち女性社長は28万4,581人にのぼり、全国平均が11.1%に上昇した。都道府県別の女性社長率では、西日本が東日本より比率が高い「西高東低」の傾向がみられた。女性社長の名前では「和子」社長が最も多く4年連続トップ。産業別社数では宿泊業、飲食業、介護事業などを含むサービス業他が最も多く全体の約4割で、出身校では日本大学が4年連続トップだった。
2013年「全国女性社長」調査 女性社長28万人、全国社長の11.1%

この数字を多いと見るか、少ないと見るか。

昨年の17社より9社多い26社。うち7社は2年連続の選定。女性管理職・役員比率が高い企業や仕事と家庭の両立を積極的にサポートする企業が選ばれており、同省は「女性の活用は企業のイノベーション促進、グローバルでの競争力強化に貢献する」と女性が活躍する企業への投資が増えることも期待している。
経産省と東証 役員・管理職での活躍で投資に期待[女性活用]

なるほど。で、経産省さんと東証さん自身もイノベーションや競争力アップのために、やっぱり女性役員が多いんですよね?まさか“自分のことは棚に上げる”ことはないですよね?と意地悪言ってみたり。

ノルウェーは03年に「割り当て制」を導入し、それまで6%だった企業における女性役員比率の目標値を、08年には40%に引き上げたが、その結果を米国の大学が調査したという。それによると40%を達成した企業の株価は大幅に下がり、企業価値を評価する指数も女性役員比率が10%増加すると12%程度下落したという。ちなみにこの目標値は上場企業を対象にしたものだったため、規制を逃れるために3割の上場企業が上場を廃止したという。
女性役員登用の増加は企業を滅ぼす?海外では株価下落、企業価値棄損、相次ぐ上場廃止…

「女性が役員をしている会社は業績が良い」というデータがあるらしいですが、実態は「業績の良い企業が抜擢人事の余裕があるかた女性役員がいる」という可能性も大きいということでしょう。特にノルウェーのように制度化されちゃうとね…。そこまで業績と女性役員の相関はあるようだけど、因果関係はない(証明できない)ってあまりない感覚ですけどね。

上場企業、創業からの歴史が長い企業、親会社を持つ企業、労働組合のある企業は女性取締役がいる確率や女性取締役の比率が低い。オーナー経営企業は女性取締役が存在する確率、女性取締役比率が非常に高く、女性社長の確率も高い。企業規模や外資比率は女性取締役と有意な関係がない。
女性・外国人取締役はどのような企業にいるのか?

へぇ。そういうデータもあるんですね。なるほど。

政府は、女性の活用が進んでいる企業を公共調達で優遇する検討に入った。価格や技術を評価して選ぶ公共工事の入札などで、女性が活躍しているかも評価のポイントに加える。6月にまとめる成長戦略に盛り込み、来年度から順次導入する。対象の公共調達は数兆円規模の見通し。労働力人口が減るなか企業の女性活用は急務。政府は自らの巨額の購買力をテコに女性の活用を促す
女性活用企業を優遇 政府方針、公共工事入札で

女性を活用して、入札営業力アップですね!(そこなの?)。まぁ、わかりやすい政策ではありますけど。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

結論としては、いつもと一緒で恐縮ですが、女性だけ優遇するのではなく、女性も男性も働きやすく、能力を十分に発揮できる仕組みを作る事が重要です。

方々からの圧力で、見せかけだけ役職者の女性課長(課は1人だけ)を増やしても、基本的に企業の利益に貢献しません。

ダイバーシティとかワークライフバランスとかだと、まず女性の話題が出ますが、僕は男だし、クソどうでも話題です。むしろ、役職に女性枠が出来た場合、男は今後の出世がより狭き門になるでしょうね。

女とか、男とか、性差はありますけど、従業員全体を活かせる仕組みがなければ、女性優遇のルールがもたらす企業益は限定的なものになるでしょう。何度も言いますが、女性のワークスタイルを考えつつも、男性を含めて従業員全体のワークスタイル最適化をしていきましょう。

本稿では、たくさん関連記事を紹介させていただきましたので、ご興味のあるデータを細かくご参照いただければと思います。

あなたの会社では、人事制度は従業員のニーズに応えられていますか?