CSR報告の最新トレンドは女性

先月、EU(欧州連合)で、CSR的な情報開示はマストだぜ!という話(会社法)が決まったそうで。インドの会社法(4月施行)でもCSRが必須になったし、ヨーロッパもアジアもCSRまわりのことがどんどん法制化・義務化されていくのでしょうかね。

2014年4月15日、欧州議会は賛成599票、反対55票で、大企業向け非財務情報および取締役会構成員の多様性の開示に関するEU会社法の改正案を承認した。(中略)統合報告などにもあるように、企業と投資家をはじめとするステークホルダーとのコミュニケーションに関するグローバルの潮流は、「透明性向上」にあることは間違いない。各国が持続可能な成長をめざす中、EUは「透明性」が健全経営と業績向上を導くとの考えのもと、非財務情報の開示を義務付けることで、先駆けてCSRが長期的な企業価値につながること示そうとしている。
EUで非財務情報開示に関する会計指令改定案が成立

非財務情報の開示ってなんやねん、アニメのカイジなら知っているけど…(すみません)。

EUの話なら日本企業は関係ないやんと思いきや、実は日本も現政権の「女性活用」重視戦略の中で、非財務情報(ESG)のカイジ、違った、開示するよう求められるとされているとかいないとか。

EUの話もふまえながら、日本の動きも確認してみたいと思います。CSR部、CSR報告書製作担当の方はもちろんのこと、人事や経営企画などの方にもぜひ確認していただきたい事項となっております。

いや、カイジは名言多いから好きなんですよ(しつこい)。

非財務情報開示義務

詳細はこれから決まる部分もあるようですが、今まで環境・社会といったいわゆるCSRを進めてきた企業は努力が報われるという点がありますし、していなかった企業は、ピンチな状況になったという点もあるでしょう。

対象となる企業は、環境、社会・従業員、人権尊重、腐敗・賄賂防止、取締役会の多様性など非財務の主要なパフォーマンス指標及び実施する適正な配慮を含む、方針、結果、リスクについて関係が深く重要な情報に関する経営報告を公開することが義務づけられます。およそ6,000社に及ぶ500人以上の従業員を抱える大企業が報告を義務づけられることになります。現在欧州では2,500の企業が非財務情報の報告を行っていますが、大企業の報告義務づけによってサステナビリティ・CSRに向けての企業活動の底上げが期待されています。
「従業員500人以上のすべての上場企業は環境・社会・ガバナンス情報を公開せよ」欧州で義務化へ

いわゆる大手企業は、非財務情報開示が事実上義務化され、色々取組まなければいけない、ということなのでしょうかね。

EUでは、非財務情報と取締役会の多様性の開示に関する会社法改正が正式に採択される見込みとなった。いずれの改正点も、対象は、原則として、EU証券市場における上場企業であるため、日系企業への影響は限定的である。しかしながら、将来、対象を、非上場企業へ拡大する可能性が、改正の中で予告されているため、全世界的な非財務情報開示拡大の傾向を考慮して、対応の検討を開始することが必要かもしれない。
非財務情報と取締役会の多様性の開示に関するEU会社法改正の影響

ここがポイントみたいですね。一応、決定ではあるものの、ここから該当項目が変わる可能性が大いにありうるらしいです。日本企業には限定的とはいえ、施行されたときの形次第では、影響を受ける企業もありそうですね。

CSR報告書・CSRレポートの発行義務化がされたようなもので、今後の動向に注目です。

日本における非財務情報の情報開示

日本においては、全体的にCSRまわりの情報開示が遅れているとはいえ、ホットトピックスがないわけでもない。それが「女性」です。

上場企業のESG情報促進に向けた取り組み、特にSの構成要素の1つである女性活躍支援の取り組みに関する情報開示を促進する動きは、わが国でも進展しています。2013年4月には、東京証券取引所は、上場企業が証券取引所ホームページで開示する「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」記載要領の一部改訂を行うことで、企業の女性活躍支援に関する取り組みの情報開示を促しました。2013年9月には、上場企業2,995社のうち、女性の活躍状況について記載を行っている企業は526社で全体の17.6%に達したとのことです(内閣府男女共同参画局開示データ)。
CSRを巡る動き:証券取引所によるESG情報開示促進策の持つ可能性

これまでほとんどの企業が「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」上で女性活躍支援に関する取り組みを開示していなかったこと事実を考慮すれば、急激に開示数が増えていると言えそうです。

今後ますます、政府からも企業に対する女性活躍支援策への要請は高まってくると考えられる。女性活躍支援策は、少子高齢化が急速に進むなか、将来の人材不足に備えるための方策として必要である。国内では、女性の役員及び管理職比率が諸外国に比べても非常に低い。企業の経営戦略としても積極的に女性の登用を促進することが、優秀な人材の発掘や、女性ならではの視点を活用した新しい製品・サービスの創出につながり、長期的には、企業としての業績や競争力などに結びつくという効果もある。
わが国企業の女性活躍に関する情報開示の動向2013

経団連が先月「女性活躍アクション・プラン ~企業競争力の向上と経済の持続的成長のために~」を発表しています。提言は9項目の具体的な取り組みをまとめ、企業による自主行動計画の策定・公表や、キャリア形成支援などを企業に求める一方、政府や大学に対しては、待機児童の解消に向けた一層の取り組みや理工系女性人材が誕生しやすい教育カリキュラムの工夫などを求めているようです。

ただし、各企業に画一的な目標を押し付けるのはよくないので、それぞれの企業がそれぞれ目標を定め活動をしてねってことみたいです。とにかく、情報開示はしてよ、という話ではあるみたい。

その他、内閣府男女共同参画局「平成25年度事業:資本市場における女性の活躍状況の「見える化」促進に関する調査等」という資料や、「就活「禁断の書」、なぜ企業人事担当者が恐々?「女性に優しい企業」が一目瞭然」という話も、女性に関する企業の情報開示の例です。お時間があれば、こちらの記事もどうぞ。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

拙著『この数字で世界経済のことが10倍わかる–経済のモノサシと社会のモノサシ』でもかいたのですが、よくもわるくも「女性」がCSR関連・ESG・非財務情報と呼ばれる情報領域の一つのキーコンセプトになることは間違いないようです。

僕が思うに、まず知るべきは、日本も世界も企業が開示すべき情報の枠が確実に広がっているということです。

それを踏まえた上で、CSR報告書作成はもちろんのこと、ウェブサイトのCSRコンテンツ再構成、広報・IRとのより密な連携、などに取組んでいただければと思います。

えっ?人がいないからウチでは対応できない?まー、そういう企業もあるでしょう。上場会社でもCSR担当が2人とかって会社もありますからね。

ただ、ご存知の通り、CSRは社会のニーズに応えることでもあります。社会が望むなら、企業の負担になろうが、それを求められるってわけです。

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