正義とコンプライアンス

日本でも海外でもそうなのですが、コンプライアンス違反事例は、大なり小なりどこの企業でもありまして、それに対してどう対応するのかというのは、CSR経営の中でも基本的であり、かつ、超重要な項目だったります。

そもそもコンプライアンス違反、法令を守らないというのは企業の「法治国家における犯罪行為」なわけですが、そのあたりの認識が経営陣をはじめとして、どこか異常な空気が蔓延しているわけであります。

今月に入って、某メガバンク・某アパレル企業・某ホテルなど、大手の不祥事(?)が多発しております。話題になる企業の不祥事に共通すること。それは「誰かが嘘をついている」こと。残念でなりません。

というわけで、気になる記事をいくつか見つけたのでそちらも合わせて、コンプライアンスとは何か、そしてその課題に関してどう対応したら良いか考えてみましょう。

コンプライアンスとは?

そもそもコンプライアンスとは何か。

みんな大好きwikipedia先生にお聞きすると、【コーポレートガバナンスの基本原理の一つで、企業が法律や内規などのごく基本的なルールに従って活動すること。ビジネスコンプライアンスという場合もある。コンプライアンスは「企業が法律に従うこと」に限られない「遵守」「応諾」「従順」などを意味する語】とあります。

郷原信郎教授などが提唱する「コンプライアンス=法令遵守ではなく、法令の遵守を含めた『社会的要請への適応』である」というのが僕の見解なのですが、まぁ、それに関してはどこかで記事にまとめてみます。

自分が勤める会社の不祥事に気づいてしまった場合、会社員たちはそれを指摘することができるのか。ダイヤモンド・オンラインがリビジェン(東京都港区)の協力を得て行った調査によると、「過去にコンプライアンス違反に気づきながらも内部告発・社外通報できなかった経験がある」と答えた人は、500人中105人と約2割に上った。企業の不祥事を放置すれば信用の失墜につながる。
みずほ、JR北海道…なぜ放置されるのか 会社員の約2割「コンプラ違反を黙認したことがある」

いや、2割以上いるでしょ。ぜったい。

会社からの“報復”をおそれ、告発しない人は多いと思いますよ。僕も色々な企業の中で働くことも多いので、気持ちはわかります。

告発がうまくいってもいかなくても、大抵はその会社を離れる人が多いようで、企業が悪いのに、告発した人が悪いみたいなのはどうなのかなと。

上場企業では、従業員に「目安箱」と称して、どんな意見をしてもよいという仕組みがあったりしますが、大抵特定されるので本音の抗議はできないでしょうね。

残念ながら従業員の正義が、企業の正義と同じとは限らないのです。とはいえ、一番いけないのは、法を犯す人・企業なんですけどね。

従業員が気付いた時の対応策

必ず殺す技と書いて必殺技。マンガやアニメではおなじみですが、実際には殺せない事例も多々あり、本当に必殺技かどうか疑わしいものもあります。

そんな余談はさておき、企業も殺せる必殺技の一例をご紹介します。それが、「労基署から調査票を送ってもらう」という技名です。

Sさんが働く大手資格試験予備校A社では、労基法違反が横行していた。どんなに忙しくても残業申請が認められず、タイムカードを押した後のサービス残業が慢性化。しかし上司は「社員は毎日23時以降まで働いてこそ成長する」と言ってはばからなかった。

「労基署では毎月、企業に対して労働環境に関する『調査票』を送付しています。対象は、管轄区域にある20社ほど。調査票を返さなかったり回答から違法性がうかがえる企業には、立ち入り調査や社員への面談など次のステップが待っています。この調査票の送付先に、A社を加えるということでどうでしょうか」

実はこの会社には「前科」があり、労基署の調査がきっかけで数千万円の未払い残業代を払ったことがあったらしい。そのため「労基署」という名前には神経質になっていた。後になって「調査票が来たとき、幹部たちはかなり慌てていた」と耳にしたそうだ。
(ブラック企業をひそかに懲らしめる方法 労基署に「調査票」を送ってもらえ!より一部抜粋)

といっても、「労基署からの調査票アタック」はどちらかというと企業への“けん制”の意味合いが強いようです。しかし、上記のように“前科”がある企業には効果てきめんな様子。なるほど。

“コンプライアンスこそが正義の味方”を地でいく銀行マン「半沢直樹」先生も、結局左遷で終わりましたもんね。見てないけど。

まとめ

コンプラ違反をやっつける必殺技はあるにせよ、それで従業員の待遇を始めとした対応がなされるとは限りません。また、企業経営としては、密告者は“レジスタンス(抵抗軍)”であります。

密告なんかしたら、コストと利益のギリギリのラインを進む企業経営軍との壮絶な戦いになることは決定的でしょう。

真偽のほどは、一般人の僕にはわかりませんが、「内部告発者をおびきよせる「誘蛾灯」」という報告もあるようで…。どうなのでしょうか。

根深い問題ではありますが、CSRとか社会貢献とか言っている、CSR推進企業で重大なコンプラ違反が出るのは、とても残念な気持ちになります。

CSR活動が“贖罪”であっては本末転倒です。足下がガタガタでは、未来までの歩みすら危なくなるのではないでしょうか。

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