SDGsの開示、動画、宣言–SDGsの日本企業の対応事例

SDGsの日本企業の対応事例

SDGsが登場してからもうじき3年になります。ビジネスセクター(企業サイド)にも、随分とSDGsの概念や重要性が広がってきたように感じています。

あらためて考えると、広がった理由は明確で、SDGsの1番のポイントは「ディベロップメント(経済的発展)」を否定してないから企業が取り組みやすい、ということです。つまり、CSR活動に経済合理性を統合した、という点です。CSRは企業に社会的責任への配慮を求めるものの、経済合理性の追求にはあまり言及していません。

さて、そんなこんなで広がってきたSDGsですが、取り組みにもいくらか幅が出てきています。もう何年かすれば、様子見をしている企業と行動を始めている企業の差は大きくなると思いますが、まずは、昨今のSDGsへの取り組みで特徴的な企業事例をまとめて、トレンドを確認してみましょう。

戦略的開示

最近話題に上ることが多い事例は「日立」や「パルシステム」などが発行しているSDGsレポートです。

事例は少ないですが、ダイバーシティ報告書などのシングル・イシューの活動報告書は以前からありました。その延長線上と思われますが、予算と本気度がある企業から発行を始めているイメージです。SDGs対応レベルで何かしらの意思決定を行うステークホルダーもいるでしょうし、余裕があれば取り組みたいところですが…。

無理やり既存事業との対照表を作るより、どういうスタンスで対応していきますよ、というほうが現実的でよいです。できれば「既存事業×SDGs」ではなく「マテリアリティ×SDGs」の軸で開示したほうがより戦略的であり評価はできます。対照表を作ったところで新しい価値は何も生み出せてないですが、戦略に組み込めば価値創出に貢献できますよね。

セイコーエプソン|エプソンの取り組みとSDGsとの関連
東京海上ホールディングス|グループ取り組みとSDGsとの関係性~SDGsの目標達成にどのように貢献できるのか~
三菱電機|三菱電機グループとSDGs

上記3社は、マテリアリティとの関係性がわかりやすい情報開示事例です。まだ3年なので、まずは既存事業とゴールとの対照表だけでいいですが、今後は戦略に組み込む(経営に統合する)方向でいかないと、SDGsウォッシュと言われてしまうのでお気をつけください。

動画コンテンツ

わかりやすさでいうと、やはりビジュアルも重視して動画だとベストです。例えば以下の企業事例があります。

トッパン|SDGsに関する取り組みの紹介動画
富士通|ICTで取り組むSDGs
ソニー|Small Smurfs, Big Goals
吉本興業|ブラックマヨネーズ・吉田×千鳥・大悟「ポテト」篇【SDGsについて考えはじめた人々】

テキストでは色々な情報があるのですが、動画のほうが短時間でより多くの情報が伝えられますので、こういったコンテンツをうまく活用することも重要と言えるでしょう。ただし注意したいのは、この手の動画はとにかく再生回数が少ない。最低でも1万回再生はいかないと費用対効果悪いし、そもそも意味ないです。吉本興業の動画はシリーズものなのですが、エンタメ性もあって個人的にはいいと思うのですが、他の企業は真似できないだろうなぁ…。

宣言

今までの企業のSDGs対応のトレンドは「SDGs対照表」でした。2018年および2019年は「SDGs宣言」もトレンドの一つになる(?)ようです。宣言といっても、各種レポート内でもいいと思いますが、個別に宣言をしている企業を紹介します。

大和証券グループ本社|大和証券グループSDGs宣言
コープ|SDGs行動宣言
コマニー|SDGs宣言

組織全体として改めてSDGsにコミットメントをする姿勢はとてもよいです。SDGsがやっと空中戦(戦略や見せ方)から、実務としての行動指針に移ってきたのはよいことです。あやうく何も価値を生み出さない空中戦でリソースを無駄遣いし続けるところでしたね。

ただし、宣言したところで成果を生み出せなければまったく意味がないので、一度宣言した企業は何が起きようが本気で取り組んでいただけることと願っています。ここでの注意点は、SDGs宣言が、既存の中期経営計画や行動指針と別のスローガンを設定すると、KGI/KPIが複数存在する、ようは行動指針が1つの組織に2系統存在することになる、という矛盾も起きかねないので、戦略は専門家もいれてきちんと戦略構築しましょう。

まとめ

これまでのCSRの動きは、世界共通の「ルールを作る(ガイドラインやコンセプト等)」ことがメインでした。

しかしSDGsは、企業経営のルールではなく世界共通の「企業経営のゴールを作る」ことに成功した世界で初めての事例です。ゴール達成のルールや手法を問わないので、政府・NPO・企業と別のセクターの誰もが共通の目標を持つことができた。これは非常に大きいです。

またSDGsが目指しているのは「我々の世界を変革する」ことです。大手企業はイノベーションが大好きなので、これも広がる要因なのでしょう。今回ご紹介した企業事例を参考にしていただき、社内の関連部門と意見交換をして、PDCAのアップデートをしていきましょう。

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