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SDGsをCSR戦略に組込んだ日本企業9事例

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SDGsとCSR戦略

2016年1月より施行された「SDGs」(持続可能な開発目標、アジェンダ2030、Sustainable Development Goals)。

5月26、27日に開催される「G7伊勢志摩サミット」のアジェンダでもあるそうで、企業側でもやや盛り上がってきている印象があります。で、実は施行前の2015年もそうですが、大手企業の一部は、すでにCSR報告書等でSDGsに言及しています。

誰もが取り組んでいない中、すでに明文化している先進企業はどこか。いくつか事例として紹介したいと思います。2016年発行分のCSR報告書も徐々に発表されはじめているので、こちらでは数十社程度は言及されると思われます。

世界を変えるための17の目標、SDGs


世界を変えるための17の目標、SDGs: 黒柳 徹子 UNICEF親善大使からのメッセージ

参照:世界を変えるための17の目標、SDGs - 国連の公共広告に黒柳徹子さん出演

SDGsをCSR戦略に組込んだ日本企業9事例

1、NTTグループ

NTTグループのCSR憲章

近年、国連総会での持続可能な開発・発展のための目標(SDGs)の採択や、COP21での「パリ協定」の採択など、地球規模での持続可能な社会への取り組みが強く要請されており、また株主・投資家を始めとするステークホルダーの皆さまからは、経営戦略とCSR戦略との連携が求められています。
このような背景を踏まえ、グループ各社が一体となってCSRを推進していくための重要な課題(マテリアリティ)である「NTTグループCSR重点活動項目」を見直し、「NTTグループCSR憲章」を改定しました。

はい、NTTグループはマテリアリティ特定の要素としてSDGsを使っている、ということのようです。

2、損保ジャパン日本興亜ホールディングス

SOMPOホールディングスCSR重点課題の見直し(PDF)

この度、国際社会の動向、具体的には、2015年9月に2030年に向けた「持続可能な開発のための目標(Sustainable Development Goals:SDgs)」が国連総会で採択されたことや、12月にCOP21における気候変動に関する新たな国際枠組み(パリ協定)が採択されたこと、また、グループの事業領域の拡大などの環境変化をふまえ、持続可能な社会の実現へのより一層の貢献とグループの成長を目指し、2012年に策定した重点課題の見直しを行いました。

こちらもマテリアリティの要素として活用と。NTTと同様にCOP21も挙げていますね。

3、デロイト トーマツ コンサルティング

国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けCSR・SDGs推進室を2016年5月1日に発足

国連総会で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」において中核をなす「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けて、2016年5月1日付で「CSR・SDGs推進室」を発足しました。DTCはこのSDGsの達成を今後の企業の社会的責任のあるべき姿ととらえ、従来のCSR推進室を発展的に改組し、「CSR・SDGs推進室」を発足しました。
「CSR・SDGs推進室」では、従来からのプロボノ活動の企画・推進などに加えて、SDGsに関する研究、及び、その成果を活用した社会啓発活動、さらには同活動を効果的に行うための各種機関・団体・企業との連携・意見交換を行ってまいります。

マジかよ。デロイト トーマツ コンサルティングは、なんと部署名に。CSVが流行って、CSVという冠がついた部署が日本で数十社ほど採用されましたが、こちらはより先進的な枠組みで部署を作ってます。SDGsを部署名にしたのは、日本で初めてじゃないかな?

CSVは国際的な戦略理論とはいえ、ただの“戦略”であり、国際的なガイドラインでもなんでもありませんので、部署名としては、こちらの対応のほうが正しいように思います。でも、企業ごとに色々あるから間違いとかはないですけど。

4、住友化学グループ

住友化学グループとSDGs

住友化学グループは自分たちのゴールとしてもSDGsはあるんだということで、すでに経営戦略的な捉え方をしているようです。またポスター?ですが、『住友化学グループの「サステイナブルツリー」(一人ひとりのSDGsへの取り組み)』(PDF)という資料も公開しております。これは他社にない取組みですね。

5、帝人

TEIJIN LIMITED 統合報告書 2015

CSR帝人
引用:TEIJIN LIMITED 統合報告書 2015

図のように、帝人では昨年のCSR報告書にすでにマテリアリティ策定のプロセスに組込んでいるとしています。これは先取りですね。2016年発行のCSR報告書ではこういう表記を見ることも多いかもしれませんね。

6、タケダ

Takeda Annual Report 2015

具体的な活動の推進にあたっては国連グローバル・コンパクトの10原則などの国際的な規範や、2015年9月に発効予定の「持続可能な開発目標」(SDGs)案などの国際的な長期目標を参照し、PDCAサイクルを回しています。
(Takeda Annual Report 2015)

グローバルコンパクト加盟の企業は、対応が早いですね。まぁ、中で以前から勉強会もしてらしたもんね。しかし、文章にもあるとおり、発行予定のガイドラインも先取りしての対応は、よく社内的なコンセンサスが取れましたね。アニュアルレポート制作部門は社内でパワーがある、ということなのかもしれません。中の人に会ったことないからわからんけど。

7、住友商事

CSR推進への取り組み

地球規模の社会課題を理解することは、商社パーソンとして身に付けるべき基本知識の一つです。そこで、2015年12月に外部から有識者を講師に招き、SDGsを理解し、事業活動を通じて課題解決に貢献する意義を考える研修を開催しました。

住友商事がすごいのは、CSR部門が単独で対応させたのではなく、研修に組込もうというステージにいること。戦略を実務に落とすスピードはすべての会社が見習うべき姿勢といえるでしょう。一般社員まで浸透する組織は、相当な未来志向が育まれてるんでしょうねぇ。すごい。

8、サラヤ

持続可能性レポート

サラヤのSDGsへの対応の特徴は、MDGsからの流れができている所です。2015年までの開発目標であったMDGsなくしてSDGsを語れないのが本来なのですが、まだ施行もされていない段階から、2015年までと、2016年以降をうまく説明できているところが素晴らしいです。

2015年までMDGsをガイドラインとしていた企業も多いはずなので、無理矢理SDGsからストーリーを作るよりMDGsからプロセスを可視化できると、よりステークホルダーに伝わりやすいレポートになるのかもしれません。

9、国連グローバルコンパクト

日本の本家である国連グローバルコンパクト・ネットワーク・ジャパンの「会員向けSDGsへの取り組み状況実態調査|結果概要」(2015、PDF)によれば、グローバルコンパクトに加盟の企業でさえ認知度はかなり低いようです。半年前の資料とはいえ、まだまだ始まったばかりの取組みといえます。

また、同資料ではSDGsの浸透はトップマネジメントの理解とコミットメントが重要だといってますが、そんなのCSRでもCSVでもトップのコミットメントが重要なのは同じで、あまり説得力がありません。今後の追加資料に期待ですね。

まとめ

NGOやNGO動向や海外の動きに強い担当者がいる企業から、SDGsへの対応が進んでいる印象です。

もちろん、2016年発行分のCSR報告書はすでに作り込んでしまっていて、SDGsの項目まで盛り込めないという企業もあるでしょう。僕は別にかまわないと思います。

だって、対応はムリなんでしょ?だったらしょうがない。2017年発行版のCSR報告書で丁寧に開示していきましょう。

ただね、僕がサポートさせていただいている企業には、去年の半ばから「SDGsは2016年版CSR報告書にぜひ反映させましょう」と言っていたので、基本はどこかで言及してもらっています。“普通の”CSR報告書制作会社であれば、そんなことは当然に対応しているはずです。

……え?対応し忘れてる?翌年のトレンドも教えてくれない制作会社(担当者)に価値ってあるんですか?(上から目線)

まぁ、企業の数だけ諸事情はあると思いますので、まだ対応していない担当者は早急にご検討を。

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執筆者:安藤 光展[→プロフィール詳細]

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