|カテゴリ:CSRマーケティング , CSV/共有価値創造

CSV推進でCSR活動を失敗してる企業って多いよね?

CSR-CSV

CSRとCSV

最近は、CSR(企業の社会的責任)とCSV(共有価値の創造)との議論は少なくなってきた気がします。

CSVの概念は提唱から4〜5年立ちますが、CSVではCSRの本質的な課題が解決できないとわかったのか、提唱したハーバード大学のマーケティングの権威であるマイケル・ポーター先生自体がCSV推進を諦め始めているなんて噂も聞きます。ポーター先生も、誤ったCSV論が広がって辟易しちゃってる?

というわけで、最近のCSVまわりの話をまとめます。

あらかじめ申し上げますが、僕は「CSV推進派」です。CSVの概念がもっと日本に浸透すればいいなと思っている人間です。また「CSRマネジメント」は企業経営において、リスクと機会の双方に大きな影響を与える概念であり、必ず推進すべき課題と思っています。

The Fortune Change the World List

1、Vodafone / Safaricom
2、Google (Alphabet)
3、Toyota
4、Walmart
5、Enel
6、GSK
7、Jain Irrigation
8、Cisco
9、Novartis
10、Facebook

11、MasterCard
12、Grameen Bank
13、Alibaba
14、Danone
15、BYD
16、Cemex
17、Discovery
18、Novo Nordisk
19、SABMiller
20、IBM
The Fortune Change the World List

CSVの推進組織である「Shared Value initiative」の“世界を変えた企業トップ50”の紹介記事です。ここでは、トップ20を引用しました。

「Fortune’s new “Change the World” List profiles the top 50 companies that see societal problems as opportunities for business innovation and competitive advantage.」(フォーチュンの新しい“世界を変える”リストは、社会的課題に対してイノベーションと競争優位の機会として取り組むトップ50社を紹介しています:筆者簡約)ということですので、詳しくは引用記事をご参照ください。

いや、このリストを否定するわけではないですけど、結局リスト企業はCSR先進企業じゃん、と感じたのは僕だけではないはず。

CSRとCSVの差

しかし私たちは、日本でのCSVの受容のあり方に対しては、ある憂慮を禁じ得ません。「CSRからCSVへ」というかけ声が、文字どおりに受け取られて「CSRはもう古い」「CSRは終わった、これからはCSVだ」というイメージとともに日本社会に広がるとすれば、それは果たして望ましいことでしょうか。
CSVはビジネス上の競争戦略と位置づけられます。したがって、CSVに取り組む際にも、他の事業活動と同様にCSRは不可欠であり、社会や環境に及ぼす影響を考慮する必要があ
ります。
「CSRとCSVに関する原則」について

以前、CSV論の無茶な論述と推進をする人が増えすぎてしまい、CSR業界のトップランナーたちがまとめたCSVに関する提言です。

・CSRは企業のあらゆる事業活動において不可欠です
・CSVはCSRの代替とはなりません
・CSVはCSRを前提として進められるべきです
・CSVが創り出そうとする「社会的価値」の検証と評価が必要です

の4つがこの原則とされています。

しかし、そもそも、ここに参加している著名な先生が率先して「CSRからCSVへ」を言っている例もあり(原則に反する?)、この原則というものは、残念ながらあまり意味がないことがわかります。提言をまとめるなら、せめてネームバリューではなく、思想をまとめていかないと……。もったいない気がします。

僕としては、ここに書かれている特定の思想により過ぎる弊害は、CSR担当者のすべてが理解すべきと考えています。とはいえ、CSVの一番の成果は「CSRの戦略的施策の議論」が進んだことだと思います。ここから先、CSVの浸透により、世界で定義されているCSRがどんどん進むことを期待しています。

CSVとCSRマネジメント

そして僕がCSV推進支援について最近感じている事を。

「CSV」や「CSRマネジメント」(CSR/CSV経営)の本を書いたり推進する人たちは、本当に頭のいい人が多いです。国内外の有名な大学出身、官公庁もしくはコンサル・シンクタンク系出身というパターンも多いです。

そういう方は友人・同僚・クライアントも粒ぞろいの中で仕事をしてきたのでしょうけど、例えば、“やる気も情熱もない”担当者がいてトラブルもよくあるような職場でもCSRマネジメント推進の重要性と実効性を担保できるのでしょうか。

予算や人がいる組織ではCSVやCSRマネジメントが進められるリソースがあるのでいいですけど、上場企業・大手企業でも予算・人がほとんど確保できていない企業もいる中、このあたりはかなり難易度が高い仕事だと感じています。

理想論や正論を天に掲げ、社内外の変革(イノベーション)を突き進めるのはいいものの、結局、組織をぐちゃぐちゃにしただけで契約を切られたCSRコンサルティング会社も知っています。しかもその会社は、この業界では有名な会社です。そこでさえ、そのレベルなのです。

ただでさえ、このCSV支援は難易度が高いのに“口だけCSRコンサル会社”なんかに発注してしまった日には……。有名な会社でも担当者のレベルがあまりにも低かった場合には……(これ、CSR報告書制作なんかでもよくあるらしいです)。

元々、この手のお仕事の話は、僕レベルにはこないのでいいのですけど、CSV支援を発注してしまい大変な思いをしている企業担当者を見聞きしたりすると、本当に心苦しくなります。

このような事態にならないように、もし、僕がCSV推進やCSRマネジメント支援に関わることがあるのであれば、気を引き締めて対応していこうと思うのでした。

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まとめ

特定の概念に偏ったCSRマネジメントは、良くも悪くも派閥以外の人たち(マジョリティ)を変えることはできないというのがだんだんわかってきました。

僕のしているCSRコンサルティングという仕事は、一言でいえば“落としどころ”に議論を持っていく仕事と言えます。予算、進捗、国際ガイドライン、社会情勢、去年のCSR報告書…そのほか無限に存在するような環境要因の様々な社内外の状況を見ながら、ご発注いただいたタスクの最適解を導き企業を誘導することが仕事内容です。

その“落としどころ”に落とし込めなければ、どんなに時間をかけてもお金をもらえないだけなので、お金だけもらって結果を出せない人を見るとイラっとすることはあります。ちょっと本を読んだとか先輩から教えてもらったというレベルで“CSRコンサルティングできます”っていう人がいるからビックリです。

監査法人、シンクタンク、報告書制作会社、コンサルティング会社、IR支援会社、印刷会社、などの“一部の人”です。

別に「自称・CSRコンサルタント」(僕もですが)が悪いわけではなく、できもしないのに受注しちゃって炎上して契約解除されるのがもったいと言いたいのです。一番の被害者は企業ですからね。本当にこの領域は企業の実績ではなく、担当者のレベルで大きく差がでるのかなと感じています。

他の業界がどうなのかわかりませんが、このCSR業界はエリートと“そうでない人”の差が激しいらしいので、エリートな先輩たちに追いつけるよう、僕も日々精進し、関わらせていただくCSR/CSV推進業務に励みたいと思います。

これ以上書くとさらに愚痴っぽくなってしまうので、今回はこのへんで。現場からは以上です。



執筆者:安藤 光展[→プロフィール詳細]

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