アディダスとナイキのCSR情報開示は、東京オリンピックまでに進むのか

アディダスCSR

アディダスとナイキのCSR情報開示

東京オリンピックのまわりで、ロゴ(エンブレム)を含めて色々と話題になっておりますが、CSR関係者が注目すべきは、スポーツ用品メーカーや、企業スポーツ(スポンサード)の社会的インパクトなどでしょう。

世界的な企業が日本でもCSR活動をしっかりやっている、というアピールにもなるし、逆にマイルストーンとして、CSR情報開示があまりできていなかったスポーツ用品メーカーが、2020年までにさらなる情報開示の質向上を目指すというのもあると思います。

というわけで、本記事では個人的にユーザーでもある、アディダスとナイキのCSR情報開示状況と、スポーツ用品メーカーのCSR事例ついて考えをまとめます。

アディダスのCSR活動

世界ではアディダスのCSR評価は高いです。

「世界で最も持続可能な100社」(2015)では、世界の名立たる競合を押さえ3位にランクイン。戦略性も世界でトップクラスです。

しかしながら、日本法人の評価が高いという話は一度も聞いた事がありません。

2年前の記事ですが、「スポーツから考える世界の未来」という特集でアディダスジャパンの代表の方が、会社のCSR的価値観についてふれており、やっぱりCSRで基本とされる「人権・労働慣行」の話はなく、社会貢献活動(慈善活動)に終始している印象をもちました。

慈善活動が悪いとはいいませんけれど、本社での創造的なCSRの取組みをなぜ日本でしないのか、疑問が残ります。もしくはしているけど、情報開示できていないだけなのか。第三者としてはよくわかりません。

僕のスポーツウェアはほぼすべてがアディダスのものです。別にお金もらっているとかではなく、昔から好きなメーカーだっていうだけの話です。もちろん、CSR支援をさせていただく仕事をしてからは、日用品にもオーガニックやエシカルをはじめ、CSR活動が見えない企業に“加担”したくないので配慮しているつもりです。

だからこそ、日本へのCSRのローカライズをしてほしいな、と思う次第です。

日本国内におけるアディダス ジャパンの社会貢献活動
・adidas officail blog|CSR(社会貢献活動)
adidas|Sustainability(英語)

ナイキCSR活動

ナイキも“日本以外”のCSR評価は比較的高いイメージです。90年代の労働問題で大打撃を受けて(未だに事例として紹介されることが多いです)、そこからのCSR推進がものすごく進んだ企業の1つなのかなと。様々な取組みをしているグローバル企業。

CSO(チーフ・サスティナビリティ・オフィサー、最高CSR責任者)がいるのに、日本でのCSRでの活動レベルはどうなのだろう…。やはりナイキも日本におけるCSR活動のローカライズができていないように思います。

まったく個人的にですが、ランニングシューズ2足のうち1足はナイキです。素晴らしいCSR活動をしているのは知っているので、日本でのCSR情報開示レベルを上げないと他のメーカーに乗り換えちゃうよ。

NIKE|CR Report(英語)

スポーツ用品メーカーのCSR活動

しかし、アディダス・ナイキともに、日本法人の事例はまったくといっていいほど聞いたことがない、というのが現状。

これは、いわゆる大手外資系企業でよくある話なのです。本社のある国ではかなり先進的なCSRの取組みをしていても、日本(日本語)ではなぜかその取組みに関する情報がほとんどなかったり、実際に中の人(日本法人)の話を聞いても、いわゆる“社会貢献活動”で済ましている例が圧倒的に多いです。

この「外資系企業の日本ローカライズの壁」は以外に大きい気がする。どの業界でも同じ傾向が見られます。単純な予算の問題ではなく、もっと根深い課題がありそうです。

例えば、本社からは「CSRをちゃんとやれ!」と言われるものの、いざ企画をあげると「ソレじゃない!」と否定されて、日本法人のCSR評価が高まらない(活動がままならない)と。結局、スポーツに比較的関連性の高いNPO支援や、スポーツイベントのスポンサードだけ。

加えて、2社の場合、日本語のCSRレポートがないのも残念。そりゃ、CSR界隈で2社の事例が紹介されるときは海外事例ばかりになるわ。すごくもったいないです。「日本企業の英語のCSR情報が少なすぎる」という海外の方の話を聞いた事がありますが、それと同じなのかもしれません。

あと、業界事にキーイシュー(重要な課題)があります。例えば、スポーツ用品メーカーの場合製造もあるため「人権・労働・環境」などについての情報開示は必須となります。このあたりの業界特性からマテリアリティを導き出す、という企業も今後ふえると思われます。

まとめ

ちょっと日本語での情報開示レベルが低くて、否定的なまとめになってしまいましたが、個人的には2社とも好きだし、2社のユーザーとしても非常に満足しております。

「CSR報告書を見てCSR企業評価をしてから商品を買うか決める」レベルのうるさい消費者は日本でも僕くらいかもしれませんが、信頼できる企業の商品にはそれなりのお金を使うし、友人への布教活動もしているつもりです。

ちなみに、スポーツ用品メーカーでは「ミズノ」とか「アシックス」のCSR情報開示レベルは高いので、興味のある方はチェックしてみてください。

今後、東京オリンピックもあるし、CSR関連の情報開示の質と量が上がることを勝手に期待して、次の買い替え時期に望みたいと思います。

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執筆者安藤光展/CSRコンサルタント
1981年長野県生まれ。CSR/SDGs経営、CSR情報開示の専門家。著書は『創発型責任経営-新しいつながりの経営モデル』(日本経済新聞出版社)ほか多数。日本最大級のCSR担当者コミュニティ「サスネット」主宰。

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CSR/サステナビリティ情報開示を専門分野とし、経営戦略まで踏み込んだコンサル型の開示支援を行なっています。成果にこだわる情報開示をお望みの方、良いCSR報告書・CSRウェブサイトの制作会社がいないとお困りの方は、是非ご相談ください。

安藤光展のプロフィール
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