Bコーポレーション
友人が、2013年度ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授が「ベネフィット・コーポレーション(Benefit corporations、B-Corps、Bコーポレーション)」について2012年に講演している映像をシェアしていたので、僕もシェアさせていただきます。
「Bコーポレーション」とは、アメリカの非営利団体「B Lab」が認証する法人形態のことです。そう。この企業カテゴリーは認証ですが、法律(州法)に乗っ取った正式な法人形態なのです。現在10州以上ですでに成立しています。
何を認証するかといいますと、「当該企業が、社会問題や環境問題の解決に貢献するという存在である」ということ。この認証を受けられれば、CSRといいますが、企業の存在意義そのものが肯定されるのです。すごい法制度なんですわ。
日本ではアウトドア用品メーカーのパタゴニアが有名です。署名サービスの「Change.org」、アイスクリーム屋さん「Ben & Jerry’s」もベネフィット・コーポレーションです。ベネフィット・コーポレーションくらいのレベルになると、CSRなんて経営戦略そのものであり、別途チマチマ活動するものでもないって感じです。
ちなみに、先日書いた記事「ユニリーバCEOが語る、CSR経営の未来のチーム「The B Team」」でもありますが、「The B Team」とは同じ “B” ですが、違うBなのでお間違えなく。
追記:2015年3月
・社会性を認証する「Bコーポレーション(ベネフィットコーポレーション)」
ロバート・シラー教授
Benefit corporations — Robert Shiller
シラー教授って、結構イケメンですよね。まぁ、それはさておき、「企業の社会性は重要だ」という話でしたね。
事業性以外にも企業が追求せねばならない目的(社会性、環境性)があり、労働者の権利を守る事を例としてシラー教授は説かれています。さすが、ノーベル賞受賞者の先生のロジックは安心の納得感があります。
権威主義者の人は、「ノーベル経済学受賞者がCSRを語ってるぞ! みんな重要だからやろうぜ!」みたいになるのでしょうか。そんなわけないか。しかしながら、とても重要なことだと認識した人が多いのも事実ではないでしょうか。
Bコーポレーション
そうしたケース(NPOなど)とベネフィット・コーポレーションとの違いは、ベネフィット・コーポレーションがたとえ利益を追求しなくても、株主らに訴えられることがないということである。
それこそ、四半期ごとの業績にイチャモンをつける株主がいても、彼らの言うなりになる必要はない。もっと長期的な企業の目的を追究すればいいのである。一方、非営利組織ならば資金を集める方法や報酬などにさまざまな制限がつくが、ベネフィット・コーポレーションにはそれがない。
(米企業でも株主より社会の利益を優先できる!?「ベネフィット・コーポレーション」とは何か)
良く、NPO業界は“第三セクター”と呼ばれますが、このベネフィット・コーポレーションは“第四セクター”とも呼ばれているそうですよ。現在、「28カ国・850社以上」という登録状況だそうで、日本にもこれから増えていく可能性も大いにあります。
いや、増えないかも。なぜか、日本企業はCSR活動等にチャレンジや新しいことを好まないですからね〜。どうなのでしょうか。
Bコーポレーションとなるためには、会社は明白な社会的/環境的使命と、株主だけではなく社員やコミュニティー、そして環境の利害を考慮するための法的拘束力のある受託者としての責任を有する必要があります。会社はまた、持続可能性および労働者の好待遇についての〈B Lab〉の誓約を採用するために、定款の改正をしなければなりません。
さらに〈B Lab〉から認証を得るためには、Bコーポレーションはその収益に基づいた年会費を納め、年2回Bインパクト・レポート(社会的/環境的インパクトを調査する長いアンケート)を提出し、〈B Lab〉の包括的な社会的/環境的パフォーマンス水準を満たし、Bインパクト・レポートを一般に公開しなければなりません。
(Bコーポレーション|パタゴニア)
パタゴニアのページが、非常に実務的なラインまでまとめていたので、引用させていただきました。CSR関連のindexのように、認証されると、えらい作業があるもよう。グローバル・コンパクトとかに運営は近いのかな?
まとめ
いかがでしたでしょうか。
企業をNPOが法人認証する。日本ではなかなかできない動きですね。
社会事業法人(「新しい公共」円卓会議作業チーム、2010、PDF)の日本での導入についてアクションがあったと記憶しているのですが、あれっきりなのでしょうかね?だれかご存知の方がいらっしゃいましたら、ご教授いただけるとありがたいです。
NPOと株式会社の中間みたいな法人格は、社会事業および社会起業家にとってはとても重要なファクターです。日本で社会事業法人の話題が手に入ったら、逐一共有させていただきます。
来年のノーベル平和賞が今から気になる、僕なのでした。