食料廃棄は企業の責任ではない?
先日「食品企業のCSRとは何か? 食料廃棄を追ったドキュメンタリー映画「もったいない!」」という記事を書きましたが、またまた仰天のニュースが舞い込んできました。
国連食糧農業機関の調査データが先週上がってきたのですが、食料廃棄は世界で75兆円にもなるということでした。
75兆円って、国家予算レベルじゃないですか……。それを捨ててるなんて…。
外食産業や食品加工などに携わる企業では涙ぐましい、廃棄ゼロへの取組みを行う所もあるのですが、消費者も含め、このままではマズい方向にいきそうです。
75兆円を“捨てている”世界の食料廃棄事情
国連食糧農業機関(FAO)は11日、世界で生産された食料の3分の1が食べられることなく廃棄されているとする報告書を発表した。廃棄分は年約13億トン、金額にして約7500億ドル(約75兆円)に上り、スイスの国内総生産(GDP)を上回る。
報告書によると、最悪の廃棄地域は日中韓を含む「産業化されたアジア」。1人当たり年平均100キロ以上の野菜、コメを中心とする約80キロの穀類を廃棄しているという。また、北米・南米の食肉産業やアジア、欧州、中南米における果物の廃棄問題も指摘されている。
(世界の食料、3分の1廃棄=年13億トン、スイスのGDP超-国連報告)
世界の食料の3割は捨てられていて、75兆円の損失となっている。ふむ。えらいこっちゃですな。
「野菜の見た目の悪さを気にして購入を控える」「食品の賞味期限の厳格な順守」などが大きく影響しているとか。
日本の食品の半分以上は、世界から輸入したものです。私たちは年間5,600万トンの食糧を輸入しながら、その3分の1(1,800万トン)を捨てています。食糧の廃棄率では世界一の消費大国アメリカを上回り、廃棄量は世界の食料援助総量740万トンをはるかに上回り、3,000万人分(途上国の5,000万人分)の年間食料に匹敵しています。
日本の食品廃棄の実に半分以上にあたる1,000万トンが家庭から捨てられています。この家庭からでる残飯の総額は、日本全体で年間11兆円。(旧科学技術庁「資源調査会第123回報告」より)これは日本の農水産業の生産額とほぼ同額です。さらにその処理費用で、2兆円が使われています。日本は食糧の半分以上を輸入しながら、世界一の残飯大国なのです。
(5分でわかる食糧問題)
そうなんですか。ざっくりは知っていたものの、そこまでだったとは知りませんでした。
僕自身も心当たりがないことはない。ちょっと悪くなってるけど、まだ食べられるものを捨てた事はあります。すみません。
日本の食料廃棄について更に知りたい方は、農林水産省の「食品ロス統計調査」をご覧下さいませ。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
外食産業や食品大手の企業がCSRで環境活動とかしても対してインパクト出せないのだから、いや、絶対すべきなんですけど、経済的なインパクトを考えると、食料廃棄問題に業界全体として取り組んでもいい気がするんだよね。
家庭ゴミとレストラン・飲食店の食料廃棄が問題なのでしょうけど、飲食店のCSRで「食料廃棄を減らします」というのを見たことないし、現場を知っている人間としては、非常に困難な取組みだとわかるのですが…。
このレベルまでいくと、グローバル・リスクの一つとでも言えるのかな?
もちろん、家庭でもできることはあります。食料廃棄はコストです。生活を見直す(改善する)価値はあると思いますよん。
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