CSRにおける人権問題とは
昨日、欧州企業と人権(4)苦情処理メカニズムという記事を読んだのでまとめ。
CSRにおいて人権の話しはより議論されていくであろうキーワードの一つ。昨日発表のCSR報告書ガイドライン「GRI / G4」でも人権の項目がよりフォーカスされたようですし。
▶CSR報告書の最新ガイドラインが発表!GRI「THE G4 GUIDELINES」
CSRにおける人権の話しの詳細は、またどこかで解説するとして、思う所があるので、そのあたりを共有させていただければと思います。
CSRと人権
CSRは本来得るべきでない利益を是正する意味もあるという、話しもあります。
つまり、事業に伴って発生する生態系への負荷や、社会的損失コストを負担しているのは、企業ではなく政府や市民である、ということです。自分たちの負の側面を丸投げしているだけだと。
人権を無視した企業活動により従業員・ステークホルダーを苦しめ、病院行きになったりしたときのコストも企業が全額負担してないでしょう。
「個人のコストを企業は負担できないよ!」というのはわかりますが、その原因が企業にあると明確なのに、それを無視するのってどうなんでしょ?って話し。
じゃあ、改善して行くとして、その基準を自社でゼロから作ることはできるのか。もちろん、それは可能だとは思うけど、いくつか条件があると思います。
・基準が測定可能
・顧客にとってメリットがある
・既存の基準より優れているのが明らかな場合
これらが満たされない基準をもとにしたCSR活動が行われるとどうなるか。いわゆる「グリーンウォッシュ」として批判の対象になるリスクがあるというわけですね。
▶グリーンウォッシュを回避せよ!CSRコミュニケーションの不信感を排除するための「10の基準」と「7つの罪」
従業員の福利厚生が充実するのは、極論、顧客には関係ありませんから。価格転嫁されたらたまったもんじゃありませんよね。
CSRと人権と4つのポイント
「国連ビジネスと人権に関する指導原則」ってのが世の中にはあるようでして、
1)人権方針:人権を尊重する責任を果たすというコミットメント
2)人権デュー・ディリジェンス:人権への影響を特定、防止、軽減する。また、どのように対処するか責任をもつプロセス
3)是正:企業の人権への負の影響を是正するプロセス
4)状況の問題:どの地域の事業活動においても、法令を遵守し、国際原則で認められた人権を尊重する。国内法と国際原則が相反する場合は、国際原則の尊重を追及する
ということ趣旨のようです。
在ロンドンCSRコンサルタント・下田屋毅氏は記事の中で、海運会社マースク社(本社:デンマーク)のプランを以下のようにまとめています。
1)人権リスクを防止するための措置のマッピングと統合
2)非常にリスクが高い地域・国における指導原則の適用の調査
3)運用レベルの苦情処理メカニズムの設定
4)法的、契約プロセスの確認
ふんふん、なるほど。ってよくわからないYO!
CSRが進んでいるとされている、ヨーロッパ諸国でも、人権の問題についてまだまだこれからなのだそうで…。
これらの考え方・アクションから、自分たちの行動を規定してくには、担当者レベルではなく、トップのコミットメントがないと難しいようです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
人権に関しては、国連グローバルコンパクトの解説が一番わかりやすいかもです。
▶原則1 企業は、国際的に宣言されている人権の保護を支持、尊重すべきである
まず、知るべきは「人権を尊重する責任とは、人権を侵害しない責任である」ということでしょう。
あなたは、自社の人権への取組みについてどう思いますか?まずは機会を作って、社内の色々な人と話してみる必要があると思いますよ。