社会貢献支出額ランキング2018
先週、東洋経済より『「社会貢献におカネを出す」100社ランキング』が発表されてましたのでシェアします。このランキングは、CSR総合調査を行なっている東洋経済新報社が毎年発表している、企業の社会貢献支出に関する格付けです。
2017年6月末時点の企業の東日本大震災復興支援の状況は「行っている」49.4%(492社)、「行っていない」48.8%(486社)だった。前年の「行っている」51.9%(488社)から微減となり初めて過半数を割った。94.7%(730社)が何らかの支援活動を行っていた2011年夏時点と比べると活動の後退は明らかだ。
というコメントが記事でありましたが、復興支援は2011年以降代表的な社会貢献活動だったので、いつかくる減退期が7年目だったのは興味深いところです。さて、このランキングは復興支援だけではないのですが、大手企業の動向を見るには非常にわかりやすいと思うので、ぜひ確認してみてください!
2018年・社会貢献支出額トップ20社
1、トヨタ自動車
2、日本生命保険
3、ホンダ
4、JT
5、日本電信電話
6、NTTドコモ
7、三井不動産
8、サントリーホールディングス
9、ソフトバンクグループ
10、大日本印刷
11、イオン
12、三菱UFJフィナンシャルグループ
13、キヤノン
14、武田薬品工業
15、旭化成
16、東日本旅客鉄道
17、パナソニック
18、JXTGホールディングス
19、エーザイ
20、三菱重工業
※「社会貢献支出率」のランキングは該当ページにてご確認ください。
2017年・トップ20社
1、トヨタ自動車
2、JT
3、日本電信電話
4、サントリーホールディングス
5、日本生命保険
6、NTTドコモ
7、キヤノン
8、三井不動産
9、三菱商事
10、イオン
11、東日本旅客鉄道
12、ホンダ
13、東芝
14、JXTGホールディングス
15、楽天
16、ソニー
17、パナソニック
18、エーザイ
19、武田薬品工業
20、西日本旅客鉄道
過去データ
2018:社会貢献におカネを出す100社ランキング
2017:社会貢献支出の多い100社ランキング
2016:社会貢献支出の多い100社ランキング
※「東洋経済オンライン」の該当ページにリンクしています。
所感
昨年のランキングと比べて見ると、あまり代わり映えしませんね。全体的には支出額は増えていそうです。2018年は50億円以上の企業が9社、2017年は5社です。トップ20未満の企業も支出金額が伸びているところが多いし、ESG概念の浸透によって、大手企業の予算配分が変化しているのかもしませんね。
あと、ランキングのコメントにあるように『多くの企業は各社の理念に基づき「必ずしも利益を最優先としない」社会貢献的な活動にも幅広く取り組んでいる。』というCSR活動もあるということは、私も同じ意見です。
CSVが盛り上がっていた2011年から5年間くらいは、日本の大手企業で数百社程度で「ビジネス・インパクトによる社会課題解決」がCSRの本丸といわんばかりにレポーティングしていました。しかし、それはリターンが期待できない慈善活動の意義を奪う諸刃の概念でありました。また、CSVといっている企業ほどCSR総合評価が低いという事実もあり、私としては、再度、この社会貢献活動の意義を問い直しているところです。
そして、現在とある複数の大学と調査研究をしているのですが、この「理念の実践における社会貢献活動」は、CSR活動の中でも非常に意味のあるものなのではと感じています。社会貢献活動は、社会的・経済的インパクトをKPIにするのではなく、理念が実践できているかどうかが、ポイントになるかも、と。
このあたりは論文や書籍にまとめる予定ですのが、コンサルティングで関わる企業の方には、随時色々な視点提供ができるとは思います。
まとめ
社会貢献支出額は企業規模にもよるので、あまり相対的な評価(ランキングのこと)で見るのは適切ではないと思うものの、インプット(支出額)が大きければ、アウトカム(成果)となる社会的・経済的インパクトも大きくなる可能性が高いので、この絶対額の大きさもCSRにおいては重要な指標であることは間違いありません。今回の上位企業は素晴らしいですが、その支出額以上に、どこまで経営理念との整合性を明文化し情報開示できるかに注目していきましょう。
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