環境コミュニケーション大賞

先日、環境省より「第21回環境コミュニケーション大賞」が発表されましたので共有します。

環境コミュニケーション大賞とは、優れた環境報告書や環境活動レポートなどを表彰することにより、事業者などの環境経営および環境コミュニケーションへの取り組みを促進するとともに、環境情報開示の質の向上を図ることを目的とする表彰制度のことです。最近は統合報告書やESGレポートなども範囲になるようです。

では今年の上位企業を紹介します。

環境コミュニケーション大賞

環境報告大賞:大和ハウス工業
持続可能性報告大賞:積水ハウス
地球温暖化対策報告大賞:富士通
環境報告優秀賞:トヨタ自動車、日立製作所
持続可能性報告優秀賞:セブン&アイ・ホールディングス、武田薬品工業
地球温暖化対策報告優秀賞:キリンホールディングス
地球温暖化対策報告優秀賞:コニカミノルタ
生物多様性報告特別優秀賞:住友林業
信頼性報告特別優秀賞:東京海上ホールディングス
審査委員会特別優秀賞:味の素、ダイキン工業、本田技研工業

過去アワードに関するデータ

第21回環境コミュニケーション大賞(2018年発表)
第20回環境コミュニケーション大賞(2017年発表)
第19回環境コミュニケーション大賞(2016年発表)

所管

まずは、上位3社の対象の評価基準(本アワード・募集要項)をおさらいします。

○環境報告大賞
第21回環境コミュニケーション大賞環境報告書部門への応募作品で、SDGs、パリ協定やTCFDによる最終報告など、持続可能な社会の形成と気候変動への対応について積極的に経営の戦略として取り組んでいることを明らかにするなど、最も優れた環境報告書。

○持続可能性報告大賞
環境報告書として優れていることに加えて、持続可能性の視点から社会側面に関する記述に最も優れた報告書。

○地球温暖化対策報告大賞
温室効果ガスの削減、その他気候変動対策について、斬新かつ具体的な数値目標を示して取組を進める企業により作成され、その取組を社会に広く伝える工夫を行っている最も優れた報告書。

それぞれに選ばれた大和ハウス工業・積水ハウス・富士通の3社はさすが、といったところです。おめでとうございます。

このアワードは環境情報の質と量が特に求められますが、募集要項のように、経営戦略にどこまで環境視点を取り入れられているかという、戦略的側面も重要なポイントのようです。

SDGsの影響もあり、昨今のCSR活動は、成果としての定量的な社会的インパクトの大きさより、長期的なコミットメントや戦略のほうが評価されています。環境活動は特に時間軸の長い話なので、ある程度の期間がある目標達成年(例えば「2030年」など)で成果を最大化する必要があり、短期的な成果は評価しにくいということもあるでしょう。

まとめ

来年の「第22回 環境コミュニケーション大賞 2019」には、どの企業が入るのでしょうか。今から楽しみにしております。

環境カテゴリは専門ではないので、そこまで明確な未来予想はできませんが、リソースの関係上、環境・CSR報告書を統合報告書にまとめるため廃止する企業も一定数あるだろうし、環境報告だけに特化したものが、本当に社会的な意味があるのかは問われる場面もあるかもしれません。

個人的には、統合報告書など範囲を広げすぎず、環境カテゴリならそこにもっと特化したものにするか、総合的なESGを評価する枠組みにするのか、どちらかのほうが、より意義のあるアワードになると思っているのですが。

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