CSRウェブランキング
ここ数年の流れでCSRウェブコンテンツの重要性は高まるばかりです。私は毎年500社以上のCSRウェブコンテンツを調査・分析していますが、多くの企業で適切な開示ができているとはお世辞にも言えません。
では、ビジネス・インパクトを生み出せる、成果獲得や評価向上に貢献できうるCSRウェブコンテンツをどのように運営してくのがよいのでしょうか。
今回はそのヒントとして、コーポレートサイトのCSRコンテンツ(CSRページ)が評価項目となっているウェブサイト評価である、「企業情報サイトランキング2017」「ホームページ充実度ランキング2017」「CSRコンテンツ充実度調査2017」「IRサイトランキング2017」をまとめて紹介します。
評価機関は直接的なステークホルダーではありませんが、その視点は必ず学びがあると思います。
1、企業情報サイトランキング
企業情報サイトの重要な目的として、情報公開を通じて顧客、株主、地域など様々なステークホルダーからの信頼を高めることが挙げられます。「企業情報サイト調査2017」では、企業信頼度の向上に対する企業情報サイトの寄与度を明確化することによって、企業情報サイトの目標の設定と成果の検証を可能とします。
企業情報サイトランキング2017 2017
対象コンテンツは、「会社案内」「経営理念」「ニュースリリース」「CSR・環境」「IR情報」「技術・品質・安全」だそうです。統合思考による情報開示と考えれば、多くが非財務情報関連開示というカテゴリにもなりそうです。富士フィルム、トヨタ、キヤノンあたりはCSRの総合評価も高い企業なのでさすがといったところです。
トップ10
1、ヤマハ
2、サントリー
3、TOTO
4、富士フィルム
5、トヨタ自動車
6、伊藤園
7、ヤクルト本社
8、資生堂
9、カゴメ
10、キヤノン
2、ホームページ充実度ランキング2017
ウェブサイト評価としてはレジェンド的な調査になる「ホームページ充実度ランキング2017」も紹介します。この調査は、全上場企業ホームページ充実度を調査し、ランキング形式で発表されています。以下、調査結果リリースにおけるCSR関連カテゴリの評価をまとめました。
「CSR・環境対応ページ」は、昨年の「54.5%」から減り「52.9%」となっています。これだけESGだなんだと言っている時代に減るとは…。もしかしたら、CSR・環境というカテゴリでなくなっただけで、IRコンテンツのESG対応ページの充実度は増えているという可能性はないのかな?
「CSRレポート掲載」は、昨年の「21.8%」と変わらず。今年の全上場企業でも2割程度しかCSR報告書を発行していない(発行している企業は100%ウェブにも載せるだろうから)のか。統合報告が増えている分、関連レポートのは発行数は増えていそうだけど。
こちらのランキングでもCSR評価の高い企業である、伊藤忠商事、KDDI、NECなどが上位にランクインしています。
トップ10
1、伊藤忠商事
2、KDDI
3、カプコン
4、UACL
5、日本電気
6、ヤマハ発動機
7、ソフトバンクグループ
8、TDK
9、双日
10、みずほフィナンシャルグループ
3、CSRコンテンツ充実度調査2017
我々もCSRウェブコンテンツの総合評価「CSRコンテンツ充実度調査」を実施し、企業のCSRウェブコンテンツ(コーポレートサイト、特設サイト)に関する調査・分析を行ってランキングにしています。
我々の調査でも、前述の2つのウェブサイトランキングトップ10に入る企業もランクインしています。ウェブサイトが良い企業は誰が見てもよい、という可能性も高いです。ちなみに2018年版は2018年1月に発表予定です。
トップ10
1、KDDI
2、資生堂
3、トヨタ自動車
3、りそなホールディングス
3、伊藤忠商事
6、NEC
6、SOMPOホールディングス
6、マツダ
6、リコー
10、ローム
10、野村ホールディングス
4、IRサイトランキング2017
IR情報を財務・決算情報や決算説明会に関するコンテンツのみならず、経営戦略、コーポレートガバナンス、環境や社会に対する活動、そして各種リリースなど、経営にかかわるすべての情報を包含する広義の概念としてとらえます。
そのため、いわゆる「株主・投資家情報サイト」に加え、会社情報に関するサイト、CSR(企業の社会的責任)に関するサイトなども調査の対象としています。
ランキングの調査手法
全体的なカテゴリとしては「ウェブサイトの使いやすさ」「財務・決算情報の充実度」「企業・経営情報の充実度」「情報開示の積極性・先進性」の4つとなっています。
IRサイトの評価とはいえ、ESG項目の開示は非常に重要なので、非財務情報(定性的情報)も重要視されているランキングとのことです。もちろん、このランキング上位がイコールでCSRウェブサイト評価の高い企業とはなりませんが、上場企業であれば、必ず参考になることでしょう。ちなみに2位ソフトバンクの評価コメントでもCSR情報の充実が挙げられていました。
トップ10
1、カプコン
2、ソフトバンクグループ
3、KDDI
4、コニカミノルタ
5、キリンホールディングス
6、トプコン
6、三菱重工業
8、SOMPOホールディングス
9、TDK
9、伊藤忠商事
参考:東洋経済CSRランキング・トップ20
2017年発表の「東洋経済CSR企業ランキング」のトップ20も参考に掲載させていただきます。この中で前述のランキングたちに入っている企業はどれくらいあるでしょうか。
1、富士フィルムホールディングス
2、ブリヂストン
3、KDDI
4、コマツ
4、NTTドコモ
4、キヤノン
7、富士ゼロックス
8、デンソー
9、リコー
9、花王
11、味の素
12、コニカミノルタ
13、NEC
14、ホンダ
15、ダイキン工業
16、村田製作所
17、日産自動車
18、クボタ
19、積水ハウス
20、アサヒグループホールディングス
まとめ
国内の一部のCSR評価機関はウェブサイトの情報を「開示情報」として評価している動きもあります。評価機関からの「調査票」(質問用紙)に回答するだけでは評価をされないことも増えています。
「評判が可視化されてしまう時代」に生きている私たちとしては、適切なCSR情報を適切な形でウェブサイトに掲載しなければなりません。(社外評価や株価とかどうでもいいという企業はのぞく)
当然、CSRコンテンツを総合的に調査しているのは、日本で我々の「CSRコンテンツ充実度調査」ですので、国内大手のCSRウェブコンテンツ動向を知りたいなら目を通して損はないと思います。日本のCSRに詳しい人で、CSR関連のウェブメディアやブログを5年以上運営経験があり、CSR情報の流通に知識・ノウハウがある人って一桁程度しかいませんので、我々以上にCSRウェブコンテンツを総合評価できる人がいるのかよくわかりませんが。(自慢ではなく事実です)
今回紹介したCSRウェブコンテンツ評価が御社のCSRコミュニケーション改善の役に立てれば幸いです。
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