世界のCSRランキング
アメリカのコンサルティング会社レピュテーション・インスティテュートが、様々な国の人々から集めた17万社に対する評価結果を分析しまとめ、消費者から最も社会的責任を果たしていると評価されている企業を発表しました。
このランキングはCSRの専門家が評価・選出するのではなく、一般消費者である点に注目です。評価項目は「市民性/社会性」「職場環境」「企業統治」などの項目の評価です。
日本では、ESG投資の広がりからESG情報の発信には注目が集まるものの、こういった「エンドユーザーや消費者に向けたCSR情報発信」および「消費者/エンドユーザーからのCSR評価」はあまり注目されません。そういう意味でも興味深いと思います。では早速ご紹介。
ランキング・トップ10
1位、レゴ
2位、マイクロソフト
3位、グーグル
4位、ウォルト・ディズニー・カンパニー
5位、BMWグループ
6位、インテル
7位、ロバート・ボッシュ
8位、シスコシステムズ
9位、ロールス・ロイス 航空部門
10位、コルゲート・パーモリーブ
調査の枠組み
「3 CSR dimensions (Citizenship, Workplace and Governance)」って考え方は非常に興味深いですね。「3」はマジックナンバーなので、何かをカテゴライズする時に、まず3つに分けるのは世界共通事項。ESG(環境・社会・ガバナンス)やトリプルボトムライン(環境・社会・経済)もあるけど、私はこの「社会」というカテゴリがいつも気になっていました。範囲が広すぎだし、最近は「人権・労働慣行」がメインで、本当に社会というカテゴリ名でいいのか、と。
「3 CSR dimensions」という考え方があり(「市民権・職場・ガバナンス」と訳すのでしょうか)、これは現実のレピュテーション・インパクトとしてイメージしやすいカテゴリかなと。アジア文化圏では「市民権」があまりイメージできないこともありますが、トリプルボトムラインの「社会」に近いイメージです。
いろいろ指標や評価の記事なども読むと、やはりCEOが率先してCSRを進めている企業が消費者には評価される傾向があるみたいです。でもそれって実は専門家も一緒で、トップの姿勢一つでここまで変わるというのは、エビデンスとして確立されており、CSR/ESG評価を上げたい企業は、本気で社長のコミットメントを引き出しに行くべきです。
もう一つは、年々、消費者の、特に熱心な消費者の企業のCSR評価が厳しくなっていることも挙げられそうです。日本でもCSR元年と呼ばれる2003年から来年で15年です。特に東日本大震災以降、消費者の方々の企業のCSR評価の目は随分厳しくなってきています。去年と同じCSR活動と情報開示をしていたら今年の評価は相対的に下がります。つまり“現状維持は衰退の始まり”です。
こういった大きなCSR活動の枠組みは、中経などが変わる時でないと抜本的に変えられないかもしれません。逆に来年はその年だという企業はチャンスです。消費者から信頼される企業になっていきましょう。
まとめ
今回の調査では、1回でもネガティブで大きなニュースがあった企業が、他にどんな良い活動をしていようが、こう言った評価のトップ10には入れなくなってしまいました。
日本国内で、ネガティブなニュースがあっても国際的な評価が下がるということはないようですが、それも国民感情としてはやや複雑な気もします。そこまで厳しくしなくていいと言われればそれまでですが…。
ちなみにレゴが1位で、その評価に「価値ある大義の推進」という項目がありました。前述したように、トップこそがリーダーシップとオーナーシップ(当事者意識)をもってCSRというか理念経営を進めている必要があるのでしょう。BtoB企業でもエンドユーザーの意識の高まりに耳を傾けるべきです。
というわけで、あまり参考にならない国内企業の方のほうが多いと思いますが、参考までにということで。
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