CSRのブランド価値とは

CSR・環境が企業ブランドに影響する。誰もが知っていることですが、定量的な調査や格付けがほとんどないのです。

で、本記事で紹介するのは、先日発表になりました日経BP社の「環境ブランド調査」です。

環境ブランド調査とは、環境・CSR関連ではレジェンドとも言える有名な調査です。国内の主要企業ブランドを対象に、環境に関する活動が一般の消費者やビジネスパーソンにどう伝わっているかについて、インターネットを利用してアンケート調査し、結果を集計・分析したものです。評価指標は、「環境情報接触度」「環境コミュニケーション」「環境イメージ」「環境評価」の4点だそうです。

ちなみに、環境だけではなくESGでいう、SとGの項目の質問項目もいくつかあるようで、それらをまとめて別枠カテゴリーでランキングがしています。データも上位は開示されていますので、詳細は以下のリンク先を確認してみてください。

日経BP社「環境ブランド調査2017」サントリーが首位奪還トヨタが社会活動で強さ

2017年・総合トップ20

1、サントリー
2、トヨタ自動車
3、パナソニック
4、ホンダ
5、日産自動車
6、キリン
7、イオン
8、セブンイレブンジャパン
9、アサヒビール
10、日本コカコーラ
11、積水ハウス
12、サッポロビール
13、JXエネルギー
13、ダイキン工業
15、ブリヂストン
16、マツダ
17、日本マクドナルド
18、日本たばこ産業
19、東日本旅客鉄道
20、伊藤園
20、花王
「環境ブランド調査2017」総合ランキング(上位20位)より引用)

2016年・総合トップ20

1、トヨタ自動車
2、サントリー
3、パナソニック
4、イオン
5、ホンダ
6、日産自動車
7、キリン
8、サッポロビール
9、日本コカ・コーラ
10、JT
11、アサヒ飲料
12、セブン-イレブン・ジャパン
13、ヤマト運輸
14、マツダ
15、花王
16、東芝
17、アサヒビール
18、シャープ
19、日立製作所
20、カゴメ
日経BP社「環境ブランド調査2016」 トヨタが7年ぶりに首位 燃料電池車やハイブリッド車が押し上げより引用)

所感

「社会」「ガバナンス」に関する取り組みのプラスとマイナスのイメージを尋ね、SGイメージスコアを集計したというCSR全般のイメージ評価もありますが、基本は環境面の話になるためそこは考慮すべきかと思います。

ちなみにこの評価スコアを見ると、今回はトヨタが圧倒的な1位だったようです。さすがイメージだけあって、グーグルやアップルという企業名も出てきます。日本法人の情報開示量が少ないので、CSR関連評価ではあまり上位でみない企業ですが、消費者とのエンゲージメントはさすがといったところでしょう。私もグーグルとアップルのユーザーなので、社会貢献的なイメージが高いのは理解できます。見る人は見ているということでしょうか。

BtoC企業は特にですが、消費者のイメージ向上は重要な経営課題です。環境領域のみならず、予算やパワープレイに固執しない、様々な企業の取り組みに期待しましょう。以下は直近3年のニュースリリース・ページです。経年の分析をしたい方は確認してみてください。

環境ブランド調査2016
環境ブランド調査2015
環境ブランド調査2014

まとめ

「環境ブランド調査」は、長年にわたる調査は貴重なCSR関連ランキングです。

日本のCSR関連の企業ランキングって実はほとんどありません。CSR総合評価は東洋経済新報社のみ、環境経営関連では日経グループでいくつか調査があるくらいです。以前は色々あったのですが……ほとんど終了してしまいました。これも時代の趨勢ということなのでしょう。

「働き方」とか限定的なCSR項目の企業ランキングは民間企業を中心にたくさんありますが、CSRの総合ランキングは本当に数が少ないです。

たとえば10年前とかの経産省の資料「その他の環境評価事例について企業サイトランキング」とか見ると、東洋経済や日経以外も実施していたようですが、今はないんじゃないかな…ウェブで見つけられないだけなのかな?

というわけで、データ分析力や企業組織力で、現在では2社のCSR/環境ランキングがメインとなっていますが、私ども(CSRコミュニケーション協会)でも、別の切り口で総合的なCSR企業ランキングを作ってみたいと、いろいろ研究をしているのですが…。水面下ではいろいろ動いているので、機会がありましたら、読者の皆様に公表したいと思います。

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