CSRのコンテクスト
ステークホルダーとのエンゲージメント活動。御社はできていますか?
私の実感として、ここ数年のCSR領域における課題は「マテリアリティ」と「エンゲージメント」です。マテリアリティは、CSRの戦略的な側面であり、非常に重要な概念です。エンゲージメントは、CSRコミュニケーションにも近いのですが、実務的なCSR活動において最重要課題の一つです。
とはいえ、大手企業であればISO26000発行の2010年以降、これらに取り組んでいるはずなのですが、未だに自社の課題として掲げているところが多いです。
本記事では、最近のエンゲージメントの事例を確認しながら、あらためて今後のCSR活動のヒントをまとめます。
従業員エンゲージメント
CSR活動にはレベルの差こそあれど、どの会社も課題は似たようなものです。よく挙がる課題の一つは「社内浸透」です。つまり自社グループの従業員に対してのCSRの浸透や推進がなかなかうまくいかない、ということでもあります。
CSR活動における社内浸透で重要なのは「モチベーション」(動機)だと思っています。「インセンティブ」(報酬)ともいいます。従業員にメリットがあれば、自主的にCSR活動を推進する人が必ず出てきます。ただ“やらされている”段階で「社内浸透しません」って言われても、「そうでしょうね」としか言えません。
自社がどんなに素晴らしいことをしていても、伝え方によっては受け手の反応は大きく変わるものです。興味がない人にどんなにすごいことを言っても響かないのです。厳密には、そのすごさを“認識できない”のです。
ですので、どれだけ大義名分があるCSR活動だとしても、従業員が当事者意識を持てずメリットも感じないため、CSRが浸透していかないのかもしれません。
エンゲージメント事例
私はよくCSRコミュニケーションやステークホルダー・エンゲージメントは「コンテクストが重要だ」と言っています。コンテクストは「文脈・背景」と訳されますが、CSRでは包括的な「意義・意味」に近いニュアンスかもしれません。
エンゲージメントするには、該当するステークホルダーの視点や心理状況をきちんと把握することが必要です。というわけで、参考になりそうな記事を4つほど紹介しますので、お時間があるときに確認してみてください。
・第20回 生活者の“企業観”に関する調査」の結果について
・消費者の購買志向を調査する第1回「エンゲージメント・サーベイ」実施
・広告の内容よりも、直前の心理状況が重要?:マーケティングの常識を覆す『プリ・スエージョン』
・ブランド力を強化する「デジタル広告」のあり方とは?:現代の生活者に受け入れられるために
まとめ
ステークホルダーの考えや好み、置かれた状況、時代によっても“良いエンゲージメント”は変化します。
インターネットによって社会や人も変わるスピードがどんどん加速しているのだから、企業側も去年と同じエンゲージメント手法で去年以上のエンゲージメントの成果を求めるのはやめましょう。
さまざまな背景、さまざまな状況の多様な人にまとめて適用できる“良いエンゲージメント”はありません。それぞれのステークホルダーと向き合って、誠実にエンゲージメントとは何かを改めて定義しようではありませんか。
ステークホルダーとのエンゲージメント活動。御社はできていますか?
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