CSV経営の企業戦略のヒント
企業と顧客のエンゲージメント・マーケティングを行うエンゲージメント・ファースト社より最新のCSV調査の資料が届きましたのでシェアさせていただきます。
エンゲージメント・ファーストはCSVに関する意識調査を定期的に行っています。本記事では、2017年3月に調査したという「CSV Survey 2017」のサマリーを紹介します。
すでにCSVを戦略に組み込んでいる企業というよりは、これからCSVに取り組む企業が参考になるデータだと思います。
CSV Survey 2017
・調査回答者の66%が商品やサービスを購入の際、企業の姿勢が重要だと考えている
・調査回答者の64%が社会課題解決にコミットしている企業の商品やサービスを購入したいと答えている
・直近6ヶ月で社会課題にコミットしている企業のサービスを買った人は10%で、そのうちの51%は知人にその商品を進めている
・社会課題解決にコミットしている企業として、サントリー(84名)、トヨタ(55名)、パナソニック(22名)、キリン(19名)などがあげられた
・生活者が商品を選定する際に、40歳代、50歳代、60歳代はテレビ広告の影響力は以前大きいが、20歳代、30歳代はデジタルの比率が大きくなり、Webサイトやソーシャルなどでのコミュニケーションが重要
(引用:CSV Survey 2017 調査レポート)
CSVのマーケティング成果は、BtoCではより顕著に出るように見えます。BtoBでもインフラ系のビジネスをしている企業は、BtoBでもエンドユーザーとして一般生活者が見えるため、CSV戦略の導入はマーケティング成果につながりやすいのかもしれません。
意識調査と実際の行動は違いますが、それでも何十%もの人がCSV的な企業姿勢と商品・サービスをリンクさせて考えているという、とても大きな示唆を垣間見ることができました。
あと、20〜30代といういわゆるミレニアル世代近辺の話は「ミレニアル世代とCSR・社会貢献の関係性」でまとめていますので、こちらも参考にしてみてください。
CSV Survey 2016
・生活者の社会課題意識は、57%が社会課題に「非常に興味ある」「どちらかといえば興味ある」と答えており、昨年より2ポイント増加している。
・回答者の73%が購買検討時に企業の考え方や姿勢が「非常に重要」「重要」だと答えている。前回調査より12ポイント増加。2015年に起こった廃棄された食料品の販売や環境問題などの影響が考えられる。
・回答者の62%が社会的課題に取り組む企業の商品やサービスを今後「積極的に購入したい」「購入したい」と答えている。
・回答者の48%が社会的課題に取り組む企業の商品やサービスを「積極的に購入している」「どちらかと言えば購入している」と答えているが、2015年と比較すると5ポイント低下している。
(引用:CSV Survey 2016)
この調査より、生活者はより一層社会課題意識が高まり、商品の購入時には企業の社会課題解決への姿勢を検討の際に重要視している傾向が強まっていることが分かった、とのことです。
東日本大震災で盛り上がった“応援消費”のような動きが丸5年たってどういう形で定着したか興味深かったです。
これは2017年の調査結果でもですが、商品・サービスと同様に「企業姿勢」も購買の意思決定におけるファクターとなっているように見えます。これは、一時期、外食で名指しでブラック企業のレッテルをはられた企業などで顕著にあったものなので、それを証明したとも言えます。
まとめ
“機能的”に、どんなに素晴らしい商品・サービスを販売しても、企業の組織としてのイメージが悪ければ、購買にいたらない可能性がある。
逆に商品・サービスが業界でトップクラスでなくても、組織イメージ等による購買コンテクストによっては、売上を伸ばすことが難しくない社会へ。
非常にハイコンテクストな社会になっている現代において、情報の文脈がこれほどまでに注目された時代があったでしょうか。情報そのものに価値はなくその文脈が重要とされる世界。
CSVは、そのコンテクストを構築する、つまり社会課題とビジネススキームを結びつけるフレームワークとなりうる可能性があります。これからCSV戦略を構築するという企業は、ぜひこのあたりのデータを参考にしてみてください。
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