SDGs

SDGsが企業に与える影響

先日「SDGsをCSR戦略に組込んだ日本企業9事例」という記事もかいたのですが、SDGs(持続可能な開発目標)は新しいCSR的な枠組みとして、企業担当者の注目度も一気に高まっています。

SDGsがこれからは来る!ということで、様々な企業や団体がどんどんセミナーをしています。そのうちSDGsに関する書籍なども出てくると思います。

政府や安倍首相も『SDGsの実施に国内実施と国際協力の両面で率先して取り組んでいくべく、我が国の内外の取組を省庁横断的に総括し、優先課題を特定した上で、「SDGs実施指針」を策定していく。』としており、日本も国策としてSDGsを広め対応していこうという状況のようですね。

参照
持続可能な開発目標(SDGs)推進本部
持続可能な開発目標(SDGs)推進本部会合(第1回)

EUは今は大荒れで欧州のルール・メイカーや欧州委員会が今後もCSRのルール作りをしていくのかわかりませんが、この混乱の中、CSR界隈では国連の枠組みを(MDGsで失敗した経験を踏まえ)一気に進めるチャンスです。

もちろん、現時点で問題点・課題・批判がないわけではないでしょうけど、イシューベースの定量化されたゴールの設定は、マテリアリティ特定などを含めて、必ず参考になるはずです。というわけで、SDGsについて、現時点での「ツール」としての側面をまとめておきます。

そもそもSDGsってなんだっけ、という人は以下のページに資料がまとまっているので確認してみてください。

国連広報センター|持続可能な開発目標(SDGs)とは

企業に何が求められているか

SDGsのビジネス的側面を知るということで、PwCの「ビジネスと持続可能な開発目標(SDGs)」(日本語)というレポートを見てみましょう。なかなか興味深い数字が並んでいます。字が細かいので、見にくい場合は元レポートでご確認ください。

SDGs

SDGs

参照:ビジネスと持続可能な開発目標(SDGs)‐SDGs実現に向けて企業に何が求められているか(PwC、2016)

SDGインダストリーマトリクス

「SDG INDUSTRY MATRX」という、業界ごとのまとめがあります。

SDG Industry Matrix

SDGコンパスとは別に、業界ごとのツールを作っていくようですが、これらの日本語版はこれからですかね。ただ、これらは正直、難易度が高いように見えます。CSR全般のそれなりの知識を持っている人でないと理解は難しいでしょう。それを実践的な戦略に組込むのは…ちょっと先になるかもしれません。

まずは、GRIスタンダードのように、マテリアリティの進化が業界という特性にもフォーカスしていきている点を理解しておきましょう。今後のCSR活動は、より業界特性が求められるようになるのかもしれませんね。

ちなみに、先日、SDGsに詳しいとある企業のCSR担当者の方と意見交換をしていたのですが、SDGsで挙げられていることはほとんど以前から言われている社会課題であり、何か新しいゴール(目標)や169ターゲット(課題)が2015年に急に出てきたわけではない、と。

もちろん、それらのゴールが最終的に達成できなくても、世界の個別の企業にペナルティがあるわけではありません。

で、ISO26000やGRIなどは「ガイドライン」であり、最終的な期間を含めたゴールは設定されていません。そういう意味では、国際的な枠組みではじめて、イシューの再定義とゴールの再設定に成功した「ツール」なのかもしれません。

15年間という期間

今のCSR担当者や経営層(CSR担当役員、社長など)の任期として15年間(2030年まで)やるということはほぼないでしょう。そうなると、SDGsに向けた課題はこの“長期的な取組みにコミットメントできるのか”という点となります。これは難題です。コミットの熱量を15年間、何代にもわたって企業は維持できるのでしょうか。

今いる経営陣の任期中にはおそらくそれなりの投資が必要なSDGs対応の成果は出ません。そうなると、任期内での成果を求める経営陣には重荷であってインセンティブにはならない可能性が高いです。SDGsはそういった実務的課題を超えて、究極的な社会変化が予想される15年もの膨大な時間を、同じ目標設定で進むことができるのでしょうか。

CSRはサスティナビリティ、つまり半永久的に続く“持続可能な仕組み作り”をすることでもあります。もしかしたら、今、企業が取り組むべきことは、目先のアクションとして情報整理ツールとしてSDGsを使って経営戦略をブラッシュアップさせることですが、本質的には15年後を見据えた組織作りが最重要課題となるのかもしれません。

ちなみに、2016年現在、CSR業界の著名な方は、一部は40代の方もいますが、トップランナーのほとんどは50代以上です。多分2030年に最前線にいる人はほとんどいないでしょう。僕は今34歳ですので15年後は49歳で最前線にいます。そのころはたぶん日本で一番CSR界隈にインパクトを出せる人間としているはずです。(妄想ですが不可能ではないと思います)

とはいえ、1人でできることにも限界がありますので、15年後、もしくはそれ以降まで日本の最前線でSDGsの企業浸透の役割を担うであろう現在30代の若手プレイヤーを僕以外にも育成する必要もあります。今のトップランナーの先輩たちが後進を育ててくれればいいのですが、多分そうもいかないんだろうなぁ。

さて、SDGs推進派の著名な方で、15年後の日本に“本当の意味で”コミットしてくれる方々はどれくらいいるのでしょうか。誰か僕も高みに連れてって!(なぜか他人任せ)

まとめ

結論をいいますと、SDGsはどうやらグローバル企業のCSRにはなくてはならないものになりそうです。

しかし、CSR報告/統合報告もそうですが、国際的ガイドラインが増えすぎてしまったし、SDGs関連のツール類もこのまま増えていったら面倒だなと感じています。細分化しすぎないからよかったのに…。そのあたりは「お前に言われなくてもわかってるよ!」ということで、日本の国連グローバルコンパクトさんや国連広報センターさんらが道筋を示してくれるはず……ですよね?

まだ施行から半年くらいですが、すでにツールとして使い始めている企業があります。特に競合他社がCSR報告書に書いていたら要チェックです。少なくとも今年から来年で、マテリアリティ制定やToDoリスト作成、自己評価ツール、などのブラッシュアップにもうまく使いたいですね。“意識高い系”で終わらない、情報収集や実践が重要です。1年目の今年は、徹底的に情報収集していきましょう。

え?具体的にどうしたらいいか教えろだって?もちろんご発注いただければ、知っていることはすべて情報提供させていただきます。

何はともあれ、まだ「SDGコンパス」(日本語、2016)を見ていない企業関係者がいらっしゃいましたら、すぐに確認しておきましょう!

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