CSR-SDGs

SDGsと企業CSRとの整合性

先週4日、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンより、SDGsの企業行動指針となるガイドライン「SDGコンパス」の日本語版が公開されましたのでシェアします。

SDGs(持続可能な開発目標)の今後の対応を検討している大手企業も増えてきており、CSR担当者の動きも慌ただしくなってきてます。先日、連続でSDGsの勉強会に参加したら、大手企業のCSR担当者の方も数十社いて、関心だけは高いんだなと実感。

とはいえ、まだまだ「SDGコンパス」やら「SDGsインジケーター」(SDGsの各KPI)やらの日本語が発表されたばかりなレベル(?)なので、企業担当者レベルでは誰も実態をわかっていないんじゃないか、とも感じています。

特にグローバルに展開したり、海外の売上比率が高い企業などは、今からきちんと長期的な準備をした対応が求められます。2030年までの目標なので、当たり前ですが超長期の活動目標が必要です。3カ年計画どころではありませんよ!

グローバル大手や上場企業が徐々にSDGsに対応し始めています。今後、企業担当者が考慮すべきCSRの枠組みって、GRIでもISO26000でもなくSDGsなんじゃないか、とも感じている昨今です。(とはいえ、GRIもSDGsに色々よせてきてるし…)

というわけで、今一度、SDGsについて確認してみましょう。

SDGコンパス

地球は、経済、社会および環境の面で大きな課題に直面している。こうした課題に対処するため、「持続可能な開発目標(SDGs)」は、2030年に向けて世界的な優先課題および世界のあるべき姿を明らかにしている。極度の貧困を根絶し、世界を持続可能な軌道に乗せるための先例のない機会を提供するものである。世界の各国政府は、すでにこの目標に合意している。今こそ企業が行動を起こす時である。本SDGコンパスは、各企業の事業にSDGsがもたらす影響を解説するとともに、持続可能性を企業の戦略の中心に据えるためのツールと知識を提供するものである。

「SDGコンパス」では、冒頭に上記のような語りから始まります。すごく壮大…。でも実際、CSR報告書におけるGRIの存在のように、CSR活動やソーシャルビジネスにおける国際的なガイドラインが明確になった影響は大きいです。

GRI/G4はあくまでも世界で一番人気のCSR報告ガイドラインであるものの、CSR活動のフレームワークとしては使いにくく日本企業の多くはISO26000を使っているくらいですから。ただ、ISO26000は便利な側面も多いので、SDGsと平行して使われると思います。いや、使いましょう。

以下のリンクから無料でダウンロードできるので、まずはPDFを入手して、社内の関係者に配布しておきましょう。NPO/NGO連携に積極的な企業は、NPO/NGOにも入手を促しましょう。同じ目標・視点でCSR活動をする必要がありますからね。

SDG Compass(英語)
SDGコンパス:SDGsの企業行動指針-SDGsを企業はどう活用するか(PDF,6MB,30ページ)

SDGsで企業が考慮すべきポイント

SDGsはグローバルイシューにフォーカスしており、NPO/NGOには間違いなく便利なのですが、すべての企業に対しては有効とは思えません。では、どんな活用事例があるのか。

ぜひ、SDGsの復習を含めて、以下の記事をチェックしてみてください。

MDGsからSDGsへ–日本企業のCSRはどう変わる?
国連持続可能な開発目標(SDGs)とCSR
「持続可能な開発目標」(SDGs)の国際政治-「貧困削減」から「貧困撲滅」への転換が意味するもの

SDGsの使い方

NPO/NGO系の方はとにかく実践せよ!でいいのですが、CSR担当者であれば推進しますと言うだけではなく実践する必要があります。

「マテリアリティ選定」のヒントにするとか、「今までやってきたCSR活動の情報整理」として使うとか、「“GRI”や“ISO26000”につぐCSRのガイドラインに使う」とか。

とはいえ、2016年前半時点でSDGsの枠組みをCSR活動に組込む企業は数十社もないと思います。まだまだそれくらいのレベルだし、実際、詳細の数値目標もこれからオープンになるわけですし。2016年発行のCSR報告書の参考ガイドラインにSDGsを持ってくる企業は…。

そういう背景を考えると、日本企業のCSR最新動向を理解する人(場合によっては国内のCSRトレンドを作る側の人)を仲間につけておかないと、株主やステークホルダーへのアピールはできないかもしれません。とはいえ、それができる人物って、日本に両手で数えられるレベルだと思いますが(僕がそこに入っていることを祈ります!)

まとめ

色々書いてきましたが、SDGsはまだまだスタートしたばかりです。

事実上、CSR報告書のグローバル・スタンダードであるGRIもSDGsにコミットメントして2020年までのアジェンダを発表しています。

今後は、CSR活動においてどこまで指標化(KPI設定)かだ焦点となるのでしょう。14年後の2030年の目標というと、現任のCSR担当者の方は定年退職という企業もあるでしょう。誰も責任を取らない無責任で勢いだけの目標設定は絶対避けなければなりません。

僕もCSR担当者が実務レベルに落とし込めるよう色々考えておりますが…しっかりと支援ができるのは来年からでしょうね。あとは、各種CSRランキングがどこまでSDGs対応を評価してくれるか、ですかね。逆に、僕が国内のCSR関連ランキング担当者にロビー活動をするというのもありですが…。

ちなみに、SDGコンパスでは「専門家による具体的な助言を得ずに本書の内容を実践するべきではない」という“免責項目”があります。僕もそう思います。企業担当者は、中途半端なCSRコンサルタント(自称含む)に捕まらないようお気をつけくださいませ。

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