環境コミュニケーション大賞

先日、環境省が主催の「第19回環境コミュニケーション大賞」が発表されていましたのでシェアします。

「環境コミュニケーション大賞」は、優れた環境報告書等や環境活動レポートを表彰することにより、事業者等の環境経営及び環境コミュニケーションへの取組を促進するとともに、環境情報開示の質の向上を図ることを目的とする表彰制度です。今回は、環境報告書部門195点、環境活動レポート部門107点の合わせて302点の応募作について審査を行いました。
第19回環境コミュニケーション大賞、より引用)

官公庁がやっているCSR関連アワードでは老舗の部類に入ります。今回は応募総数の2〜3割が、何かしらの賞を獲得できたようです。

審査委員の先生方を見ると、好みが見えるようで、なかなか興味深かったりします。ということで、まとめます。

第19回・受賞作品

大賞

○環境報告大賞
環境・社会報告書 2015(イオン)

○持続可能性報告大賞
TAISEI CORPORATE REPORT 2015(大成建設)

○地球温暖化対策報告大賞
CSRレポート 2015(コニカミノルタ)

優秀賞

○環境報告優秀賞
・キリングループ 環境報告書 2015(キリンホールディングス)
・大和ハウスグループ 環境報告書 2015(大和ハウス)

○持続可能性報告優秀賞
・味の素グループ サステナビリティレポート 2015(味の素)
・Honda 環境年次レポート 2015(本田技研工業)

○地球温暖化対策報告優秀賞:ブリヂストングループ 環境報告書 2015(ブリヂストン)

○生物多様性報告特別優秀賞:日本製紙グループ CSR報告書 2015(日本製紙)

○信頼性報告特別優秀賞:CSR報告書 2015(住友電気工業)

他、積水ハウス、太平洋セメント、富士ゼロックスなど。ただの「優秀賞」は50社以上が受賞。今年、大賞を受賞された企業はおめでとうございます。受賞企業の詳細を閲覧したい方は、以下の環境省のページからデータをダウンロードしてください。

第19回環境コミュニケーション大賞(2016年発表)
第18回環境コミュニケーション大賞(2015年発表)

統合報告と統合思考

大賞では大成建設、優秀賞では、アニュアルレポート(NTT、武田薬品工業、商船三井、など)や統合報告書(伊藤園、KDDI、など)も受賞していますね。最近は環境報告書のみではなく、統合的(総合的)なレポートも増えているみたいですね。少なくとも、去年よりは多いです。

これは審査側が範囲を広げたというのと、企業側も環境・社会とセグメントせず、また財務・非財務関係なく、総合的なコーポレートコミュニケーションとして冊子などを作り始めているのかもしれません。統合思考が浸透してきているみたいで何よりです。

環境報告は社会性報告と同じにしていいけど、財務情報と非財務情報は、部分的なものは別として、ステークホルダーごとに情報ニーズが異なるので、監査法人系やコンサル・シンクタンク系の方々がいうほど、統合報告書は万能じゃないと思うんですよねぇ。

最近、企業のCSRコミュニケーションはステークホルダーを無視しているのでは?と感じることも。自分たちの言いたいことを発信するのもいいけど、情報の受け手となるステークホルダーの情報ニーズを本当に見極められているのでしょうか。そもそも、それを計測できる仕組みを導入しているでしょうか。

まとめ

CSR報告書、社会・環境報告書、統合報告書、統合レポート、コーポレートレポート、呼び方は何でもいいですけど、情報を“本当に”届けたいステークホルダーの方向を向いて、冊子やウェブコンテンツ(PDF)の制作をしたいものです。

多分来年もあると思うので、環境情報が載った冊子を制作している企業は応募してみてくださいね。もしかしたら初回から受賞、なんてことがあるかも。

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