CSR書籍

ドラッカー、ポーターだけが経営学ではない

今回の読書メモは「ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学」(入山章栄、日経BP)です。

入山さんの本は前作も読書メモを書いています。今回のもいいよ。うん。(参考:“儲かるCSR”ってどのあたりが儲かっているのでしょうか?

概念は難しいのですが、語り口の難易度は高くなく、基礎知識がなくてもスッと、経営学が頭に入ってきます。

CSR的に重要な項目は「日本企業にダイバーシティ経営は本当に必要か」と「CSR活動の思わぬ副次効果とは」です。

僕は入山さんのダイバーシティ論やCSR論に結構近いんです。肌感覚な所でしたが、経営学的にもCSRのメリット・デメリットが僕の考えているロジックと近いなと。

というわけで、CSRの項目を一部抜粋して紹介したいと思います。

世界のCSR研究

■イメージ効果
ある特定の条件下での統計分析をした結果、BtoC企業系でCSRの業績への影響がプラス効果があった。消費者イメージの向上が原因とされる。

■情報開示効果
会社の内部情報を公開することで透明性を高め、投資家の信頼を獲得し、資金調撮がしやすくなる。

■保険効果
日頃からCSR活動をきちんとしていれば、企業イメージや透明性が向上し、いざネガティブな事件・事故に巻き込まれても、投資家が極度の不振を起こさずに済む」

いずれにしても「外部のステークホルダーにが自分たちのCSR活動をきちんと説明すること」が重要であるとしており、CSRのセオリーである「ステークホルダーの特定」と「ステークホルダーエンゲージメント」が経営学的にも(効果には差があるが)有効であるということです。あと、ESG投資の優位性(?)は、経営学でも証明されつつあるということかな?

というわけで、CSRの経営効果は複雑であり、CSR“のみ”で業績や株価が動いているわけではないもの、特にBtoC企業ではCSRの効果は大きいようで、BtoB企業よりも即効性のあるインパクトが、CSR活動によってもたらされると言えるでしょう。

メインは経営学の話なので、CSR担当はもちろん、経営企画系の人には面白いと思う本でした。

参考:おすすめのCSR/CSVの本・書籍27冊(2015)

ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学

ドラッカー、ポーターしか知らないあなたへ。「ビジネススクールで学べる経営学は、最先端からかけ離れている! 」米国で10年にわたり経営学研究に携わってきた気鋭の日本人学者が、世界最先端の経営学から得られるビジネスの見方を、日本企業の事例も豊富にまじえながら圧倒的に分かりやすく紹介。世界の最先端の「知」こそが、現代のビジネス課題を鮮やかに解き明かす!