必要とされるCSR・ESG情報の開示
9月30日に行なわれた「第6回東洋経済CSRセミナー」のレポートです。
セミナーのテーマは「必要とされるCSR・ESG情報の開示」ということで、株式会社イースクエアの本木さんの講演のあと、ヤフー、トピー工業さんの2社と僕が加わりパネルディスカッションをしました。
今回は6回目にして初めての“満員御礼”となりました。ちなみに、次に参加者が多かったのは第1回ですが、こちらでも僕がパネリストをしていたので、理論上、皆さん僕の話を聞きにきたということになります。(実際そんなわけないと思いますが)ご参加いただいた皆様ありがとうございました。
パネリスト側ではありますが、かなり内容の濃いセミナーにできたのかなと感じております。すべてをお伝えすることはできませんが、セミナーの大枠の部分をまとめたいと思います。なお、有料のセミナーということで、配布された資料や内容の詳細開示は控えさせていただきます。
講演:企業に求められる情報開示の最前線
ステークホルダーには「期待値」がある。コンプライアンスやコーポレートガバナンスへの対応は“当然”として、どれだけステークホルダーから“プラスの評価”をもらえるか、がポイントである。
ステークホルダーによって、求める情報の関心領域・専門度合いが異なる。各ステークホルダーに適した情報メディアを利用すべき。
昨今、世界中の証券取引所・証券関連機関・規制当局などから企業へ、ESG情報の開示圧力が強まっている。国内でも「スチュワードシップ・コード」、「コーポレートガバナンス・コード」など、ESG(非財務領域)への対応と情報開示圧力が強まっている。また、世界では大手NGOが力をもち、そこからの対応と開示圧力がある。
非財務情報の情報開示の枠組み(ガイドライン)がここ数年でかなり変わってきた。「GRI G4」や「IIRCフレームワーク」や「SASB(米国開示基準)」など、概要に関しては最低限理解しておこう。
世界におけるサスティナブル投資(CSR/ESG/SRI投資)は、約21.4兆ドル(全運用資産の約30%)である。2年で倍増するカテゴリーもあり、投資のメインストリームになりつつある。GPIFもPRI(国連責任投資原則)に署名し、日本でもほとんどなかったサスティナブル投資が動きつつある。
投資運用機関ではESG情報評価をメインストリームとしており、キーイシュー(業界のマテリアリティ)などの開示が十分でない場合、評価が上がらない傾向にある。
また、調査票を送り評価する形から「開示されている情報(公開情報)に基づいたCSR評価」をする形がメインとなってきた。開示していない項目は点数の高低ではなくそもそも評価されないので注意が必要だ。
パネルディスカッション
CSR部門がESG情報をまとめ開示するようになり、IR部門担当者がESG情報を理解し、顧客(投資家)に説明ができるようになった。
今後のCSR/ESG情報の開示圧力は、法的なものも含めて、どんどん広く・深くなっていくだろう。
部門を超えた社内連携には、様々な部門から担当者が参加しゼロベースでワークショップをする、という方法もある。また、CSR活動の積極的な「見える化」により、社内でCSR活動を認識しやすくなる。
CSRは「リスク&オポチュニティ」とも言われるが、企業の両面にタッチできる部門はCSRしかないのかもしれない。より社内調整能力がCSR担当者には求められるだろう。また、情報収集では面倒くさがらすに“足で稼ぐ”、“社内ネットワークを強化する”ことがポイントになるだろう。
社内でのアクションとしては、トップやミドルマネージャーへの理解促進がポイント。日々忙しくするマネジメント層はCSRの細かい部分まで物理的に関与しにくい。しかし、決定権をもつマネージャーの理解がなければCSR活動は全社的な取組みにはならない。CSRは担当者レベルで完結させず、たえず社内浸透をしていく必要がある。
※自身がパネリストだったため、ほとんどメモができませんでした…。
まとめ
結論、「CSR/ESG報告の読者(ステークホルダー)を明確にすること」、「経営層がCSR/ESGを理解し、機関投資家に質問されても答えられるようにしておく」の2点を強く感じました。
主催側も、参加者側の方からも良いリアクションをいただけてよかったです。僕の反省としては、もう少し現場のリアルな“エグい”話をしようと思いましたが、中途半端な感じになってしまった所でしょうか…。
次回の「第7回東洋経済CSRセミナー」は2016年1月の開催を予定しています。詳細が決まりましたら、またこのブログで告知させていただきますのでよろしくお願いいたします。