CSR/社会貢献でスポーツ支援をする、企業の戦略的フィランソロピー

CSRスポーツ

CSR/社会貢献としてのスポーツ支援活動

CSRとしてスポーツ支援を行なう企業のメリットって何でしょうか?

スポーツ支援はCSR目的?改めて考えるCSRとスポーツの関係」という記事を一昨年書きましたが、改めて、CSRとスポーツの関係をまとめてみたいと思います。

結論からすると、企業のCSR/社会貢献でのスポーツ支援は「戦略的フィランソロピー」になっていく、ということです。最近はあまり聞かなくなりましたが、メセナ(企業が資金提供をし文化・芸術活動を支援すること)的なフィランソロピーではなくなってきているという意味です。

いくつかの事例を確認しながら、考えてみましょう。

日経BPコンサルティングの調査

■ 錦織効果で、「テニス」は「ユニクロ」や「日清食品」のほか、「ジャガー」とのペアで想起された。
■「ヨネックス」は、「バドミントン」より「テニス」とのペア想起が上回った。
■「サッカー」を長年支援する「キリン」と「コカ・コーラ」が上位にランクイン。
「スポーツ・オリンピック意識調査2014」《続報》競技×企業ペア想起調査編

日経BPコンサルティングの調査です。実際のPR効果がどれくらいなのか、というのがわかります。「テニス × ユニクロ」、「サッカー × キリン」、「レスリング × 綜合警備保障」という上位のものは、僕もイメージできます。メディア露出が影響しているんですかね。

ここらへんまで認知度があがるとPR効果は相当期待できます。むしろ、スポンサード(スポーツ支援)がPRそのものになる事例です。ここまでの事例ですと、CSRというよりは純粋なPRな気もしますけどね。データのお値段が高いですが、貴重なデータだと思うので、興味がある人は詳細をどうぞ。

日本生命の事例

日本では、スポーツ振興に関して民間企業に依存してきた面が大きい。ところが、バブル崩壊やその後の世界経済の混乱、日本企業にとっての強力なライバルとなる外資系企業の出現などを背景に、近年は運動部を廃止する企業も増えてきた。
「企業が従業員で構成するチームを持つ、というのは世界でも珍しい形だ。しかし、日本では長らく続いてきたスタイルでもある。われわれ企業は社会の中で事業を営ませていただいている。そのため、企業は、社会に貢献していく責任もある。コーポレートスポーツは、その一つの形だと考えている」
【企業スポーツと経営】日本生命保険(下)CSRの意識、裾野拡大を期待

日本生命では、CSRとしてスポーツ・チーム運営をしているとのこと。経営(PR)に貢献してはいるけど明確に測定できないが、従業員の帰属意識や一体感、地域への貢献、日本のスポーツ振興には明確に貢献している事例。まさに、戦略的フィランソロピーです。

スポーツ振興そのものは基本利益にならない。でもその活動によって波及的影響をもって様々な経営効果を生んでいます。ちなみに、CSR活動でするゴミ拾いみたいに、ゴミ拾いそのもののインパクトは小さいけど(人件費は結構かかるだろうけど)、活動に参加した従業員のエコとか環境教育として効果を発揮するみたいなフローに似ています。

DeNAの事例

9月には告知動画を配信し、再生回数1回につき1円を寄付するチャリティーを実施。2週間で15万円に上った。プロ野球球団を保有することの影響力を実感する日々に「CSR活動はやり抜くことが重要。途中でやめるわけにはいかない」。引き締めた表情に、自分の会社が球団のオーナーであることの責任の重さが刻まれていた。
親会社にとって球団は広告宣伝のツールとしての色合いが濃い。ほとんどの球団は毎年多額の赤字を出すが、その損失を親会社が広告宣伝費で穴埋めしてきた。球団側に黒字経営への意識は薄く、親会社の業績が悪化した途端、重荷と化すという構造的な問題が球団売却の歴史を繰り返してきた。
それは球団保有のメリットを測る尺度が広告効果にある以上、避けられないともいえた。横浜をめぐる売却劇がそれを物語る。マルハにとって長年の球団保有で広告効果は薄れ、関東地方が放送エリアでメディア企業として知名度のあるTBSにメリットは限定的だった。
ホームランでランタン寄付 DeNAの社会貢献活動が2年目

宣伝効果に期待してのスポーツ支援。これも戦略的フィランソロピーと言ってよいと思います。厳密に言えば、本業ではない領域の活動ですので、ISO26000などの多くの項目には含まれませんが、「コミュニティへの貢献」みたいな項目ですと、スポーツ支援もCSRの一つであると言えます。

スポーツをコンテンツとしてどこまで作り込めるか、というのもポイントになるのかもしれませんね。

まとめ

折角、スポーツ支援をするなら、事業活動としてKPIを決めて、社会にも自社にも見返りが最大化される形が理想ですね。

ある意味、本業領域のCSRとなるのが、スポーツ用品メーカーのスポーツ支援です。スポーツ人口や大会が増えれば、そのままその人たちはお客様になるわけですし、これは「見返りのない慈善活動」ではなく、マーケティング活動とも言えます。

「アディダス」なんかは典型的なヤツかと思います。アディダスはスポーツ支援もそうですが、CSRもしっかりやっている印象があり、僕のスポーツウェアはシューズも含めて全部アディダスです。この数年で10万円単位で貢献しています。

2015年は、どれだけ「攻めのCSR」となる企業のスポーツ支援が出てくるのでしょうか。今から楽しみです。

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執筆者安藤光展/CSRコンサルタント
1981年長野県生まれ。CSR/SDGs経営、CSR情報開示の専門家。著書は『創発型責任経営-新しいつながりの経営モデル』(日本経済新聞出版社)ほか多数。日本最大級のCSR担当者コミュニティ「サスネット」主宰。

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