注目される地方創生とCSR、企業の地域貢献は何を目指すべきか

地域活性化

地域貢献・コミュニティへ参画

今日は地域活性化ネタを。

企業のCSR活動でも、地域貢献・コミュニティへ参画という文脈で本社や支店のある地域での慈善活動をしている所がありますよね。少し前では、東日本大震災の文脈があったのですが、平成27年度末までの5年間の「集中復興期間」が終わりに近づき、単純な復興支援の文脈はこれから廃れる一方でしょう。

そんな中、政府の「地方創生」の話題もあり、地域活性化がまたCSRでもトレンドになってきそうな感じです。CSRとして注目度が高いのは政府の後押しというのが背景であり理由であると思いますが、他にも原因があるようです。

しかし、地域活性化と言われるもので、本当に結果が出ている案件ってあまり聞いたことがないんですよね。PRが成功し話題になったからといって、本質的な課題をそのままにしていたら、そうなるのは誰だってわかると思うのですが…。

また、日本全体で人口が減っている以上、PRに成功した一部の市町村の人口が増えても、それは近隣市町村や都市部からの流入であり、「人を取られた」市町村が余計に死に近づくということでもあり、人口増加が地域活性のKPIであっていいのか、みたいな話も多く出ています。

というわけで、現状の地域活性化の識者の意見もまとめながら、企業は地域に何ができるのかを考えてみましょう。

例:長野県

僕の生まれ故郷である長野県は、人口約210万人(推計人口、2014年10月1日)とされ、都道府県別平均寿命で1位ともなったことのある県です。名古屋市(約225万人)、札幌市(約190万人)と似たような人口です。ひぇ〜。長野県って、名古屋一個分の人口なんですね…。

ちなみに、長野県の人口推移は以下の通り。

1990年 2,154,465人
1995年 2,191,857人
2000年 2,213,128人
2005年 2,196,114人
2010年 2,152,736人
2014年 約210万人
(総務省統計局 国勢調査)

2005年以降、5年で約5万人ずつ減っているようです。ということは、このペースでいけば、200年後には長野県がなくなることになります!

1998年の長野オリンピック頃をピークにゆるやかに、しかし、確実に人口が減少しています。全都道府県の状況を知りませんが、日本全体で毎年20〜30万という人口が減っていることを考慮すると、一部の大都市を抱える都道府県以外は人口がキレイに毎年数千〜数万人減っているんでしょうね。

僕の実家の街も、長野県と同じく、オリンピック頃をピークに、毎年数百人人口減が続いています。市で4万人くらいだからすぐに人的理由の破綻はないと思いますが、人口は増えなくても、流出がなだらかにならないと、危なくなるのは間違いないでしょう。

といいつつ、僕も大学進学で東京に来た人間なので、地元に対しては何も言う資格はないのですが…。

開発やインフラ・設備の維持をやめること

東日本大震災もそうですが、被災地はもちろん悲惨ですし同じ日本人として心が痛む出来事ですが、すでに若い人たちが地域を離れ、猛烈な衰退を目の前にして復興財源突っ込んだところで回復し切らない状態になっているのも事実だと思います。
いっそのこと、リスクの高い過疎地域においては開発やインフラ・設備の維持をやめ、人の手を加えず自然に返して土地を国が買い上げるなどの仕組みを考えないことには、生産性の低い地域に資金をどかどかと投じ続ける結果になってしまいます。
自然災害が大変だというなら、リスクの高いところは自然に返せばいいんじゃないか

社会一般やIT事情に詳しい、やまもといちろうさんは上記にように言っています。心情としては、被災地の支援に予算をかけてほしいけど、今の日本は、財源がせっぱつまっていて、NPO税制をなくして財源を確保しようとか、消費税も含めてあれやこれやで税金を取ろうとしています。

ごく一部の人にリソースをまわすから、日本全体に広く負荷かけていくというのも、心ではわかっていても、都内に住む自分は損ばかりが増えるというのも事実であり、それが正解かというと、何とも言えないですね。

人口を増やせと言っても、自然増はあり得ないという現実

それ以上に厳しいのは、破綻が遅れるほど、返されるアテのない自治体を維持するために、中央から資金を投下しなければならないことですね。言うなれば、生命維持装置がついている末期患者みたいなものであって、もうすでに生きて帰る見込みのない人に、高額医療を突っ込むことの是非とも言える。
いまから人口を増やせと言っても、自然増はあり得ません。向こう15年のうちに老衰やご病気が理由で四桁が三桁になります。そこに、千人以上の子供が生まれるはずもなく。あるいは、どこかから住民を連れてこようにも、その地域は人口減少に見舞われるわけですね。マイナスサムゲームであります。そして、人口を増やすにはまず仕事がなければいけない。
地方経済の崩壊とどう向き合おうか?(雑記

非常に厳しい意見ですが、間違ってはいないと思います。地域活性化といってビジネスをしている知人は何人もいますが、すべてスモールビジネスです。なおかつ、自分たちはビジネスなので儲けるけど、地域にある程度まとまったインパクトを出せてはいない、と。

地域活性化ビジネスしてますって言ったって、東京や東京近辺に住んでいる人が多いし(少なくとも住民表上は)、それもなんだかなぁと感じてしまうわけです。

この、やまもといちろうさんの記事は、とても示唆に富む内容となっておりますので、彼の論説に賛成かどうか別としても読んで損はないと思います。

地方に人を持って行くだけじゃ無意味

「若者が東京に来たがるのは、東京にそれだけの魅力と、経済と、文化と、そういうものがあるから。そこに無理やり地方に住む流れを作っても、全体の人口減少スピードは止まらない。地方にだけ人を持っていけばなんとかなるという議論は、愚の骨頂」と夏野氏は切り捨てる。
人口減対策と地方振興を一緒くたにするな!<動画>地方に人を持って行くだけじゃ無意味

日本の人口は2030年までの16年間で約1,000万人減少する見通し、と。えらいこっちゃ。16年って、かなり近い未来だと思うのですが、もう2020〜2030年の間で、色々なシステムが破綻する自治体が一気に増えるんでしょうねぇ。

夏野さんがおっしゃるように、人口問題と地域振興は別の話。元々、人口の大幅増加は都市部以外は見込めない。でも地域振興はできるわけです。東北の被災地が東京・名古屋・大阪とビジネスを進めてもいいわけです。

僕が地域活性化で思うのは、「マイナスをゼロにする(人口問題)」と「ゼロをプラスにする(地域振興)」と二つの軸を同時に動かしていく必要があるのでは、ということ。

企業のCSRにおいても「地域の雇用を増やせばCSRです」で終わらせず、上記の二つの軸に貢献してこそ、本当の意味で地域貢献になるのかなと。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

長くなりましたのでこのへんで終わりにしておきますが、以下の記事も非常に重要な示唆があると思いますので、地域活性化に興味がある人はチェックしてみて下さい。

“地域活性化”を軽々しく語るな! 消え行く集落の最期を偲ぶ、「ふるさとの看取り方」
■「地方創生」論議で注目、増田レポート「地方が消滅する」は本当か?

また、いつものごとく、結論が出ないまとめ(苦笑)でありますが、地域活性化のコンテクストは難易度が高い話でもあるので、企業がCSRとして実施する時は第三者としっかり意見交換をしないと、社会の誰も幸せにできない社会貢献になってしまう可能性があります。お気をつけ下さい。

ちなみに、地域活性化ほど、企業とNPOの協働が必要な領域はないと思っています。このあたりも今後CSR活動をするのであれば、情報収集をしておいたほうがいいと思いますよん。

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