儲かるCSRや競争力のある戦略的CSRは実現可能なのか

儲かるCSR

儲かるCSR、競争力のあるCSR

先日、あるCSR関係者と打合せをしていて、「儲かるCSR」や「競争力のあるCSR」について話がでたので、メモしておきます。

僕は、今まで「儲かるCSR」や「競争力のあるCSR」というのは実現可能だという立場でした。もちろん、特定条件下ではそれもありうると思うのですが、最近は日本の数百万社ある中小企業、数万社の大手企業群でも、実現不可能なことも多いのではないか、という考えが強くなってきました。

CSRって企業経営の一つの概念であって、CSRのみで企業の業績や競争優位性が保てるとは思えないんです。共感マーケティングや、共創マーケティングにも通じる話です。

というわけで、本稿は、CSRにおけるマーケティング領域に興味のある人向けとなっています。CSV信者の方は面白くない内容かも。

競争力のあるCSR

そもそも「儲かるCSR」や「競争力のあるCSR」とはどんな状態を指すのでしょうか。よく言われる「本業でCSR」とかもこの領域だと思います。

前提がないのが、議論を呼んでしまうポイントなのかもしれません。

つまり「儲かるCSR」ということは、そもそもCSRは儲からないものであり、事業とは切り離された概念である、というような前提が必要になるでしょう。「本業でCSR」も、CSRは本業ではない、本業とはあまり接点がないという前提が必要です。この考え方自体が、本業とCSRを切り離しているとも考えられます。でも、これらって本当にそうなのでしょうか?

つまり、「CSRで儲けましょう」という考え方は、そもそも「営業で儲けましょう」とか「マーケティングで儲けましょう」という考え方と一緒なのでは、と思うのです。

何か変ですよね。CSRはあくまでも企業活動の中の一つであり、企業経営全体を指し示すかのような発言にとらわれてしまい、CSRだけが企業業績に影響を与えるというような話になるのかなと。

BtoB企業と、BtoC企業のCSR活動

儲かるとか、競争力とか言いますが、BtoB企業とBtoC企業のCSR活動は異なると、一般的に言われております。

例えば、NPO/NGOとタッグを組みCSR活動をするのは、BtoC企業にはわかりやすいけど、BtoB企業の対外的評価にはつながりにくい、という意見とか。

CSRの解釈に差があるというより、主要顧客が一般生活者か、企業かという点で、重要視する点(マテリアリティ?)が異なるというイメージかと。

またCSR活動の目標(ゴール)って、そもそも数値目標だけでいいのか、という話もあります。

例えば、中期経営計画にCSRを組み込むのが当面の目標である、という場合もあるでしょう。その場合はマイルストーン的な目標で、経営計画にCSRを組み込む事で、事業目標としてもCSR視点が入り、活動も推進できる、というのもあるでしょう。

そもそもCSRで企業評価ができても、事業評価はできにくい。CSR活動の項目でいうと、管理部門(間接部門)の項目が多く、事業評価をするような項目はほとんどない、という意見もあります。

CSRは管理部門のものではなく、企業全体に関わることなのですが、事業部門と管理部門がきっちり分かれている企業ほど、会社全体の動きとしては捉えにくいのかもしれません。例えば、営業部のCSR活動、マーケティング部のCSR活動としたとき、どんな項目が想定されうるのか、という意見です。

CSRはコスト

同様に「CSRはコストである」である、というのもよく聞きますが、そんなこと言ったら、成績の悪い営業担当や、失敗したマーケティング施策だってコストですよね。

人事だって総務・法務だてコストじゃないですか。だから、CSRが儲かる・儲からないという一義的な視点でみることこそが、コスト(失敗)になるのかなとも感じています。

あとは、現場の感覚から言って「パワーバランス」も結構深刻な話だったりもします。つまり、CSR部署やCSR担当者は、組織の中でどの位置にポジショニングするのか、という話です。

CSRが完全に管理部門の中にあり、しかも、会社で影響力があるリーダーが事業部門(営業・マーケティングなど)にいた場合、CSRの社内浸透が阻害される可能性が高いです。あるべき姿かどうか別として、通常事業部門はCSRと関係ないというスタンスですから。

ちゃんとCSRの現場を意見を上層部に通せるラインがなければ、それは浸透しませんわ、って話です。このあたりは、経営層がどこまで本気でCSRを進めようとしているのか、という話にもつながるのかもしれません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ちょっと、メモ的な書き方になりましたが、まさに上記の課題に直面している企業は多いと思います。

「儲かる/儲からない」という小さな枠組みではなく、広い視点を持ちながらも確実にCSR活動をしていきたいものですね。

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