LGBTからみる6兆弱のマーケット

以前から、お伝えしておりますが、CSRの領域で人気なのはHR(人材系)の分野です。

国の政策もあり、女性活用・ダイバーシティ・ワークライフバランスというワードが注目される中、去年あたりから特に注目されるようになったのが「LGBT」の話です。

LGBTとは、性的少数者を限定的に指すワードです。レズビアン(L,女性同性愛者)、ゲイ(G,男性同性愛者)、バイセクシュアル(B,両性愛者)、トランスジェンダー(T,心と体の性の不一致)の頭文字をとった総称。

「LGBTQ」、「LGBTs」といった表記もあるのですが、こちらは、LGBTという4種類の考え方以外の人も含む、より大きな枠組み。詳しくは以下の記事を参考までに。とりあえず、本稿ではLGBTとしておきます。

▶「LGBT」ではなく「LGBTQ」または「LGBTs」と表記する理由とその意味

最近は、LGBT領域がCSRというより、コミュニティに一定数いるということで、マーケット(市場)としても認識されつつあるようで。

LGBTマーケット

同性愛者など性的少数者を示すLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)に向けたビジネスの可能性に関心が高まってきた。電通総研の調査では日本人の5%が該当、市場規模は約5兆7000億円にのぼる。より巨大な市場の広がる北米では高学歴・高所得者層も多く、観光や金融分野での取り組みが加速。
レズ、ゲイ…LGBTに関心高まる 日本人の5%、市場規模5.7兆円

市場規模とすると、僕は違和感あるのですが、全体の5%程度と言われたほうがイメージしやすいです。というか、5%って、もはやマイノリティでもない気がするのですが…。20人いたら1人はLGBTであると考えると、その人たちへの配慮は重要なアクションになりそうですね。

あとは、メディア側の意識が変わってきたこともあると思います。少なくとも3〜5年前では考えられなかったのですが、例えば、東洋経済やダイヤモンドのオンラインではLGBTが一つのカテゴリー(特集)としてコンテンツ化されています。

LGBT――もはや、知らないでは済まされない――|ダイヤモンド
LGBT最前線 変わりゆく世界の性|東洋経済

出版社系のウェブ・メディアは古風な所もあるので、そのメディアが出てきたというのは、時代の変化を感じます。

LGBT対策をしている企業事例

今年は日本IBMや東京インターバンク・フォーラム(外資系証券会社など複数の東京の金融機関の連合グループ)など性的マイノリティの従業員支援を目的としたグループと、自社の従業員支援に加えて、グーグルやマイクロソフト、フィリップスなどは性的マイノリティの消費者に対して自社がフレンドリーであることをアピールするグループと、双方が参加したことが特徴です。
首相夫人も参加、LGBTパレードin原宿

いわゆる外資系の企業では、こういった動きが加速しているように思います。企業にはよりますが、CSR報告書みたいなレポートにまとめられることもあります。

「住所をともにしていることが証明できれば(夫婦や親子でなくても)家族として認めましょう、というソフトバンクの“家族割”サービスの内容が明らかになってから、LGBTが参加するSNSで急激にソフトバンクに対するポジティブなイメージが口コミで広がりました。もしかしたらiPhoneユーザーが増えたきっかけの一つかもしれません」
なぜソフトバンクは性的マイノリティに愛されるのか

ソフトバンクは素晴らしいですね。配慮が行き届いてます。僕はauユーザーですが、こんな話聞いた事ないな。どこに書いてあるかすらわかりません。LGBTコミュニティで人気になった、とのことで、マーケティングに活かした事例となっています。

こうした中で、JR西日本グループの「ホテルグランヴィア京都」は、外国人向けに「同性婚プラン」の提供を4月から始めた。臨済宗妙心寺派の春光院(京都市右京区)と組み、挙式費用と宿泊代など込みでパック料金は約77万円。円安を追い風に外国人観光客が増えるなか、LGBTの需要に対応する狙いだ。
性的少数者配慮が課題に 対応や商機、手探りの企業

日本では、まだまだ新しい概念(元々存在はしていたけど)であるので、企業は手探りながら、色々試行錯誤しているようです。試行錯誤もしてない上場会社は「排他的で硬直した、組織として魅力のない企業」と見られてもしょうがいないですね。

ある年のパレードで、日本の有名な企業ではなぜか「餃子の王将」だけが入っており、ゼミ生と一緒に、「王将えらいなぁ、大事にせんと」と話したことを記憶しています。女性や人種も含めてですが、外資系企業がダイヴァーシティ(多様性)を重視するのは、属性にとらわれずに人を採用すれば、より有能な人材が採れると考えられるからです。「企業の社会的責任(CSR)」からのアプローチではなく、むしろ純粋に企業の業績に貢献すると考えるのです。
有名外資企業がLGBTパレードに協賛する理由–ビジネスにも必須な同性愛の基礎知識

王将やるなぁ。色々課題がある企業だとは思いますが、色々な考え方に配慮できる素晴らしい企業ですね。

また、この記事では、イベント・パンフにロゴが入るだけで大した金額ではないし、受け取る側から見れば、「この会社に入れば、同性愛者であることで差別を受けることはないのだな」との印象を与える事ができる、ともしています。

まとめ

僕は、今のところLGBTには入らず、当事者としての感覚というのが完璧ではありません。

しかし、世の中の多くは「マジョリティの枠に押し込まれたマイノリティ」だと思っています。リスク・オポチュニティ双方の面から見ても、知らなかったでは済まされない話です。

まぁ、紹介してきたデータもどこまで正確かわかりませんし、参考程度に見ておくのがベストなのかもしれませんね。

あなたの会社では、LGBTの対応はどうなっていますか?

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